海外散骨事情～ニュージーランド南島の世界遺産テ・ワヒポウナムでの散骨は可能か～

ニュージーランド南島、テ・ワヒポウナムに魅せられて～世界遺産での散骨は可能か？

ニュージーランド南島の南西部にある「テ・ワヒポウナム（Te Wāhipounamu）」は、フィヨルドランド、アオラキ／マウント・クック、マウント・アスパイアリング、ウエストランド・タイ・ポウティニの4つの国立公園から成る世界自然遺産です。

原生林や氷河、山並み、フィヨルドなど、多彩な自然景観が広がり、観光地としても高い人気を集めています。

2025年7月27日放送のTBS「世界遺産」でもこのエリアが特集され、山を登るペンギンや氷河の風景など、スケールの大きな自然が紹介されました。映像越しでも、テ・ワヒポウナムの圧倒的な自然の力強さが伝わってきました。

「こんな場所に還れたら素敵だ」と感じた私は、同じ思いを抱く方もいるのではと考え、実際に散骨が可能か、必要な手続きや配慮は何か、現地の法制度や文化的背景を踏まえて調べてみることにしました。

ニュージーランドでの散骨は合法？～法律とマオリの神聖観とは

ニュージーランドでは、火葬後の遺灰を自然に撒く行為（散骨）に関して、大きな法的制限は基本的に設けられていません。とりわけ海洋散骨は規制対象外とされ、【環境保護庁（EPA）のガイドライン】にもその旨が示されています。EPAが定める「海葬（burial at sea）」の制度は、ご遺体をそのまま海に沈める場合を想定しており、遺灰の散布は対象外です。

ただし、実際の実施にあたっては、法律だけでなく文化への配慮が欠かせません。先住民族マオリの価値観が広く受け継がれる同国では、海や山などの自然は「神聖な存在」とされます。マオリ文化において遺灰は「タプ（tapu）」、つまり「聖なるもの」「触れてはならないもの」とみなされ、丁寧な取り扱いが求められます。場所によっては自然そのものがタプとされ、遺灰を撒くことがふさわしくないと判断される場合もあります。

世界遺産テ・ワヒポウナムで散骨は難しい？

世界遺産として大切に守られるテ・ワヒポウナムの国立公園では、散骨を検討する際、ニュージーランド自然保護省（DOC）や先住民族マオリへの事前相談が推奨されています。法的な義務ではありませんが、その土地の文化や自然への敬意として重視されている姿勢です。

国立公園内での散骨が一律に禁じられているわけではないものの、事前の届け出や許可、地域との調整が必要となる場合があります。とくにミルフォード・サウンドやダウトフル・サウンドのような人気観光地では、観光船の運航や保全の観点から、個人での実施は難しいのが現状です。

一方、テ・ワヒポウナム周辺の公海や、私有地に近い沿岸部では、現地のガイドや船舶業者と連携し、法令に則って散骨が行われる例もあります。これらはDOCの管理区域外で行われ、静かで小規模に執り行われることが多いようです。

このため、国立公園内での散骨はハードルが高い一方で、周辺海域での海洋散骨は、現実的かつ法的にも問題のない選択肢として検討されることがあります。

テ・ワヒポウナムでの散骨を考えるときに大切なこと～自然と文化を大切にする気持ち

テ・ワヒポウナムのように自然と文化が深く結びつく地で散骨を考える際は、法令遵守に加え、地域の人々が大切にしてきた価値観や風土への理解が欠かせません。美しいという理由だけで決めるのではなく、その土地にふさわしい方法で、慎重かつ丁寧に向き合うことが大切です。

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私たち「海と森のセレモニー」では、海外リゾートでの代理散骨を専門に、各国の制度や文化に合わせて現地での散骨を行っています。

自然の中で穏やかに見送りたいという想いに寄り添い、正確な情報と安心してご依頼いただける体制を整えています。ニュージーランドでの散骨をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。