エンディングノートの現状と自治体の取り組み~普及への工夫と課題~
自治体も進める終活~生前整理から始める前向きな準備
「終活」は死の準備ではなく、これからの人生の整え方
「終活」という言葉が世間に浸透してきた今、それを「死への準備」と捉え、抵抗感を抱く人も少なくありません。けれど本来、終活とは今後の人生をよりよく生きるための前向きな活動でもあります。
近年では、自治体が終活を支援する取り組みも進んでおり、東京都では2024年4月から終活費用の補助が始まりました。豊島区では2022年より終活情報の登録制度をスタート。神奈川県鎌倉市、横須賀市、愛知県大府市などでも同様の動きが見られます。
とはいえ「何から始めればいいのかわからない」と感じる方も多いはず。そこで、終活の第一歩となる「生前整理」について詳しくご紹介します。
なぜ「生前整理」をするのか?
遺族の負担を軽減
自分の死後、遺族は葬儀や各種手続きに追われることになります。そこに遺品整理が加わると、その負担は相当なものです。生前整理をしておけば、遺品の数を減らし、整理の判断も自身で行うことができるため、遺族の心身的な負担を軽くできます。
日々の暮らしを快適に
不要な物を処分し、身の回りを整えることで、生活の利便性が向上します。探し物が減り、心のゆとりが生まれ、これからの人生をより快適に過ごすことができるでしょう。過去の思い出を振り返る作業の中で、新たな目標が見つかることもあります。
相続トラブルを未然に防ぐ
財産を誰がどのように相続するのかが曖昧なままだと、遺族間でトラブルが発生しやすくなります。財産の内容や保管場所を明らかにしておくことで、もめ事を防止し、スムーズな相続が可能になります。
生前整理の進め方
1. 財産の把握と財産目録の作成
まずは自分の所有する財産をリストアップしましょう。
- 預貯金
- 借金
- 株式・有価証券
- 保険
- 不動産(家・土地)
- 会員権(ゴルフ、ホテルなど)
- 骨董品や貴金属
これらの情報は、金融機関名や暗証番号、通帳やカードの保管場所も含めて財産目録にまとめておくのが理想です。写真を添えておくと、より分かりやすくなります。
2. 遺言書の作成
財産目録をもとに、誰に何を相続させるかを記した遺言書を作成します。自筆でも可能ですが、公証役場での公正証書遺言にすることで法的効力を確実にし、トラブルを回避できます。
関連記事:【終活を始めよう~遺言書とエンディングノートの作成~】https://sea-forest-ceremony.com/blog/y5x-o2yo5sbd
また相続税対策として「生前贈与」も活用できます。基礎控除が適用されるため、節税にも繋がります。
3. エンディングノートの記入
相続に関係しない思いや希望を家族に伝えるためには、エンディングノートが有効です。葬儀の希望、延命治療の方針、大切にしている物の扱いなども記載しておきましょう。書くことで自分の気持ちも整理されます。
4. デジタル資産の整理
スマホやPC内の情報も忘れずに整理しましょう。
- 写真・動画
- メール
- SNSアカウント
- ネットバンク情報
- クレジットカード情報
- ID・パスワード
IDやパスワードは、家族に共有するかエンディングノートに記載しておくことが大切です。
関連記事:【エンディングノートで遺族をサポートしよう~故人のスマホ・サブスクの解約手続き~】https://sea-forest-ceremony.com/blog/rtg_0nk1-lx
5. 不用品の整理と処分
使っていない家具や衣類、壊れた家電などは、計画的に処分していきましょう。一気に片付けるのではなく、部屋ごとに少しずつ進めるのがコツです。
思い出の品などの扱いについては、無理に処分する必要はありません。家族に託したい想いがあれば、事前に伝えておくかエンディングノートに記しましょう。
終活は、これからの人生のために
「介護の話題は避けたい」「相続は面倒」「お墓のことは家族に任せたい」と思う人も多いでしょう。しかし終活をすることで、自分自身の心が整理され、不安が和らいだという声も少なくありません。
関連記事:【中尾彬さん夫妻に学ぶ終活~夫婦で終活をする際に必要な準備~】https://sea-forest-ceremony.com/blog/a7ouzy481
また、相続争いで家族の関係が壊れてしまうのは避けたいもの。自分の意思を記録に残すことは、家族への最大の思いやりにもなります。
エンディングノートに葬儀やお墓の希望を記しておけば、遺族はその方針に沿って準備ができ、精神的にも大きな助けとなるでしょう。
そして終活は決して一人で抱え込むものではありません。家族や知人、専門家に相談することで、不安や悩みが軽くなることもあります。弊社でもご相談を承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
今この瞬間からでも始められる終活。自分らしい人生の仕上げと、大切な人たちへの配慮として、前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。



