
誰もが 「新築」 を目指す時代から、 あるものを活かす時代へ
こんにちは。 富山県朝日町で建築設計・施工を行っている家印(やじるし)株式会社の坂東秀昭です。
私が暮らす富山県は、 豊かな自然に囲まれ、 立山連峰をはじめとする美しい景色が日常に溶け込んでいます。
そしてこの土地には、 先人たちが建てた立派な木造住宅や古民家、 歴史を刻んできた建物が数多く残されています。
かつては 「家を建てるなら新築」 が当たり前だったかもしれません。 しかし今、 私たちは大きな転換期を迎えています。 地域の空き家問題に向き合い、 多くの建築に携わる中で、 私は確信していることがあります。
それは、「古い建物には、新築では絶対につくり出せない唯一無二の価値がある」 ということです。
今回は、 私が日頃の家づくりで大切にしている想いと、 朝日町で取り組んでいる空き家再生の現場から、「リノベーションの価値」についてお届けします。
1. 高性能な 「箱」 をつくることが、 家づくりのゴールではない
リノベーションを検討する際、 多くの人が 「断熱性能」や「耐震基準」といった数字やスペックを気にされます。
もちろん、富山の厳しい冬を快適に過ごすために、 住宅の基本性能を上げることは極めて重要です。
しかし、数値だけを追い求めて、外の景色をシャットアウトした 「ただ暖かいだけの四角い箱」をつくってしまっては、本当の意味で豊かな暮らしとは言えません。
私たちが目指すのは、「自然の力を活かす設計」 です。
明るい自然の光をどこから取り込むか、心地いい風がどう通り抜けるか。
窓を開けたとき、四季折々の景色や庭の調和をどう感じられるか。
中と外がひとつに繋がり、建物の中にいながらも日々の季節の移ろいを感じ取れること。
この「心地よさ」こそが、暮らしの幸福度を大きく左右します。
2. 歴史や職人の技術という 「宝物」 を引き継ぐ
古い木造建築や古民家には、 現代の住宅ではなかなか手に入らない貴重な木材や、当時の職人たちが施した素晴らしい技術が眠っています。 これらをただ 「古いから」 という理由で壊してしまうのは、 地域の財産を失うのと同じです。
リノベーションの醍醐味は、単に中身を新しくすることではありません。
これまでの持ち主が大切に紡いできた記憶や、 建物の持つ骨組み(構造)美しさをリスペクトし、現代のライフスタイルに合うように「再定義」することです。
太い立派な梁(はり)を見せるデザインにしたり、 古い建具をモダンに設え直したり。 新しさと古さが美しく融合した空間には、新築には出せない圧倒的な歴史と温もりが宿ります。
マイナスをゼロにするのではなく、古いからこその魅力をプラスに変える。 それこそがリノベーションの魔法です。
3.空き家と人を繋ぎ、 まちの未来をリノベーションする
私が生まれ育った朝日町も、一時は「消滅可能性都市」と呼ばれ、悲壮感が漂う時期がありました。
建築に携わる者として、この町に何ができるだろうか――。
そう考えたとき、目に入ったのが地域に眠る空き家たちでした。
地域の空き家は、決して厄介者ではなく「宝物」です。
現在、私は建築士としての本業の傍ら、ボランティアとして「空き家を所有している方」と「移住や出店のために空き家物件を探している方」をマッチングして繋げる活動を行っています。
また、朝日町とも密に協力し合い、行政と民間が手を取り合って空き家を効果的に活用する取り組みを進めています。
所有者の方にとっては「思い出が詰まっていて壊せないけれど、どうしていいか分からない」という悩みがあり、探している方にとっては「富山で自分らしい暮らしを始めたいけれど、良い物件に出会えない」という悩みがあります。
その両者を繋ぎ、建築のプロとして「この建物なら、こんな素敵なリノベーションができますよ」と可能性を提示すること。
古民家を再生して新しい息吹を吹き込むことで、そこに人が集まり、移住者が増え、コミュニティが生まれ変わる。
ひとつの建物をリノベーションすることは、その一家族の幸せをつくるだけでなく、実は「まちの未来を明るく元気にする」ことにも直結しているのです。
おわりに:あなただけの 「幸せの形」 を見つけるために
家づくりにおいて何より大切なのは、流行のデザインや他人の評価ではなく、「自分たち家族が、この土地でどんな暮らしをしたら一番幸せになれるか」というテーマです。
リノベーションは、これまでの歴史や目の前の環境(景色、風、光)とじっくり対話しながら進める、クリエイティブな作業です。
もし、ご実家のリフォームや、地域の古い建物の活用でお悩みなら、ぜひその建物が既に持っている力「ポテンシャル」に目を向けてみてください。
私たち家印も、地域の幸せと、そこに住まうご家族の笑顔のために、これからも自然と調和する温かい居場所をつくり続けていきます。
「古い」 は価値。 富山の景色と記憶を未来へつなぐ、 これからのリノベーショ ン ~自然と調和する 『心地いい住まい』 のつくり方~
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