PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

テクノロジーを活用し、歯の移植・インプラント治療の成功率を向上

テクノロジーを用いた歯の移植治療に取り組む歯科医

羽田裕二

羽田裕二 はねだゆうじ
羽田裕二 はねだゆうじ

#chapter1

3Dプリンターを用いた歯の移植治療で、失った歯のかみ心地を取り戻す

 虫歯や事故などで歯を失った場合、入れ歯やインプラントなどのほかに、「歯の移植」という選択肢があることを知っていますか。JR西国分寺駅の近くにある「ゆとり歯科医院」院長の羽田裕二さんは、歯の移植治療に力を入れています。

 歯の移植は、自分自身の歯を、口の中で別の位置に埋め込む保険適用の治療です。親知らずのほか、歯列からずれた歯、矯正治療で抜いた歯のような、使われていない歯を再利用し、必要な場所に移します。

 インプラントなどとの大きな違いは、移植する歯に、天然の歯が持つ「歯根膜(しこんまく)」があることです。「歯根膜は、歯の根元を覆っている薄い膜で、クッションのような役割があります。ものをかんだときの衝撃をやわらげたり、食感を脳に伝えたりと、かむ力の微妙な調整をしています。そのため、移植後も失った歯と同じかみ心地が得られます」

 羽田さんのもとでは、移植成功率を高めるため、先端技術を活用。3D-CTで口の中を立体的にとらえ、3Dプリンターで移植する歯の精密なレプリカを作製します。「テクノロジーと、人の手による繊細な技術をあわせることで、より確実に手術のシミュレーションを行えるようになりました。当院では月1~2件の手術を行っており、90%以上の移植成功率を誇ります」

 先天的に歯の本数が少ない、歯茎の中に歯が埋まっている、など、時には矯正歯科とも連携しながら、複雑な症例でも実績があります。評判を聞き、大阪など全国から患者が訪れています。

#chapter2

口腔外科を専門に、インプラント治療でも技術力を発揮

 歯の移植で活用する3Dプリンターは、インプラント治療(自由診療)でも役立ちます。一人一人の口の中を立体的に撮影し、人口歯根をどの位置に埋め込むかをシミュレーションした治療ガイド(写真)を作成。「手術前に綿密なリハーサルを行うことができるため、治療の確実性を高めます。また手術時間の短縮につながるなど、患者さんの負担を軽減できます」

 羽田さんが歯科医を志したのは、同じく歯科医だった父の影響だと言います。「高校生の頃に読んだ、若者向け人生指南書の〝遠回りでもいいから、身近なことから始めてみよう〟という言葉に背中を押され、父と同じ仕事をしてみようと思いました」

 東京都立病院の歯科口腔外科で17年の経験を積み開業。口腔外科の専門性を生かして、歯の移植治療を極めようと決意したそう。「入れ歯やインプラントなどの人工物を、口の中に入れることに抵抗がある方もおられます。移植という治療の選択肢を増やし、できる限り患者さんの希望に応えることを大事にしています」と羽田さん。

 また、「噛天喜知 噛める8020」をスローガンに、予防歯科にも注力。〝噛天喜知(かんてんきち)〟は、小躍りするほどの大きな喜びを意味する四字熟語・歓天喜地にちなんだ造語です。「80歳で20本の歯を残す〝8020運動〟を国が推進しています。当院は、単に歯を残すだけでなく、かめる喜びを感じてもらうことを目指しています」。患者の喜ぶ顔を見ることは羽田さんの原動力になっています。

羽田裕二 はねだゆうじ

#chapter3

院内の感染予防対策に努め、ホワイトニングなど普段からの接点も大切に

 最近は、歯の表面に付着した着色を取り除く、自由診療のホワイトニングを希望する患者が増えていると言います。2種類の方法があり、歯科専用の照射機で施術するオフィスホワイトニングと、専用の液剤で毎日セルフケアを行うホームホワイトニングです。

 「個人差はあるものの、オフィスホワイトニングは当日など短期間で、ホームホワイトニングでは約1カ月で、歯が白くなります。その白さを維持したい場合は、両方を行うデュアルホワイトニングがおすすめです。ホワイトニングを受けると白い歯を大事にしたいと思うので、歯みがきなど予防意識が高まるという効果もあります」

 同院は、2020年12月に院内を大幅にリニューアル。コロナの感染不安から来院を控える人も多かったため、安心して治療が受けられるよう予防対策を強化しました。医院全体の換気システム、およびウイルス除菌装置を備えた「特診室」を新たに設け、待合室も〝密〟に配慮したレイアウトに変更しました。

 また、待合室に〝withコロナ〟をテーマにした日本画を展示。ネコ好きの羽田さんが依頼した絵には、長生きをした飼い猫が妖怪になる〝猫又(ねこまた)〟の言い伝えが描かれています。「昔の人々は原因不明の疫病を妖怪の仕業だと考え、平安時代に疫病が流行ったときも猫又の仕業としたそうです。コロナの世の中を猫又になぞらえ、その中でわたしたちは変わらず歯科治療を行うことを表しました」

 やむなく歯を失った場合でも、幅広い治療法をもって最善を尽くしてくれる羽田さん。「仕方がない」とあきらめず、自分の歯を守るためにより良い選択肢を相談してみませんか。

(取材年月:2021年10月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

羽田裕二

テクノロジーを用いた歯の移植治療に取り組む歯科医

羽田裕二プロ

歯科医師

ゆとり歯科医院

口腔外科で培った技術力と、3Dプリンターなど先端テクノロジーをあわせた歯の移植治療で高い実績があります。これまでの移植治療成功率は90%以上を誇り、矯正歯科と連携した複雑な症例にも対応します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ東京に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO