終活を始めよう~遺言書とエンディングノートの作成~
墓じまいの実態と費用、その支援制度とは
なぜ今「墓じまい」が増えているのか
近年では、少子高齢化や核家族化といった社会背景、そしてライフスタイルの多様化により、
「お墓を継ぐ人がいない」「子どもに負担をかけたくない」
といった理由から、墓じまいを選ぶ人が増えています。
墓じまいとは、現在ある墓石を撤去し、寺院や霊園に墓地を返還する手続きのことです。これにより檀家関係が終了し、お布施や維持費なども不要になります。
墓じまいにかかる費用の目安
墓じまいには予想以上の費用が発生することもあり、平均的にはおおよそ50万〜130万円ほどかかるとされています。
主な費用の内訳
- お墓の撤去費用(1㎡あたり10〜15万円)
- 開眼供養料(約3〜5万円)
- 離檀料(約5〜20万円)
※費用はお墓の大きさや場所、改葬先の条件によって変動します。
関連記事:【墓じまいの費用と方法~墓じまい後の供養まで~】https://sea-forest-ceremony.com/blog/v60v08alz
墓じまい支援を行う自治体の取り組み
墓じまいの費用負担を軽減するため、補助金制度を設けている自治体もあります。以下に、代表的な自治体の例を紹介します(2024年6月時点)。
千葉県市川市
【市川市霊園一般墓地返還促進事業】により、墓地の原状回復費用の一部が助成されます。
- 第1種普通墓地(4.0㎡):240,000円
- 第1種芝生墓地(4.0㎡):75,000円
- 第2種普通墓地(6.0㎡):290,000円
- 第3種普通墓地(12.0㎡):440,000円
- 第4種普通墓地(2.5㎡):210,000円
- 第4種芝生墓地(2.5㎡):75,000円
- 第5種芝生墓地(1.5㎡):75,000円
必要書類
- 霊園一般墓地返還届
- 助成金交付申請書・請求書
- 墓地使用許可証
- 改修工事の見積書・領収書・写真
千葉県浦安市
【墓所返還者等支援事業】により、原状回復費用のうち最大15万円を助成。
対象条件・必要書類
- 通常墓所(3.0㎡)または小型墓所(1.5㎡)を使用していること
- 交付申請書、見積書、墓所使用許可証の写しなど
群馬県太田市
【八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金】制度により、撤去費用に対して最大20万円を助成。
必要条件・提出書類
- 平成31年4月1日以降に返還届を提出済であること
- 管理料の未納がないこと
- 撤去費用の明細書・領収書・振込口座のコピーなど
なぜ自治体が墓じまいを支援するのか
一見すると個人の事情に見える墓じまいですが、自治体が支援する背景には「無縁墓」の増加があります。
無縁墓とは、管理者が不在で誰も供養しないお墓のことです。
厚生労働省の統計では、2023年の出生数が75万人に対し、死亡数は約160万人。高齢化により、お墓の継承が困難になりつつある現状があります。
総務省の調査でも、無縁墓の急増が明らかにされ、地方自治体からは「墓石や塀の倒壊リスク」「雑草や樹木による環境悪化」などの問題が報告されています。
また、墓石撤去の法的な明文化がないため、自治体が保管などを独自に対応せざるを得ないという問題もあります。
こうした背景から、総務省は厚生労働省を通じて自治体に墓じまい支援の導入を促しているのです。
関連記事:【無縁墓になる前に墓じまいを考えてみませんか?】https://sea-forest-ceremony.com/blog/5dd87-a1r
費用を抑えるための工夫
補助金が出るかどうかは自治体の判断により異なります。そこで、墓じまいにかかるコストを少しでも抑えるためには、以下の点に留意しましょう。
撤去業者の見積もりを複数とる
同じ規模のお墓でも、業者によって20万円以上の差が出たケースもあります。
撤去作業は、複数業者から見積もりを取り、価格と内容をしっかり比較することが重要です。
改葬先の選択
墓じまい後は、遺骨の「改葬」が必要です。選択肢としては以下のような供養方法があります。
- 一般墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 合祀墓(永代供養墓)
- 散骨
費用を抑えるなら、合祀墓や散骨が選ばれることもあります。特に散骨は維持費が不要なため注目されています。
関連記事:【墓じまいと散骨に関する必要な手続きと費用】https://sea-forest-ceremony.com/blog/bqknl4pe5m
ただし、これらの方法は一度執り行うと遺骨を戻せないため、家族とよく相談した上で慎重に判断することが大切です。
これからのお墓のあり方を考える
お墓は単に遺骨を収める場所ではなく、故人を偲び、向き合うための場所でもあります。社会が変化する中で、お墓の意味や供養の方法も多様化しています。
「自分はどうしたいのか」「家族としてどう受け止めるのか」
ということを、元気なうちに家族と共有し、将来に備えておくことが今後ますます大切になってくるでしょう。



