リスニングの真実/苦手が満点に
今般の英検で高2の男子生徒さん、A君が準1級に合格されました。
当館から17人目の準1級合格者ですが高校2年生では初の快挙です。
これまでは高3生でお二人受かっておられますのが最年少記録でした。
A君との出会いは2015年の1月に遡ります。
当時、小学校6年生だったA君が中学校に進むタイミングで当館へ通いたいとの御希望でした。その時点で既に準2級をお持ちの才人でいらっしゃったのですが、その時は日程が合わず見送りになりました。
3年近くが過ぎた2017年12月に再びご連絡を頂きました。御本人から「高校に入ったら以学館に通って英語を強化したい」とのご希望があったとのことでご受講の予約を頂きました。さらに年が明けて2018年4月に再びご連絡を頂きました。空き枠のお問い合わせ、難関高校での学習が始まり本格的学習に対処したいこと、などが述べられています。そして2018年7月にようやく空き枠が出ました。その時のメールには「苦手教科が出始め苦戦している、これではダメだと生活スタイルや勉強方法を変え夏休みに頑張ろうという時だった」との現況が綴られていました。これは高校生になって少なからぬ生徒さんが感じる「壁」です。中学までは才能だけで乗り切れるのですが高校レベルはそうはならないことにカルチャーショックを受けるのは往々にして見られる現象です。
こうして3年越しの準備期間を経てA君との学習が始まりました。
以下は学習を始めて半年ほど経ったときにお母様にお送りしましたメールです。
「A君は素晴らしい才能をお持ちです。そもそも持っておられる才能、言語のセンスには並外れた輝きを持っておられました。長文系を扱いますと瞬時に高度な文脈を読み解き、難解な長文問題を一気に読み切ります。中々ここまでハイレベルなセンスを持つ生徒さんは少ないです。一方、従来は苦手であった「英語的な考え方」「英語的視点」もここへ来て開眼しました。(高度な国語力を持つ人には往々にして見られる現象なのですが)A君は文脈力が立つので、ついその自分的視点に頼って英語を御そうとしていました。日本語ならそれで成り立ちますが、そもそも理論も文化も違う英語は破たんします。それが苦労していた原因なのですが、ここへ来て「英語を英語のまま受け入れ理解し扱う」ことに目覚めました。目覚めると、結果としての英語のスコアも激変しますが、何より「楽しさ」が分かります。今、A君は「苦悩」の時代を乗り越え「英語人の愉しみ」を手にしつつあります。自信を持って頑張って下さい。」
そう言えばお母様からお手紙を頂いたことがあります。
以下は、そのお手紙への返信メールの一節です。
「お母様の御文を拝読しまして文脈豊かで流麗な文体に感嘆いたしました。A君の文才はお母様譲りですね。脈々と受け継ぐ豊かな才能。このお母様にしてこのA君ありです。何もご心配するには及びません。大船に乗ったつもりで心豊かに成長を見守って上げて下さい。」
そしてこのお便りを差し上げてから半年、遂に掴んだ当館最年少での準1級合格。
今回の快挙は示唆深い幾つかの視点を教えてくれているように思います。
1つは、御本人A君が決して「順風満帆」に「苦労知らずの才能に任せて」掴んだ結果ではないということです。御本人なりに「壁」に当たり「カルチャーショック」を受けながら苦しい時代を乗り越えてきました。
1つはご家庭(お母様)の長期的視野に立った粘り強く系統立てた教育支援です。裏方に徹しながら常に暖かな愛情をもってA君を側面支援されてこられました。
そのどちらが欠けても今回の快挙には至らなかったと思います。
おめでとうございました!
無限の未来へ