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小椋孝一プロは北日本新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

2003年に新築した自宅は寒かった、断熱性能は数値でわかる

小椋孝一

小椋孝一

これは私の自宅のことです。

2003年に自宅を新築しました、家は3回建てないと納得のいくものができないと言われていますが、私は建築に携わっているので3回も建てなくても納得いくものができるよと高をくくっていましたが見事に残念な結果となりました。
20年近く住んでみてこうすれば良かったと思うところは多々ありますが
一番の思うところはとにかく「寒い」ということです。

正確に言うと、住み始めた頃は前の家より格段に暖かさがありました、玄関を開けて家の中に入った瞬間暖かいと感じたほどです、しかし2年3年と経つ間に慣れてしまい、さほど暖かさを感じなくなったのです、前の家よりは暖かいけど現在の高断熱と言われる家には及んでいませんでした。

Ua値0.85W/㎡kは寒い

寒い家となった理由は単純に断熱性能が低かったから、 Ua値0.85W/㎡kほどの断熱性能、今の断熱等級4と言われるレベルです。
今思えば暖かくしたい想いの目標値が低かったです、当時この数値は国の断熱基準、次世代省エネ基準の最高等級4等級のUa値0.87W/㎡kを上回る数値でしたが、実際に住んでみるととても寒くこの基準が低すぎることが体感してわかりました。
※2025.4月からはこの断熱等級4が最低基準となっています

しかし当時このことがわかっていたとしてもこの断熱レベルの低い家を建てていたかもしれません、それはそれ以上の断熱は要らないだろうという意識の低さです、この意識の低さと目標値の低さが寒い家になった要因でした。

もう一つは年齢だと思います、30才くらいでの新築でした、このころは寒さに強かったです高断熱を求めているとはいえ、本気で求めてはいなかったのだと思います、自分が年を取ることを考慮ないといけませんでした、20年、30年後を見据えた家づくりが大切と実感しています。

この経験を糧に、どうすれば暖かい家になるか勉強し、そして実践しご提案しています。
この次世代省エネ基準4等級は2003年当時、義務ではなく努力目標でした、性能が低い上に義務にもなっていないのが現状日本の基準、世界と比べてもとても恥ずかしく日本の断熱意識の低さがよくわかります。
しかし2022年国の断熱基準向上の動きが有り、より良い断熱基準の創設とその義務化へ舵が切られそうです、ようやくといった気持ちです。

必ずシュミュレーションしてから建築して下さい

現在は建築する前にシュミュレーションにて家の断熱性能を確認することができるので、必ず確認してから建築されることを強くお薦めします、

ご相談している建築会社ができないということでしたら、どこかに委託してでもシュミュレーションして下さい、そしてその数値は家の大きさ、形状、断熱の厚み種類、サッシの種類などにより変わってくるので、企画住宅の数値では無く、実際にプラン計画している家でシュミュレーションしないと意味がありません。
そしてその数値と費用を把握して、初めて比較検討が出来る材料が揃います。
安易に費用だけを比較すると、家の性能比較を見落としてしまいます。

HEAT20のG1以上、可能ならばG2性能をお薦めします

この自宅の経験から、断熱性能は HEAT20のG1(Ua値0.48W/㎡k)以上、可能ならばG2(Ua値0.34W/㎡k) 以上の性能をお薦めします、次世代省エネ基準4等級(Ua値0.87W/㎡k)では低すぎます、少なくとも寒がりの私には合いませんでした。

それともう一つ「家全体の暖房・冷房計画」がなかったことです、居る時居る部屋だけの空調ではなく「家全体」で検討することが大事だと実感してます、「家全体」を空調するとどうしてももったいないという感覚が先行してしまいますが、断熱性能の良い家でしっかりと計画すればエアコン1台稼働させれば勝手に家全体が暖まります、そして一度暖まってしまえば暖房器は2~3割の力で稼働するので思うほど電気代は掛かりません、どこの部屋も暖かいのはとても快適で、何より足元が暖かいのは非常に快適です、健康にも良いとされています。

家全体の暖房・冷房計画

現在は断熱性能がしっかりと担保された、Ua値0.22~0.43W/㎡kの住宅を建てられますが、20年前にこれだけの性能の家を建てられたかと考えると難しかったように思います。

良い商品はあったはずですがとても少なく高価だったでしょうし、何より20年前、世の中は断熱の意識が低い時代でした、当時にUa値0.22~0.43W/㎡kの性能の家を建てようとすると、ここまでの性能は要らないよと言われる方が多かったと思います。
(Ua値とは家全体の断熱性能を表す単位で、数値が小さいほど性能が良い)

約20年前に新築した家を建て替えたいと思うほどです

私は54才を迎えました、自分がこんなに寒さに弱くなるとは考えもしませんでした、冬の時期裸足で廊下を歩いていましたが今ではスリッパ無しでは歩けませんし、パジャマは裏地にボア付きのものを着ています、寒い時は上着を重ね着するくらいで暖房には頼らなかったのがしっかりとエアコンを稼働させるようになりました。一年前まではそんなに寒さを気にしなかったのに急に弱くなった印象です。

今後70才、80才をイメージしたときこの寒さには耐えられるかと真剣にかんがえてます、あとは家族構成も変わり住みにくくなったのも要因ではありますが。
私のように新築した家で寒い思いをしないためにも家づくりの基準をお伝えしたい。いろいろな基準はあると思いますが私が自宅を新築した20年前にこの基準があったら良かったのにと思うものです。
お薦めする基準は
•Ua値:0.46W/㎡k以下 (断熱性能を表す数値、小さいほど性能が良い)
•C値:0.5以下 (気密、隙間を表す数値、小さいほど隙間が少ない)
•耐震等級は許容応力度計算で3となっているか
•家全体の暖房計画、冷房計画がされているか
大きく上記のポイントを抑えておけば大きな失敗は無いと思います。

上記とは別に
間取りや導線の使いやすさ、収納場所の確保、デザイン等の項目も大事なことですが、これらはお施主さんが図面やパースなどを見れば善し悪しを判断できるはずです、見えない項目をしっかりと把握していて提案してくれるかが大事なところと考えます。

シュミュレーション

今では本当に便利なソフトがあります、平面図、立面図、基礎形状、屋根形状、サッシ位置・大きさ、断熱材の種類、外皮の構成などを入力すると断熱性能、暖房負荷、冷房負荷、Ua値、電気代などをシュミュレーションで算出ことが出来ます、このシュミュレーションを基に性能とコストのバランスを確認してご提案します。

数値を比較することができるので、惑わされずに検討して下さい
Ua値やQ値などの指標が知られてない時は、素人の方には断熱性能の比較はほぼ出来なかったと思います、「○○工法」だから暖かい、「いい断熱材」を使っているから暖かい、「大手ハウスメーカー」だから、「床暖房」だから、
これらは単語であって暖かさを表しているものではありません、

断熱性能は「Ua値」で表します、数値の小さい方が断熱性能が良いです。
おそらく会社を選ぶ基準は、カタログの見た目とか、営業マンが良さそうだったからとか、大手だから安心とか、価格、デザイン等ではないでしょうか。それらの判断基準は大事なところもあるので押さえておきましょう、

しかし性能面を比較する時は性能値を確認して下さい、数値で表現されているので一目瞭然です。
20年前に、Ua値と言う言葉は無く断熱性能の良い商品も少ないしシュミュレーションするソフトもありませんでしたけど、今はあるのでどんどん活用されてお気に入りの家を手に入れられて下さい。当社ではシュミュレーションを含めたご提案をさせて頂いています。

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小椋孝一
専門家

小椋孝一(住宅の建築)

株式会社小椋建築

耐熱・気密性が高く、太陽光を上手に取り入れるなどの工夫を凝らし、冬の寒さもエアコン1台で家全体を暖かく。光熱費やメンテナンス費、30年後のリフォーム費も抑え、高性能ながらトータルで経済的な住宅を提案。

小椋孝一プロは北日本新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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