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ファミリービジネスの円満な事業承継を、現役三代目経営者が伴走支援

ファミリービジネスの事業承継を支える専門家

熊谷弘司

熊谷弘司 くまがいひろし
熊谷弘司 くまがいひろし

#chapter1

親族内承継の失敗と成功体験に基づく独自の「事業承継学」

 創業家が経営に関わる「ファミリービジネス」。事業承継に関するトラブルを耳にしても、「うちの家族は仲がいいから」と自社には関係ないと思っていませんか。

 「今は問題がないと感じていても、顕在化していないだけかもしれません。早めに自社の課題を整理しておくことが大切です」と話すのは、石塚株式会社 代表取締役の熊谷弘司さん。ビニール・合成樹脂分野を主軸事業とする同社の三代目経営者で、自身の親族内承継の経験を生かし、中小・非上場企業のファミリービジネスに特化した事業承継支援に力を入れています。

 まず、実体験をもとに独自に体系化した「事業承継学」の講義を実施。経営と所有が分離しにくい親族内承継ならではの、事業・家族・株式に関する7つの重要な要素を学び、自社の課題を整理していきます。その上で企業ごとに優先順位を明確にし、実行まで伴走支援します。

 事業が順調であれば会社は安泰と考える経営者は少なくありません。しかし、ファミリービジネスではビジネス上の関係と同時に家族としての関係もあるため、意見の相違が生じると感情的になりやすく、問題が複雑になることがあります。また、経営に直接関わらない家族との意識のギャップを埋めることも重要だと熊谷さんは話します。

 「創業者である祖父から父へ事業を引き継いだ際、親族間のトラブルに直面しました。その反省を生かし、父から私への承継では、株式の譲渡や非就業親族への経営教育などを10年かけて準備し、円満な事業承継を実現できました。実体験だからこそ、お伝えできることがあると考えています」

#chapter2

ファミリー企業の後継者としての葛藤や悩みもアドバイスの根拠に

 子どもの頃から祖父や父の姿を見て育ち、経営者という仕事は身近な存在だったという熊谷さん。一方で、会社を継ぐことには強い抵抗感があったと振り返ります。

 「親族間のトラブルに加え、高校生の頃、祖父の葬儀で会社関係者から『社長になったら、社員とその家族の生活を背負うから大変だね』と言われ、大きなプレッシャーを感じました。また、当時メディアで見たIT企業の経営者の姿から、経営者の富は誰かの不幸の上に成り立っているという印象を抱き、自分には務まらないと思っていました」

 就職活動中、改めて父から進路の意思を確認された熊谷さんは、「第一志望に内定したらその道に進み、不合格なら会社を継ぐ」と宣言。結果、家業を継ぐことになりましたが、自らその道を選ぶと決めたことで覚悟が定まったと言います。こうした歩みを通して、後継者にも「言われたからではなく、自分の意思で決めた」という覚悟を持つことの大切さを伝えています。その後約4年間は修業期間として、取引先の一社で営業、財務部門など幅広い業務を担いました。

 「上司や先輩に恵まれ、幅広く経験させてもらったことを今も感謝しています。特に営業活動を通して、お客さまにご満足いただくことが会社の利益にもつながると知ったことは大きかったですね」

 2010年に家業である同社に入社。当初は市場開拓をめぐって古参の幹部との対立もありました。

 「それまで培ってきた考えに基づく助言でしたが、私なりの考えで、部下とともに新たな市場開拓を実現しました。後継者が自ら行動し結果を出すことで、周囲の認識も変わると実感しました」

#chapter3

本業での実績を生かし、次世代へつなぐ承継を支援

 熊谷さんは2018年に代表取締役社長に就任。本業ではビニールカーテン分野に経営資源を集中し、製造から施工まで一貫対応できる体制を構築。組織改革にも取り組み、「千代田ビジネス大賞」を受賞するなど、着実に事業を発展させてきました。「100年・100人・100億」を掲げ、「まずは100年企業を目指し、従業員数や年商もさらに伸ばしていきたい」と話します。

 近年、親族内承継を円満に実現した経営者として、周囲からアドバイスを求められることが増え、コンサルティングを事業化。「こんなに準備が必要とは思わなかった」との声も多く寄せられているそうです。

 「親族内承継では、創業者が『問題はない』と考えていても、実際に進めて初めて思わぬ苦労が生じるというケースは少なくありません。せっかく後継者がいるにもかかわらず、事業の継続が難しくなるのは非常にもったいないことです。私の経験を生かし、事業を次世代へ円滑につなぐためのお手伝いをしたいですね」

 事業承継まで時間がある場合でも、理論や選択肢を早めに知り、準備を始めることが重要だと熊谷さんは強調します。

 「時間の経過とともに、事業承継の選択肢は少しずつ減っていきます。『家のことを知られるのは恥ずかしい』とためらわず、相談してください。家族同士だからこそ感情的になりやすい場面もあります。第三者を交えながら、より良い事業承継を考えていきましょう」

(取材年月:2026年6月)

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専門家プロフィール

熊谷弘司

ファミリービジネスの事業承継を支える専門家

熊谷弘司プロ

事業承継コンサルタント

石塚株式会社

親族間トラブルと円満承継の両方を経験したファミリービジネス三代目経営者が、中小企業の親族内事業承継を支援。実体験を体系化した独自の「事業承継学」と実践的な伴走支援で、円満な承継を後押しします。

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