長年の現場経験から一言 遺品整理にまつわるお話しをいろいろ
早いもので今年も残すところ、あと一ヵ月足らずとなりました。日に日に寒さが増し、厳しい冬目前といったところですが、皆様におかれましては、如何お過ごしでしょうか。季節柄どうぞご自愛下さい。
また、当社のコラム、ホームページをご覧頂いた方からのお問い合わせを多数いただいており、これについても誠にありがたく感謝申し上げます。
さて、先日お問い合わせ頂きました、遺品整理案件のお話です。
実家が空き家となり数年経過、近くに住み独立して家庭を持つ長男が、その空き家となった実家を相続されたそうです。最期までその実家にお住まいの父母は自営業者として真面目でしっかりした働き者とのこと、他の兄弟にも不動産や有価証券等を残したそうですが、遺言書もきっちり作成しており、兄弟間の相続に関しては何のトラブルも無く、それぞれが継承し登記などの名義変更も無事に終了されたそうです。そのお話を聞いただけでも、しっかりされた方だった、ということに納得させられます。
相続や手続きなどが一段落したところで実家の遺品整理と不動産の販売となり、当社へお問い合わせ頂いた次第です。
兄弟皆、若くして実家から巣立ちそれぞれにご家庭を持っており、都会に出た兄弟もいるようでしたが、同じ市内に住む息子さんには、親からすると少しは寂しい想いもあったのではと私などは親御さんの気持ちで考えさせられます。親が同居を拒んだのか、長男がそれを望んだのかは分かりませんが・・・。
実家の遺品整理も無事に終了し、中古住宅販売会社に買い上げしてもらい、現在リフォーム工事中です。
この様なケースは私共の関わった現場では珍しい遺品整理で、実家整理となります。
管理できずに増える実家空き家
遺品整理の案件で広い庭付き一戸建てのお宅で、さらに解体作業ともなりますと、お金の持ち出しが多く相続された兄弟間でも、費用の負担で揉める事も多く、それぞれの配偶者から遠慮の無いキツイ言葉もチラホラと聞こえてくる場面もあり、遺品整理見積り現場でやりきれない思いを何度か経験しております。
そのような実家整理現場となりますと他にも問題は多く、結果的には全く手つかず状態となり、作業に入ることができず時間ばかり過ぎてしまう、ということがあります。そうしてるうちに、近隣からの苦情応対、役所からの苦情処理対応など厳しい注文が入ります。
放置された空き家トラブルで一番多いのは庭木の管理不全による害虫の発生や、落ち葉等の清掃管理による近所迷惑、またチラシ勧誘物等の溢れ状態、細かな話では町内会の共同作業等は当然ながら不参加となってしまう事から、負い目や、うしろめたさなどもあり自然とご近所との人間関係が上手くいかなくなってしまうトラブルなどなど。
近隣にお住まいする親戚が居るとすれば大変肩身の狭い思いをしながら、一緒に対応、親戚を巻き込んで行政と話し合いをする。これが現実的です。
都会で生活する兄弟は自分達の生活で一杯一杯。独立した子供からは生活の応援依頼、塾や大学進学などお金が掛かることだらけ、実家整理に回す余裕が無いなどと、聞けば全てがごもっともなお話で、それぞれに諸々のご事情があるのも十分承知していますが、その結果、管理の行き届かない空き家が町の至る所に増えるいるのが現在の状況なのです。
当社では空き家管理業務を行っております・・・・詳しくはこちら
空き家トラブルで損害賠償
「空き家の屋根瓦が強風で煽られ通行人を直撃」
「登下校時の児童にトタン板が当たり怪我」
怪我の度合いにより大きく報道されないケースもありますが、これら空き家に関する事故は決して珍しいことではありません。空き家問題での最悪なトラブルは、これら他人へ傷害を負わせることと思われます。
また、庄内地方では先日も空き家火災が出たばかりですが、私の記憶しているだけで、この様な空き家からの出火が、今年の夏から今日まで数件発生してます。いずれも人命に関わる火災では無かった様ですが、これからの季節、低気圧による強風悪天候が多くなります。なぜか電気やガスも全て止めていた空き家から火が出ます。遠く離れた故郷に空き家をお持ちの方は、今一度、実家管理に真剣に考えてみては如何でしょうか。実家近隣との普段のお付き合いや、情報交換など非常に大事なこと思います。皆さんを脅かすつもりは毛頭御座いませんが、事と次第によっては事件となり民事訴訟などとなる可能性もあるのです。
海洋代行散骨
父親の一周忌を迎えご自宅で一年間供養されていたご遺骨の海洋代行散骨のご依頼がありました。
当日、お約束時間に数時間の遅れが出ますと事前のお断りがあり、聞けば父親の故郷、少年期に過ごしよく遊んだであろう神社やお寺、親戚近く、その町並みをご遺骨と一緒に最後のドライブをされて遅くなったとのこと。大変粋な計らい、とても素敵なお話で私達も心を打たれました。
お話を頂いた時に送骨を提案したところ、
「いや、一緒に行きますから。送骨は忍びなくて・・・」
あの時からご依頼者にはそうしたいと想いがあったのでしょう。最後の親孝行でしょうね。
事務所で依頼者との雑談、終始さっぱりとした口調で、もう思い残す事も無いように
「生前からの父の遺言でした。酒田の海に還してほしい。」
と、今回の散骨依頼となったようです。
海洋代行散骨に備え必要書類に記載頂き無事に契約も終了。帰り際に今一度安置するご遺骨に深々と頭を下げ手を合わせる青年、父親との最後のお別れをしておりました。その様子が非常に印象的でした。私共も責任あります代行散骨を彼とお約束致しました。
依頼者をお見送り後スタッフで合掌、粉骨作業に一時間ほどで全ての作業も無事に終了。
庄内地方は次の日から海も少し荒れ気味で、海へ還すその時を今静かに待っております。
海洋散骨についてのお問合せは ・・・こちらから
山形遺品整理
直営 有限会社 風車
代表取締役 入澤和志郎