樹木葬の維持費と費用相場~内訳や契約前に確認すべき注意点~

村田光史

村田光史

テーマ:コラム一般

樹木葬が選ばれる背景と維持費にまつわる誤解


近年、樹木や草花に囲まれた埋葬方法として「樹木葬」が注目を集めています。石のお墓に比べるとシンプルで費用を抑えられ、環境にも優しいというイメージから、選ぶ人が増えてきました。

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しかし、契約して利用を始めると「思っていたよりお金がかかる」と感じる人も少なくありません。その理由のひとつが「維持費」です。

パンフレットに「永代供養付き」と書かれていると「追加費用は不要」と思いがちですが、実際には運営形態や仕組みによって費用のかかり方が異なります。年ごとの管理料が必要な霊園もあれば、契約時に将来分を前払いするケースもあります。さらに法要の志納金や銘板の追加刻字など、契約書を見て初めて気づく費用もあります。

つまり「維持費ゼロ」とあっても、完全に費用がかからないとは限りません。「どの名目で、いつ、いくら発生するのか」を細かく確認することが大切です。

また、樹木葬には「屋外型」「里山型」「ガーデン型」「屋内型(納骨堂併設や自動収蔵式など)」があり、運営も公営・宗教法人・民営とさまざまです。タイプや運営方針によって維持費や負担の仕組みは異なります。安さだけを重視すると、予想外の費用で後悔することもあります。

維持費に含まれる主な費用と樹木葬タイプ別の相場


維持費に含まれる主な内容は次のとおりです。

  • 管理費
  • 植栽の手入れや清掃、設備維持などに充てられる。屋外型なら0~1万円台、屋内型や都市部は1~3万円程度。「0円」とあっても初期費用に前払い分が含まれる場合あり
  • 供養行事の志納
  • お盆やお彼岸に合同法要を行う際、参加ごとに数千円~数万円が必要な場合あり。永代供養に含まれる場合と別扱いの場合がある
  • 銘板・プレート費用
  • 新規作成1万~5万円、追刻1万~3万円程度。屋外では劣化により交換が必要となり、2万~5万円かかる場合もある
  • 追加納骨料
  • 2柱目以降は1柱につき3万~10万円程度。追刻や法要と合わせて費用が増えることもある
  • 安置期間の更新料
  • 「13年」「33年」など期間満了後は合祀に移るのが一般的。延長する場合は10万~数十万円が必要になることもある


タイプ別の相場感は次のとおりです。

  • 屋外合祀中心型
  • 初期費用:20~40万円台
  • 年間管理費:0~1万円程度
  • 屋外個別区画型
  • 初期費用:30~70万円台
  • 年間管理費:5000円~2万円程度
  • 屋内型
  • 初期費用:80~150万円台
  • 年間管理費:1~3万円程度


大事なのは初期費用と維持費を合わせた総額を、納骨人数に応じて考えることです。

樹木葬契約前に知っておきたい維持費の落とし穴と注意点


維持費で後悔する人が多いのは、典型的な落とし穴があるためです。

まず「維持費ゼロ」という表現の本当の意味です。契約期間中はかからなくても、期間終了後に更新料が必要になる場合があります。パンフレットだけで判断せず、契約書を必ず確認しましょう。

また、個別安置期間終了後に合祀へ移る際、銘板や参拝方法がどうなるかを理解していないと「想像と違う」と感じてしまいます。

植栽にも注意が必要です。自然の魅力が樹木葬の特徴ですが、木が枯れたり植え替えが必要になれば費用がかかります。その際の対応や補償範囲を確認しておくと安心です。銘板やプレートも屋外では劣化が早く、交換費用や耐久性の把握が必要です。

追加納骨時には「納骨料」「追刻料」「法要の志納金」が同時にかかる場合があります。家族の人数を想定して合計を試算しておくことが安心につながります。

さらに管理費を滞納したり住所変更を伝え忘れると、延滞時の対応や合祀への移行条件が適用されることがあります。契約書で確認しておくことが重要です。

運営主体の違いも影響します。公営は費用が抑えめで規約も明確、宗教法人は法要との結びつきが強く志納を求められることがあり、民営はサービスが幅広く費用も差が出やすい傾向があります。屋内型は利便性が高い一方、管理費が高めに設定されることもあります。

さらに金額表記の「税込」と「税別」にも注意が必要です。墓地使用料は非課税ですが、銘板刻字や法要は課税対象になることがあります。

総額を踏まえて樹木葬を選ぶための考え方


樹木葬を選ぶときに大切なのは「維持費を含めた総額を時系列で把握すること」です。

  • 家族構成と納骨数を想定
  • 単身か夫婦か、親子を含めるかを決め、追加納骨料や追刻費も計算に入れる
  • 三つの時点で総額を算出
  • 契約時・契約満了時・最終納骨後の3段階で、初期費用と維持費を合計する
  • アクセスと参拝頻度を考慮
  • 管理費が高めでも通いやすければ心理的負担が軽くなる。交通費や時間も含めて判断する
  • 見積書を二種類もらう
  • 初期費用のみと、10年分程度の維持費を含めた総額の両方を依頼する
  • 現地確認を行う
  • 植栽の手入れ、清掃、銘板の状態、掲示物の更新状況をチェックする
  • 将来の連絡体制を整える
  • 代表者だけでなく家族の連絡先も登録し、未納や更新漏れを防ぐ


試算例は以下のとおりです。

  • 屋外合祀型(単身)
  • 初期費用:約25万円
  • 法要費を含め総額は約30万円前後
  • 屋外個別型(夫婦2柱)
  • 初期費用:約50万円
  • 納骨料や管理費を加え13年間で約78万円
  • 屋内型(夫婦2柱)
  • 初期費用:約120万円
  • 管理費などを含め13年間で約150万円前後


樹木葬の維持費は「ある・ない」で単純に分けられるものではなく、契約内容や運営主体によって大きく異なります。維持費は施設の管理を支え、安心して供養を続けるために必要な費用です。

だからこそ、初期費用だけで判断せず「総額」で比較することが重要です。契約内容や費用の内訳を確認し、現地を見学することで納得できる選択につながります。

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村田光史
専門家

村田光史(散骨代行)

合同会社KOKESHI Arts 海外リゾート散骨 海と森のセレモニー

希望する外国への散骨が可能か調査し、骨の粉砕や法的手続きを代行。葬儀は動画に収め、散骨証明書と共に遺族へ送付する。シニアライフパートナーの資格を持ち、墓じまいなどシニアとその家族の悩みにも幅広く対応。

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