墓じまいと墓石リサイクル～愛知県岡崎市で進む資源循環の取り組み～
精霊馬の由来と意味
お盆の時期になると、キュウリやナスに割り箸や爪楊枝を刺した、動物のような形をした飾り物を見かけたことはありませんか。
これは「精霊馬（しょうりょううま）」と呼ばれ、お盆の飾りのひとつです。
キュウリは馬、ナスは牛に見立てられています。
この風習は、お盆の時期に先祖の霊がこの世に帰ってくるための「乗り物」を表現しているとされています。
「早く家に帰ってきて欲しい」という願いを込めて足の速い馬に、「少しでも長くこの世にいて欲しい」という願いを込めて歩みの遅い牛に見立てたと伝えられています。
また、馬は神聖な乗り物としての役割を持ち、牛は供物を運ぶ動物として選ばれたという見方もあります。
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では、なぜキュウリとナスなのでしょうか。
一説では、お盆の時期に手に入りやすい夏野菜であることや、「夏野菜を収穫した報告を兼ねている」ことが理由とされています。
地域によっては異なる風習もあり、たとえば沖縄ではサトウキビを「あの世に帰るための杖」としてお供えすることがあります。
精霊馬の作り方
お盆が始まる少し前に、必要な材料を揃えて精霊馬を作ります。
先祖の乗り物として用いるため、キュウリやナスは新鮮で形の良いものを選びましょう。
- 必要なもの：
- 新鮮なキュウリ1本
- 新鮮なナス1本
- 割り箸2膳（または爪楊枝8本）
1．割り箸を割って4等分にします。爪楊枝の場合はそのまま使用します。
2．キュウリとナスの前足・後ろ足の位置に、それぞれ割り箸または爪楊枝を刺します。
3．きちんと立つかを確認し、立たない場合は脚をハの字に刺し直して調整します。
近年では、馬や牛の形にとらわれず、車やバイクなどに見立ててアレンジを加えたアート作品のような精霊馬を作る人もいます。
また、精霊馬の足に使う素材として、かつては「おがら」という清浄な植物が用いられていました。おがらは麻の茎で、迎え火や送り火にも使用されます。
精霊馬の飾り方
精霊馬を作ったら、次に飾る場所を選びます。
基本的には、仏壇の前に設けた盆棚や台の上に飾ります。
飾る向きや配置は地域や家ごとの習慣によって異なりますが、代表的な例を以下に挙げます。
- キュウリとナスを向かい合わせる：迎え盆では仏壇の方に向け、送り盆では外向きに置く
- キュウリを仏壇、ナスを外側に向ける：お盆期間中は向きを変えずにそのまま飾る
- キュウリを西、ナスを東に向ける：先祖が東から帰ってくるという考えに基づく
通常はお盆の間ずっと盆棚に置いておきますが、迎え火・送り火の際に玄関先に移動させる場合もあります。
迎え火の際は、キュウリとナスを家の方へ向けて玄関に置き、終えたら盆棚に戻します。送り火の際は、同様に玄関に置き、両方とも外側に向けます。
なお、屋外に出したままにしておくと動物に食べられたり、腐敗の原因になるため注意が必要です。
精霊馬の処分方法
お盆が終わったら、精霊馬は感謝を込めて丁寧に処分します。以下に一般的な方法をご紹介します。
- 塩で清めて白い紙に包んで処分：塩をかけて役目を解き、紙（コピー用紙やキッチンペーパーでも可）に包んで捨てる
- 土に埋める：私有地の庭などに埋める。川や海に流すのは禁止の地域が多く、燃やすのも困難
- お焚き上げ：お寺での供養としてお焚き上げを依頼することが可能な場合がある
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先祖への感謝を形にする精霊馬
今年のお盆には、精霊馬を手作りしてご先祖様をお迎えしてみませんか。
まだ作ったことがない方も、ぜひ一度挑戦してみてください。
心を込めて手作りすることで、先祖への感謝の気持ちが一層深まることでしょう。
