リスニングの真実/苦手が満点に
◆当館には小学4年生から60代半ばまで幅広い生徒さんが在籍なさっておられます。当館最高齢の生徒さんであるAさんは、長年にわたり重責を担われた会社を定年退職なさり、引き続き契約社員として第2の人生を歩んでいらっしゃる男性です。別の男性生徒さんのご紹介で当館に通われることになりました。ちなみにお二人はジムでのお知り合いだそうです。英語にスポーツに素晴らしいですね。◆Aさんは「英語は好きな科目で学生時代は一生懸命勉強しました」「社会人になってからは英語で仕事をしたということはありません」とのことで何十年ぶりの「カムバック英語」を学ばれることとなりました。ご一緒してみて驚きました。60代半ばとは思えぬ柔軟な理解力、高度な応用力、切れ味鋭い実践力を備えておられます。当館の高3受験生さんに優るとも劣りません。これって無茶苦茶凄いことです。例えば陸上競技やサッカーを想像してみて下さい。65歳の選手がインターハイで高校生と同じパフォーマンスをするっていうのと同じです。
◆いつも明るくて丁寧、話題の豊富なAさんですが、英語に対するご姿勢はとても誠実です。あらたな知識や未知の世界との出会いを大切になさり、ひとつひとつを丁寧にご自分のものとなさって行かれます。そうした高い向学心と豊かな達成度に導かれ、当館の側からも持てる全てをお示しし、在り得べき最も高い頂きへと歩みを進めています。◆社会人の生徒さんは「話せるようになりたい」「論文が読めるようになりたい」「英検~級を取得したい」など特定の目標を持つ方が多いのですが、Aさんの場合はハイレベル英文解釈から難解文英訳まで「全周全面英語」を育んでいます。
◆通い初めて1年になられたAさんがメールで送って来られた英文解釈が以下です。元文が英語だったものを翻訳なさった例です。「人々が東京のような大都市に住むことを好むか或いは北海道の小さな田舎町に住むことを好むかは子供の頃に何処で育てられたか次第であると思われます。私の場合、大阪生まれの大阪育ちなので大都市の賑やかな雰囲気の方が好きです。」「生活水準が高かろうが低かろうが私たちは一つの顕著な経済的事実に向き合わなければなりません。即ち、どんな時でも多くの欲求の内、限られたものしか満たすことはできないということです。」◆一方、以下は本日行なった英作文です。こんな日本語を英語にされているのです。「手紙はもらったその日のうちに返事を書くことにしている。そうしないと、手紙をくれた人に借金があるような気がするのだ」「この前、10年前に住んでいた町の様子を見に行った。辺りの様子がすっかり変わっていて元の家は見当たらなかった」「少年時代の純真な理想をあくまで保持する人は、たとえその理想に達しないまでも立派な人間になるものだ」「人は自分の権利を主張する前に義務を果たしているかどうかを反省すべきだ」「使った後は何でも元の場所に返せというのが我が家の犯すべからざる鉄則だった」「時計が11時を打つのが聞こえた。隣室の友の眠りを妨げないように急いでラジオを消した。友は何ごともなかったようにスヤスヤ眠っていた」
◆高齢化時代の到来が叫ばれて久しいですが、そもそも「高齢化」というくくりを冠すること自体が間違いではないかと思います。65でも75でも「もう年寄りだ、無理だ」と思う必要はありません。人は意欲を失ったときに初めて老いるのだろうと思います。皆さんももうひと花咲かせませんか?