教育における、母親の影響
社員訓練の1事例
人材の紹介を頼んだとある社長のお話。
推薦され入社した社員をすぐに呼び、いきなり得意先への歳暮を任せ、思い通りにするよう命じた。この社員が前例を調べると、前回は総額200円(時価)の品物である。
直々の任命に応えるべく、彼は500円(時価)―2,5倍の歳暮を張り込むことにした。
あなたなら、その報告を受けた時、どのような反応をしますか?
豪胆さもまた肝要なり
毀誉褒貶も様々だと思います。手厚い進物を褒める者有らば、2,5倍もの金額を使用したと叱責する者も在りましょう。どれだけの反応や効果があったのかを尋ねる方も在るでしょう。以下が、この社長の反応になります。
「貴様、二百圓を五百圓に増しただけではないか。度胸のない奴だ」と笑つたので(岩崎彌太郎・岩崎彌之助傳記編纂会・編『岩崎彌太郎傳 下巻』)669頁
現代と言葉の用法が異なるため、この時代の「貴様」は悪い意味では使われていないことを前置きしておきます。
さて、皆さまはどのような感想をもたれましたか?引用文献を明示しているためネタバレになってしまっていますが、この社長は三菱創業者の岩崎彌太郎です。得意先の反応を聞くこともなく、どれだけの費用対効果があったのかを聞くこともなく、褒めも貶しもしない態度に驚く方も多いのではないでしょうか。この社員は、その豪快さに驚嘆したと伝えられます。
このような姿を、「豪放磊落(ごうほうらいらく)」と言います。リーダーには、器の大きいところを見せるというのもまた、大切な要素の一つです。
この社員の正体
岩崎彌太郎の要望を受けた福沢諭吉が推薦し、三菱に入社したこの人物。朝吹英二と言います。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、後に王子製紙の取締役会長を務めることになる人物です。
今回はここまで。