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入澤和志郎

遺品整理士山形県第1号!29年以上の実績を誇る遺品整理のプロ

入澤和志郎(いりさわわしろう) / 葬儀

有限会社 風車

コラム

故郷の親へ心の里帰り  空き家問題 生活保護  介護疲れと哀しい事故や事件   

2017年1月25日 公開 / 2021年2月26日更新

テーマ:遺品整理

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: 特殊清掃 業者特殊清掃

正月明けのYahooトップニュースの見出しにこのような記事がありました。
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<生活保護>「受給は恥」思いつめた高齢困窮者の悲劇

生活保護受給を(恥ずかしい事)この制度を施しと捉え哀しいほど真面目な国民性があると記載。
大学を卒業したばかりのケースワーカーや自治体職員に

「家族を頼れないの?」

「もうちょっと働けないの?」

「なぜこんなに貯金が少ないの?」

などと聞かれます。理屈は通っていますが、若者の遠慮ない質問は、長く生きた人間の最後のプライドにグサグサと突き刺さります。
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生活保護制度は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定する
憲法25条の理念に基づいて運営されています。条件さえ満たせば無差別平等に保護を受けることができます。困窮の原因は問われません。
かと言って単に生活保護の申請を推奨している訳ではありません。一部の不届き者のため生活保護の不正受給取り締まりなど、お役所の対応などニュースに取り上げられているのも事実で、一概には語り尽くせない難しい局面も多くあります。
生活保護は自己申請によって、調査→決定→受給という流れになります。つまり、自分から行動を起こさないことには国や自治体は何もしてくれないのですが、ご自身での受給判断が分かり難いうえに、記事のタイトルにもありますように「受給は恥」と感じている方も多数いらっしゃると思います。
しかし、実際に遺品整理作業の現場で、「こんなに我慢しなくても・・・」と、感じさせるような切り詰めた生活の痕跡を目の当たりにする現場も少なくありません。

劣悪な環境 整理整頓が出来ない・・
金銭面だけの問題ではありませんが、最近の県内ニュースを見てみますと・・・

・親元を離れていた長男がこれからは老いた父親の面倒をみる(介護)と、実家に帰り数週間後に、
 発作的に父親を切りつけ殺害。

・同居する父親を30代の実娘が刺し殺そうと切りつけ、殺人未遂事件で現行犯逮捕。
 父と娘、二人暮らしでの事件、お隣さんはお父さんの一人暮らしと思っていたとの事。

・90才を超える母親が病死。その傍らで60代の息子が首つり自殺。

・JR羽越本線で高齢者が線路上に立ち、電車に跳ねられ死亡。

・生活保護や親戚縁者の援助を受けながらも70代のお母さんと50代の息子が心中。

・親の介護はしたくない等と勝手な理由で自宅へ放火。

介護の最中にとっさに妻を絞殺、将来を不安視しての無理心中、子供に迷惑を掛けたくないと自らの命を、などなど・・・記憶にあるだけでもすぐに十数件程の事件ニュースが思い浮かびます。これらは東京などの大都会の出来事ではなく山形県で起きている事件です。
ニュースや新聞から事件の概要は伝えられますが、テレビ画面や新聞記事をくまなくみても当事者の心理、背景、その時の気持ちや本質など、そこまでは事細かく伝えてはくれません。それぞれに数分間のニュースでは伝えきれない、言うに言えない事情があると思われます。

高齢者の寝室 整理整頓が出来ない・・

「生活保護を受けてまで生きようとは思わない」

「自分が倒れたらこの先・・・」
   
「都会で暮らす我が子にはこれ以上迷惑は掛けられない」 

世の中の仕組みや社会の変化、はたまた当事者の努力、頑張りが足りないのか解りませんが、この様な生活苦や介護に係わる事件は報道されないものも含めますと県内だけでもかなり頻繁に起こっていると予想され、さらに今後もこのような事件は益々増えるような気がしてなりません。

高齢者夫婦の二人暮らし、片親と子供の二人暮らしなど、決して珍しくない家族構成で、今ではどのご近所にも多く見られますし、それぞれの生活レベルは別としても皆明るく頑張って生活もしております。
高齢者夫婦だけの家庭でもどちらかが障害を持つ家庭(特に認知症や要介護者)ともなりますと、健常者の方からは想像もつかないような精神的苦痛、肉体的困難、不満や葛藤があると覚悟しなければなりません。
また別のご家族の話ですが・・・親子二人暮らし、年金受給者で高齢の片親と還暦近い独身無職の子供。
どこかで歯車が狂いだしては一人悩み発作的に行動する、どちらかが先に倒れてもその先が想像できます。何かしら救いの手もありそうですが、お金が有る無しに係わらず、そのような家族はなぜか皆プライドが高いというか、内向的というか、比較的無口な方が多く、ご近所でも声を掛けるに掛けにくいとのこと。

遺品整理や特殊清掃の最中、ふと考えさせられますが近年の教育や社会通念上のモラルなど、あまりにも格式張った物の考え方やマニュアル社会、世間体、これらの考え方が常識化され、美化されてしまい、「他人に迷惑を掛けてまで・・・」といった過度の遠慮、配慮、気配りなどの気持ちが大きくなってしまっているのではと考えてしまいます。
思い起こせば現代ほどの社会保障も無い時代、親兄弟やご近所、親戚をも巻き込みながら互いに寄り添い助け合い生活をしてきた昭和の古き良く時代、こんなにも暗く哀しい事件報道は少なかったのではと記憶しています。

今日まで28年間遺品整理、特殊清掃の現場を見させて頂き、それぞれのご家庭の悩みやご相談を聞いてきた私から、都会で暮らす現役世代の皆さんにお願いです。
ぜひ故郷で暮らす今の親を見て下さい。
生活ぶりを想像して下さい。
都会の生活に追われ余裕が無いとか皆さんおっしゃいます。金銭的、時間的それぞれに事情があるとは思います。
私が提案したいのは「心の里帰り」です。
電話1本でいいのです。必要なのは離れて暮らす年老いた親とのつながりを切らない事です。
電話しても面倒くさがる親もいらっしゃると思いますが、面倒くさいと強がりを言う親の心境も理解して下さい。

私達も仕事とはいえ哀しい悲惨な現場はもう見たくもありません。
後で後悔しないご自身の為にもぜひとも行動を起こしてください。

空き家対策を考える

どこの市町村でも空き家が増えるばかりで、その対策に頭が痛いそうです。色々な法律や条例をもとに空き家を持つ方には市町村から、もっともらしい助言や指導など入ります。

何も好きで空き家にしている訳では無いのですが、更地にしますと固定資産税が上がり、敷地面積にもよりますが4倍近くにもなる増税が弊害となるそうで、解体費用は何とか準備出来ても毎年支払いする固定資産税が大幅に上がり払える目処が立たない。

都会の空き家事情といえば上屋を解体しても、その土地の販売が容易で、解体費用もすぐに出るなど不動産市場にも流れやすいようですが、田舎の土地は上屋を解体してもその土地が不動産市場に出る事は滅多にございませんし、固定資産税の優遇措置が外れ結果増税だけが、のしかかる逆転現象となることが明白であるため解体作業など二の足を踏むのが現状のようです。
しかしながら上記の事を懸念し、いつまでも放置しておきますと立地や母屋の現状にもよりますが、特定空き家に指定されることにもなり、これもまた大変な事となります。建物が有るのに優遇措置が外されますから、やはり固定資産税が最大4倍強にもなってしまいます。

遺品整理 外回り

少子高齢化の流れでしょうか?都会で独立する子供がいながらも築30年ほどの家を空き家にして、夫婦で元気なうちに施設に入居(経済的にも余裕のある方)、最近ではこの様なスタイルが全国的に増え、益々空き家が増える一方となっているようです。

ここ10年ぐらいでしょうか、都会暮らしのシニア族の方から、「庄内地方の古民家に住みたい!」と、畑や庭付き古民家にあこがれ移住を希望される方より声を掛けて頂き、引っ越し家財道具の買い入れなど、3年~5年のお付き合いさせて頂くご家族もいらっしゃいますが、なかには1~2年で住みなれた都会暮らしへ戻って行かれる方もおられます。その方の家財道具を買い戻し作業と、そんな事も過去に数件ございました。
都会には無い素晴らしい自然環境、情に温い集落民などテレビでも有名人が田舎暮らしを実践する番組も多く目にします。都会の喧騒から離れて田舎でのスローライフなどと、田舎暮らしに憧れている方にとっては魅力的なセリフですが、初めて田舎で暮らす方にとっては全く違うライフスタイル、過酷な自然環境、違和感だらけのご近所付き合いと、マイナス要因も少なくありません。

引っ越し後、初めての冬、最初の除雪、雪かき作業は楽しくて、楽しくて・・・、しかし山麓の雪は深く通路の雪かきだけでは越冬は難しく梯子を掛けての屋根の雪降ろしや集落総出の公民館や神社の雪かきなどなど、都会暮らしではあり得ないお隣同士の共同作業、部落総会や共益費負担、防災訓練参加や村内一斉清掃、婦人会に消防団、都会暮らしでは考えられない共同作業の多さに身体は痛いし、気は使う、疲れが取れないなど想い描いていたゆっくりとした田舎暮らしのイメージとのギャップに翻弄されて、最初に奥さんがギブアップ、半年遅れで旦那さん。こういうケースが多かったように思います。もちろんネットで購入した古民家も今は空き家になっております。

そうなる前に、まずは賃貸で住んでみては如何でしょうか?
金銭的に余裕のある方、夏は田舎で冬は都会へ戻る、この様な形式のご夫婦も何組かおられました。
自治体もそれぞれアイデアを駆使して、国や県の指導や補助政策を上手く使いながら、空き家対策に一生懸命のようですが、内情を知っている私から見れば、キレイ事ばかりを宣伝しているようにも感じられます。本気で田舎の空き家に住んでほしいなら、まずは1年、最低でも冬期間だけでも実際住んでみてから、契約されるシステムを構築しないと7~8割の方は長くて数年で逃げていきます。
これら業務に携わる関係者は真剣に考えるべきと思います。


この記事を書いたプロ

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