私の3つの強み
「退職理由を、面接でどう伝えればいいのか分からない」──転職活動中の方から、最もよく寄せられる悩みのひとつです。正直に不満を話せば印象が悪くなりそうだし、かといって取り繕えば見抜かれそうで怖い。多くの方がこのジレンマで立ち止まります。結論から申し上げると、退職理由は「何を言うか」よりも「不満の裏側にある何を語るか」で印象が大きく変わります。そして面接官は、その語り方から候補者の価値観を読み取っています。私たちUnitas(ユニタス)は、元リクルート人事責任者として2万人超の面接に携わった経験をもとに、求職者と企業の双方を支援しています。本コラムでは、面接官が退職理由から何を見ているのか、そして「すぐ辞めそう」と思われやすいNGパターンを、人事コンサルタントの視点から整理して解説します。なお、この記事の内容は動画でもご覧いただけます。
面接官にとって退職理由は「候補者を映し出す鏡」
採用面接において、退職理由は必ずと言っていいほど聞かれる質問です。なぜこれほど重視されるのか。理由は明確で、退職理由にはネガティブな要素が含まれやすく、だからこそ候補者の素の価値観が現れやすいからです。順調なときの語りには、誰でもある程度きれいな言葉が並びます。しかし「なぜ前の職場を離れたのか」という、ある種ネガティブな状況を語るとき、その人が何を大切にし、困難にどう向き合う人なのかが浮き彫りになります。面接官は、まさにそこを見ています。そのため面接官は、退職理由をかなり深く掘り下げます。具体的には、次の3点を整理しながら質問を重ねます。・退職理由(なぜ辞めたいと思っているのか)
・いつから(その想いはいつ頃からあったのか)
・きっかけ(具体的に何が引き金になったのか)この3点が整理されていると、事実関係が明確になり、語りに一貫性が生まれます。逆にここが曖昧だと、「本当の理由を隠しているのでは」という印象を与えかねません。
「すぐ辞めそう」と思われるNG4タイプ
採用の現場で、面接官が警戒する退職理由には、共通したパターンがあります。代表的な4つのタイプを見ていきましょう。
①他責タイプ(ヒト要因)
「上司がパワハラだった」「人間関係がギクシャクしていた」など、原因を他者に求める語り方です。人間関係の問題はどの職場でも起こりえるため、面接官は「少し揉めただけですぐ辞めるのでは」「改善のために動かなかったのか」と受け取りがちです。
②環境不満タイプ(働き方・待遇要因)
「休日が少ない」「リモートが解除された」など、環境への不満を前面に出す語り方です。働き方や環境は今後また変わる可能性があるため、「成長よりも働きやすさを優先するタイプ」と解釈され、成長意欲が薄いという印象につながりやすくなります。
③仕事内容への不満タイプ
「仕事がつまらない」「案件に恵まれなかった」など、与えられた仕事そのものへの不満です。受け身な姿勢として映りやすく、「環境が変わっても同じ不満を繰り返すのでは」と見られがちです。
④将来性・条件への不満タイプ
「業界が衰退している」「評価が不明確だった」など、会社の将来や評価制度への不満です。妥当な指摘である場合も多いのですが、不満だけで止めると、建設的さに欠ける印象を残します。
共通しているのは、いずれも「不満」で語りが止まっていることです。面接官が知りたいのは不満そのものではなく、その先にある「ではどうしたいのか」なのです。
NGを好印象に変える「裏返し」の発想
ここからが本題です。これらのNGパターンは、伝え方を変えるだけで印象が大きく変わります。鍵になるのが、不満を、その裏側にある前向きな欲求に言い換えるという発想です。たとえば「研修制度が整っていない」という不満。これをそのまま伝えれば単なる不満ですが、裏を返せば「自分を成長させたい、自己研鑽したい」という欲求の表れです。「評価基準が不明確だった」も同じで、その裏には「成長を実感しながら働きたい、努力を正当に認められたい」という願いがあります。つまり大切なのは、不満の裏側にある「成長欲求」や「外向きの志向」を、自分の言葉で語ることです。人間関係を理由にする場合の変換例を挙げます。「人間関係が悪くて、組織内がギクシャクしていた」とそのまま伝えると、面接官は「あなたにも一端の責任があるのでは」と受け取ります。これを、次のように語るとどうでしょうか。「私も組織の一員として責任を感じていました。改善のために上司にも働きかけましたが、状況は変わりませんでした。社内の調整に時間を割くよりも、お客様に向き合って価値を届ける仕事がしたい。そのためには環境を変えるべきだと判断しました」変換のポイントは2つです。
①冒頭で自らの責任にも触れ、改善に動いた事実を示すこと。②不満を「前向きな仕事への阻害要因」として位置づけ直すこと。事実は何も変えていませんが、印象はまったく変わります。
言い換えは「ごまかし」ではない
こう聞くと、「結局は本音をごまかすテクニックでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし、そうではありません。不満の裏返しを言葉にする作業は、自分が本当は何を求めているのかを掘り下げる、自己理解のプロセスです。「人間関係が嫌だった」で止まっている限り、次の職場でも同じ壁にぶつかりかねません。「自分は外向きに、お客様に価値を届ける仕事がしたいのだ」と言語化できて初めて、次の選択基準が定まります。小手先で取り繕うのではなく、自分の言葉をしっかり磨く。それができたとき、面接官のあなたへの印象は大きく変わり、同時にあなた自身のキャリアの方向性も見えてきます。
一人で「裏返し」を見つけるのが難しいときは
とはいえ、自分の不満の裏側にある欲求を、一人で言葉にするのは簡単ではありません。不満は感情として自覚しやすい一方で、その奥にある前向きな欲求は、日常に埋もれて気づきにくいものだからです。私たちが転職相談を受けていて実感するのは、相談に来られる方の多くが、まだ転職するかどうかを決めていない段階で来られるということです。「今の職場へのモヤモヤを、どう整理すればいいか分からない」という状態で構いません。むしろその段階で一度、自分の本音を客観的に整理しておくことが、後の選択を大きく助けます。退職理由の伝え方に不安がある方は、一人で抱え込まずに、まずは話してみるところから始めてみてください。LINEで気軽にキャリア相談を受け付けています
転職するかどうか決まっていない段階でも問題ありません。「退職理由をどう伝えればいいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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