海外リゾート散骨②~フィリピン・マニラ湾での散骨と観光~
フィリピンに息づく明るく賑やかな葬儀の伝統
東南アジアに位置し、7,000以上の島々から成るフィリピン共和国。
弊社の海外リゾート散骨エリアのひとつでもあります。
フィリピンは、植民地時代を経て独自の文化を育み、現在では全人口の90%以上がキリスト教徒という、アジアでも非常に珍しいキリスト教国家です。そのため、葬儀もキリスト教の慣習に則って行われます。
以前ご紹介した、明るく賑やかな葬儀を行う国や地域として「インドネシア・タナトラジャ」「ガーナ共和国」「メキシコ」などがあります。
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フィリピンでも「死は永遠の命の始まり」「葬儀は故人の最期を祝う機会」と考えられており、葬儀の場は明るく振る舞われるのが基本です。
会場では、親族や知人が食べたり飲んだりして賑やかに過ごすことが多く、カラオケ大会が開催されることもあるそうです。
日本の葬儀とは異なる価値観が根付いています。
フィリピンのお通夜「wake(lamay / paglalamay)」
フィリピンでは、亡くなってから埋葬までの間に「wake(lamay / paglalamay)」と呼ばれる儀式が行われます。これは日本でいう「お通夜」にあたります。
wakeは自宅で行われることが多く、教会で行われるのは一部の裕福層に限られる稀なケースです。
日本ではお通夜は1日限りが一般的ですが、フィリピンでは3日〜1週間、長いときには1ヵ月に及ぶこともあります。
これは家族を大切にする文化が背景にあり、遠方や海外で働く親族が帰ってくるのを待つためでもあります。
お通夜の期間中は、多くの食べ物が振る舞われ、連日賑やかに過ごすのが習わしです。
また、フィリピンでは【フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)】が運営する施設以外でのギャンブルは禁止されていますが、wakeの期間中に限ってはカードゲームや麻雀などの賭博が容認される伝統があります。
これは、葬儀費用や香典を捻出するためであり、悲しみを紛らわせ、故人を讃える意味もあるのです。
香典は日本のように包む文化はなく、経済状況や相手との関係に応じた額をそのまま渡すだけで、香典返しも行いません。
フィリピンの葬儀と埋葬
お通夜が終わると、葬儀と埋葬が行われます。
服装のマナーとしては黒や白が基本ですが、肌の露出が多すぎず、派手でなければ、特に厳格な規定はなくカジュアルな服装で問題ないとされています。スーツでの参列者はほとんどいないとも言われています。
葬儀の場では、故人の友人が泣きながら話す傍らでゲームをする人がいたり、談笑していたり、さらにはベッドが用意されていたりすることもあります。ペット同伴が許可されるケースもあるなど、非常に自由な空間です。
葬儀の後には墓地への埋葬が行われます。
棺に入った故人を霊柩車に乗せ、その後ろには親族や知人が列を作り、まるでパレードのように進行します。
「マニラ・サウス墓地」を訪れた際には、霊柩車が陽気な音楽を流し、ジプニーやバイクに乗った大勢の参列者がその後ろをついていく光景が見られました。まるでお祭りのような雰囲気で、特に日曜日に行われることが多いようです。
セブでは歩けない人のために大型バスが用意されることもあり、暑さ対策にも配慮されています。
フィリピンでは一般的に「土葬」が主流です。
キリスト教の教義では「死後の復活」が信じられており、日本の火葬のように「遺体を焼く」ことは復活を妨げると考えられています。
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しかし、土葬は費用が高いため、経済的な事情から火葬を選ぶ人も増えてきています。また、土葬には広い墓地が必要であるため、スペースの限られた都市部ではロッカーのように重ねられたお墓に納められることもあります。
キリスト教の祝福と死の意味~ポジティブな文化の背景
フィリピンでは、葬儀は連日賑やかに行われ、最期の別れの直前まで活気にあふれています。
日本では「死は永遠の別れ」という考えが根強いかもしれませんが、キリスト教では「死は永遠の命の始まり」と考えられています。
そのため、葬儀は祝福の場ともなるのです。
キリスト教には「供養」という概念がなく、「ご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」といった言葉も使われません。
代わりに「安らかにお眠りください」と伝えるのが一般的です。
死は悲しいものであっても「不幸」ではない、という前向きな価値観が根底にあるからです。
また、フィリピンでは貧困による医療の未整備などが原因で、若くして亡くなる方も少なくありません。
それでも「長生きしたのなら大往生。笑って見送りたい」といった声も多く、フィリピン人らしいポジティブな姿勢がうかがえます。
私たち日本人にとっても、「死」との向き合い方や「生きる意味」を改めて考えさせられる文化といえるでしょう。



