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8月に祈る、死者への想いと平和の誓い
原爆の日に黙祷を捧げる
2024年8月6日、広島に原爆が投下されてから79年が経ちました。この日、広島では原爆犠牲者を追悼し、「核兵器は二度と使われてはならない」という願いを世界へ訴える日となりました。
広島市の平和公園では平和記念式典が行われ、被爆者や遺族、岸田総理大臣をはじめ、109ヵ国の大使を含む約5万人が参列しました。
この式典では、今年1年で亡くなったり死亡が確認された5,079人の名前が追加された、計34万4,306人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められ、午前8時15分、参列者全員で黙祷が行われました。
松井市長は平和宣言の中で「武力に頼らざるを得ないという考えが強まっている」と懸念を表明し、「市民社会が心をひとつにして行動すれば、核抑止に依存する政治を変えられるはずだ」と訴えかけました。
8月9日には長崎でも原爆が投下されました。長崎県ではこの日を「県民祈りの日」と定め、午前11時2分に県民が一斉に1分間の黙祷を行い、犠牲者の冥福と恒久平和への誓いを新たにしています。
また、8月15日は終戦の日であり、8月は戦争による犠牲者を追悼する日が続きます。黙祷を捧げる行為は、災害や事件、事故など様々な犠牲者を追悼する場でも行われています。
黙祷の起源と日本での広がり
黙祷とは、死者や犠牲者に敬意と追悼の意を込めて、無言で静かに祈る行為を指します。
その起源は中国にあり、1200年前の唐代の詩に「潜心黙祷若有応」という記述が見られます。日本では1912年の明治天皇崩御に伴う「大喪の礼」で初めて行われ、「市民一斉に黙とうし」との記録が残されています。
その後、1923年の関東大震災をきっかけに黙祷の習慣が広がりました。1924年9月1日の慰霊祭では、震災発生時刻である午前11時58分に1分間の黙祷が行われたのです。
以後、日本では犠牲者の命日にあたる時間に黙祷を捧げる習慣が根付き、広島は8月6日8時15分、長崎は8月9日11時2分、終戦の日は正午に黙祷が行われています。
黙祷はなぜ1分間?
公式行事での黙祷は、関東大震災の慰霊祭で1分間行われたことがきっかけとされています。1分未満では「祈っていない時刻」が生じてしまうことを避けるためとも言われています。
ただし、正確な時間の規定はなく、日常では30秒や10秒など簡略化されることもあります。
宗教を越えた黙祷の意味
黙祷は神仏に祈る行為でありながら、宗教に関係なく「世界共通の祈り」とされています。信仰する宗教によって祈り方に違いはあるものの、亡くなった人に心から祈りを捧げる気持ちは共通しています。
黙祷の作法
- 目を閉じ、頭を少し下げて静かに祈る
- 身体の動きを止め、雑念を排し心穏やかにする
- 式典ではアナウンスに従い、起立の指示があれば従う
- 声を出さず、音を立てないことが最低限のマナー
- 周囲と調和するよう配慮する
信仰により祈りの姿勢が異なる場合もありますが、「祈る心」が大切です。
心から祈ることの大切さ
黙祷とは「無言で祈ること」であり、目を閉じたり手を合わせたりすることは自然な祈りの表現です。必ずそうしなければならない決まりはありません。
最も大切なのは、心を込めて祈ることです。
8月は、私たち日本人にとって特別な月です。6日・9日は原爆で亡くなった人々を、15日は戦争で命を失った多くの人々を想う日です。平和を祈り、命の尊さを思い、今ある日々に感謝をする——そのような心を持って、祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。
黙祷とは「自分の心と向き合う時間」でもあります。亡くなった大切な人に想いを伝え、静かに語りかけることで、きっとその祈りはどこかで届いているはずです。



