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上野伸彦プロは北日本新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

エール

上野伸彦

上野伸彦

専門の英語とは異なった分野のお話です。


以学館の開校以前にフルートの演奏活動をしていたことがあります。
学校、病院、老人施設、幼稚園、市役所等のコンサートで演奏をしておりましたほか、ソロ・リサイタルも開催したことがあります。
最近は本業の英語が忙しく演奏活動はすっかりご無沙汰ですが、時々、演奏を録音してHPに掲載しております。

フルート演奏を掲載した当館HP:
http://igakukan.web.fc2.com/flutenew.html


さて先日、とある実験をしてみました。
現在、手元には3本のフルートがあります。
1. 総銀製   (現在定価 50.8万円)
2. 頭部管のみ銀製 ( 同 14.4万円)
3. 洋銀(銅とニッケルの合金)製 ( 同 2.8万円)

同じ曲の同じ部分を3本の楽器で吹き比べてみたのです。
総銀製の楽器は洋銀製の楽器の25倍、良い音がするのでしょうか?
頭部管だけ銀製の楽器の1/7の悪い音が鳴るのが洋銀製なのでありましょうか?

楽器を持ち替えながら3本連続して吹いてみました。
持ち替え時に2~3秒の間が開きます。
どちらも楽器の順番は同じであります。

同じ曲を3種類の楽器で吹いた例    童謡「赤とんぼ」
http://igakukan.web.fc2.com/sound31.html
     同じく           「浜辺の歌」より
http://igakukan.web.fc2.com/sound30.html
(ヘッドフォンがお薦めです。桁違いによく聞こえます。)





ブログに掲載しましたところ、ご常連の方からお書き込みを頂きました。
その方はフルートの名手殿でいらっしゃいます。
これまで幾多の楽器を駆使して数々の名曲を録音しておられる大ベテラン殿です。

お答えは、1が洋銀、2が総銀、3が頭部管銀でありました。
一方で「ほとんど違いは分からない」とも仰っておられました。
1番の答えは洋銀です。よくお分かりになられたですね。さすがは大ベテラン殿です。
洋銀は比重が軽いので鳴らしやすい反面、音が軽くて遠くまで伝わりにくい、とかいいます。
しかし今どきの洋銀は実に豊かな音が鳴ります。
吹いている手元では一番大きな音に聞こえたのでありますが、録音してみると、低音の響きが(音量ではなく響き)が「違って聞こえる」気もします。

実際の答えは、2番が頭部管銀のフルート、3番が総銀のフルートでありました。


つまり、洋銀フルートには僅かばかりの差が生じるものの(それも大ベテランでようやく分かる程度)、頭部管銀製ともなれば、もはや、その差は物理学的なものに過ぎないということです。
14万円の楽器は50万円の楽器の1/3.5の悪い音がする、ということではないのです。

楽器に限らず趣味というものは「持つ喜び」も大きな要素を占めます。
熱心に取り組めば取り組むほど、より良い道具で自らを磨きたいのは当然です。
一生懸命働いて貯めたお金で高級楽器を買った時の達成感は言葉に表せないものがあります。
かくいう私も、洋銀から総銀、総銀からゴールドフルートへと階段を登った典型的オタクです。



今、熱心にフルートを吹いている多くの少年少女がおられます。
どの程度の楽器を持つ、否、持てるかというジレンマがあります。
例えば、友達は総銀なのに自分は洋銀だとか頭部管銀だとか。
あるいは親御さんも悩みます。
いい楽器を買ってやりたいのは山々だが、家のローンに将来の学資に、保険に食費に・・。

申し上げたいのは、楽器は表現手段でしかないということです。
表現主体は人間です。
上の実例が示すように、楽器本来の差は思ったほど大きなものではありません。
安い楽器だからと自分を卑下する必要も、性能不足だから上手くなれないと諦める必要もないのです。
私が300万円のゴールドフルートを吹いた演奏とランパルが3万円の洋銀フルートを吹いた演奏とどっちが素敵でしょうか?
1万人にブラインドテストをすれば1万人が後者を選ぶでありましょう。


頭部管のみ銀製フルート(パールPF-675)によるアンサンブル例:
1. 七つの子変奏曲
http://igakukan.web.fc2.com/sound40.html
2. 時代
http://igakukan.web.fc2.com/sound41.html





何より大切なのは「想い」


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