リスニングの真実/苦手が満点に
当館には入門者から英検1級合格者まで幅広いレベルの生徒さんがいらっしゃいます。
年齢も小学生から70歳代まで多岐に渡ります。
立場は違っても皆様に共通する思いは「英語に向き合いたい」という真摯な思いです。
今般は「やり直し」にかける御三名のことを記してみたいと思います。
Aさんは48歳の社会人でいらっしゃいます。
48歳といえばあと一回りで還暦を迎える人生のベテランです。
そういう意味では人生の節目と言えるかもしれません。
Aさんは英語を使いこなしたいという熱き思いをずっと抱いてこられました。
しかしながら中々結果が伴いません。
お年もお年ですし諦めるという選択肢もあったのではないかと思います。
しかし、意を決し、一歩を踏み出し、当館へお出でになったのです。
いつも明るいAさんは何事にも一生懸命に取り組む素晴らしいお人柄をお持ちです。
が、肝心の英語力は「思いが空回り」している状態でした。
あれこれ手を出しておられるので、ぽつりぽつりと知識をお持ちです。
しかしそれらが脈絡なく宙を漂っています。
つまり系統立てた英語力になっていません。
虫喰い状態なのです。
思い切って0からのスタートに切り替えました。
建物には土台というものがあります。
いくら立派な外壁を持っていても基礎が虫食いでは倒れてしまいます。
Aさんも喜々として夢中で取り組んでおられます。
基礎が分からずに無理やり行なう英語の辛さを身をもって知っておられるだけに、
一回ごとに、海綿が水を吸収するかのごとく進歩されます。
「凄いじゃないですか! 完璧です。やればできるじゃないですかー」と言う私に彼が答えます。
「初めて分かりました。ようやく僕にも春が来ました」とお顔をクシャクシャにして喜ばれます。
続けて私が言った言葉です。
「国で待っているおっかさんに電報、打ちましょう!」
「苦節48年、おいらも英語ができるようになったようぅ、おっかさーん!」
Bさんは大学4年生です。
関西の有名難関私大をご卒業予定で県内の超一流企業に就職が決まっておられます。
ところが「社会人になって求められる英語力に自信がない、卒業までに少しでも磨きたい」と当館の門を叩かれたのです。
現在当館は土日や夕方以降は25名様がご予約待機をなさっておられる状態です。
空き枠がない旨を申し上げましたら「卒業の単位はもう全て取ったので学校へ行く必要がない。
どんな時間でもいいので空いている時間に通いたい」と仰います。
並々ならぬ決意ですね。
胸打たれました。
こうして平日の昼間に通い始められたのです。
ここで当節の入試制度について若干説明したいと思います。
昔の高校はいわゆる普通科と職業科に分かれていました。
前者は大学へ進み、後者は就職するという図式でした。
今は随分様変わりしています。
職業科から大学へ進むのが一般化したこともそうですが、それ以上に驚くのは、推薦入試で相当な難関大/有名大へ進学されます。
例えば富山商業高校の生徒さんはよく当館へいらっしゃいます。
どなたも明るく熱心な素晴らしい生徒さんばかりです。
学校の課題はかなりきついのですが、それに良く食いついて頑張っておられます。
結果として、金沢大学・富山大学・同志社大学・立命館大学などへ進学されました。
当館の生徒さんです。
例えば中部高校や東高校のような進学校からでも金沢大学や同志社大学に進むのは容易ではありません。
推薦入試と一般入試の違いはあるにせよ、事ほど左様に入試は様変わりしているのです。
本題に戻ります。
Bさんも推薦入試で一流難関大に進まれた方なのです。
ところが中学校以来、英語はからっきしだったそうです。
実際にお会いしてみて驚きました。
苦手な方はよく拝見しますが、これまでの全ての方の苦手度を上回っています。
しかしあの厳しい校内選抜に残って難関大学に進んだBさんに才能がないわけがありません。
こちらも0の0からスタートしました。
いざ始めてみると凄いのです。
やり直した何もかもが、文の考え方も単語も熟語も一瞬で完璧に仕上がっていきます。
しばらく回を重ねると、以前には一字一句出てこなかったものが今度は秒殺で完璧に仕上がって出てくるのです。
お教えしているこちらが魔法にかかったようです。
人間にとって「不足感」は大切な進歩への足掛かりです。
足らないと思うからこそそれを埋めようと意欲が湧きます。
現状を打破せんと立ち上がったBさんの根性と才能に心からの拍手を送りたいと思います。
Cさんは大学への進学が決まった高3生です。
実はまだお出でになっておられません。
来週から当館へ通うことになりました。
地方の中堅校に通うCさんは東京の有名一流私大に推薦入試で合格が決まられたそうです。
島崎藤村の母校、ミッション系で英語教育に力を入れている素晴らしい大学です。
これまではスポーツに打ち込んでこられ多くの方にお世話になったそうです。
その恩返しをしたいと願って選んだ大学だが英語に自信がないので卒業までの間に少しでも力を付けたいとのことです。
さきほどのBさんにしても今度のCさんにしても就職や大学が決まって安心する場面とも言えます。
しかし、そこで気を抜かず更なる高みを目指して頑張ろうとする姿勢が素晴らしいではありませんか。
48歳、大学4年生、高校3年生。
3つの「人生の節目」の生徒さんの今後に幸多かれと念ずにはいられません。
頑張れー!
月までも星までも