海外散骨事情~フランス・リゾート地編~
散骨や樹木葬の自然葬~お墓の新しい在り方
時代の変化とともに、お墓に対する考え方が大きく変わりつつあります。
「お墓の継承者がいない」「子どもに維持管理の負担をかけたくない」といった理由から、従来のような先祖代々のお墓に入らず、「墓じまい」をする人が増えています。
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そもそもお墓とは「遺骨や遺体を納める場所」のことを指します。
一般的には「墓=墓石」と考えがちですが、墓石が使われるようになったのは石の耐久性が高く、長い年月を経ても形が崩れず、子孫に引き継ぐことができる象徴的な素材であるためとされています。
しかし現代では、さまざまな供養の選択肢が存在します。
納骨堂や手元供養など、自分のライフスタイルに合った弔い方を選ぶ人が増えています。
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中でも注目されているのが「自然葬」と呼ばれる散骨や樹木葬です。
お墓の継承や維持管理の負担がなく、自然に還るという理念のもと、美しい海や森の中で故人を偲ぶことができるため、関心が高まっています。
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自然葬のトラブル事例
あるネットニュースでは、「許可のない自然葬に住民が憤り」という見出しが報じられました。
そのトラブルは、町の約90%を山林が占める三重県大台町で発生しました。
木の根元に桶のようなものが置かれ、そこには火葬された遺骨が露わな状態であったといいます。これを見つけた地元住民が「勝手に遺骨を置かれては困る」「墓地の許可がない」と強く抗議しました。
さらに、木の幹には手書きの筆文字で12人分の名前が記されていたといいます。
問題は、その行為が【無許可】であったことです。
日本では【墓地、埋葬等に関する法律】があり、決められた場所以外への埋葬はできません。遺骨を納めるには、自治体から墓地として認可された場所である必要があり、墓地経営にも正式な許可が必要とされています。
2023年12月の町議会でこの問題が明らかになり、町としては「正式な手続きをふんで墓地として許可を取るよう促していきたい」との見解を示しました。
一方、2024年3月には、三重県熊野市に大規模な樹木葬専用墓地が完成しました。
この施設は熊野市から正式な墓地経営許可を取得しており、開設には約2年の時間を要しました。
「司法書士や行政書士、弁護士の助けを借りて、自治体との交渉を重ねた」と語られています。
三重県大台町の自然葬問題
なぜ、大台町の山中では無許可のまま遺骨が置かれる事態になったのでしょうか。
登記簿によると、この土地は「自然宗佛國寺」という宗教法人が所有しており、2006年に住職が購入したものです。
住職は、バイオマス発電などの事業を行うためにこの山を取得し、事業費の一部を賄う目的で遺骨の受け入れを始めたといいます。
住職は「墓地としての認識はなく、三重県からも申請は不要と言われた」と述べ、さらに「遺骨を土に埋めていないため、墓地にはあたらない」と主張しています。
また、「当時の県の担当者から、地表に見えている状態であれば散骨であり、墓地申請は不要との説明を受けた」と語りました。
しかし三重県側は、「20年前のことで記録もなく、そのような説明があったかどうか確認できない」としています。
厚生労働省も「遺骨が埋められていなければ墓地ではない」との見解を示し、大台町の山については墓地ではなく、散骨と解釈されました。
日本における散骨の法整備~現状と今後の課題~
住職の主張に対し、大台町は対応に苦慮しています。
町議会では「墓地として申請するよう求める」としていますが、「判断を三重県に委ねたい」との声もありました。
町長は「相手側と話し合いを続けつつ、三重県が対応してくれたら助かる」と発言しています。
一部の町議からは、散骨に関して条例を制定すべきという意見も出ており、実際に散骨についての条例を定めている自治体も存在します。
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現時点では、日本には散骨を直接規制する法律はありません。
行政機関は、節度をもって行われる限り散骨を「適法」として扱っています。
2020年には、厚生労働省から【散骨に関するガイドライン】が発表されました。
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ガイドラインでは「節度を持った散骨であれば違法ではない」とされていますが、法的に違反でなくとも、すべてが許されるわけではありません。
遺骨をそのままの形で撒いた場合、【刑法第190条 死体遺棄罪】に該当する恐れがあります。
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する(刑法第190条)
2mm以下の粉末に砕いた「粉骨」であれば、遺棄とはみなされません。
粉骨のうえで節度をもって散骨を行えば、それは「供養」として受け入れられるものです。
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また、他人の遺骨に対して不快感を持つ人がいるのも事実です。
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人それぞれに供養の形があるとはいえ、周囲への配慮は欠かせません。
このような問題が発生する背景には、ガイドラインだけでは不十分であり、今後は明確な法整備が望まれるという課題があります。



