VR墓参りやリモート葬儀の登場～令和のハイテク化する葬送儀礼～
葬儀・お墓・寺院繁栄のはじまりと今～変化する葬送文化の背景とは～
葬儀とお墓の起源
葬儀とは、故人の冥福を祈り、死者を供養するための儀式です。
悲しみの中にある遺族が気持ちを整え、故人との別れに向き合う大切な機会でもあります。
葬儀の歴史は非常に古く、約3万5千年前の北イラクの遺跡からは、ネアンデルタール人の埋葬跡とされる場所で花粉が見つかっており、それが死者を弔った最古の痕跡と推測されています。
また、日本でも後期旧石器時代の遺跡から、土に埋葬された「土抗墓」と思われる痕跡が確認されており、人類は遥か昔から死を特別なものとして扱っていたことがわかります。
お寺と葬送文化の関係性
お寺の歴史は、6世紀初頭に仏教が日本へ伝来したことに始まります。
しかし仏教が民衆に根づき、葬儀と関わるようになったのは室町時代後期からとされています。
その後、江戸時代に「寺請制度」が導入され、すべての人が家族単位でお寺に所属し、葬儀もそのお寺で行うことが義務化されました。これと同時に、「お布施」によって寺を支える「檀家制度」も始まり、民衆の暮らしと寺院は強く結びついていくこととなりました。
明治時代には「家制度」によってこの仕組みがさらに強化され、寺院・葬儀・お墓は三位一体の構造となって現代に続いてきたのです。
戦後からバブル期の葬送文化と寺院の盛衰
戦後、日本国憲法によって「信教の自由」が保障され、また「家制度」の廃止など社会構造の変化が生じました。
それでも高度経済成長期からバブル期にかけては、景気の良さを反映し、200〜300人規模の大規模な葬儀が主流となりました。
・白鳩を飛ばす「放鳥の儀」
・家紋入り灯籠を飾る豪華な設え
・長い戒名や複数の僧侶による読経
この時代には「お墓ブーム」も起こり、都市部では火葬とセットで墓石需要が高まりました。墓石の素材や加工技術の進化も手伝い、二基目を建てたり墓地を買い直す人まで現れたほどです。
しかし同時に、戦前までお寺の財源となっていた「大地主制度」は農地改革で崩壊。さらに地方から都市への人口移動が進み、檀家が減少したことで、寺院の財政基盤は一気に弱まっていきました。
寺院とのトラブルと「離檀料」問題
近年、「墓じまい」を選ぶ人が増加しています。背景には「継承者がいない」「子どもに負担をかけたくない」といった理由があります。
この流れの中で、お寺とトラブルになるケースが増えています。
特に多いのが「離檀料」の請求です。
墓じまいや檀家をやめる際、お寺から「最後にお布施を」と高額な離檀料を求められることがあります。
そもそも離檀料は、お世話になったお寺への感謝の気持ちとして「任意で支払うもの」です。請求されたからといって、必ずしも支払う義務があるわけではありません。
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とはいえ、寺院の側にも事情があります。
墓じまいによる檀徒減少、家族葬や直葬による葬儀の簡素化、僧侶を呼ばない形式の普及などで、寺院の経営は厳しさを増しています。
かつては戒名料や法要などで安定した収入を得られていた時代からは、まさに一変してしまったのです。
新しい供養のかたち～多様化する選択肢
今、葬儀やお墓の自由化が進んでいます。
価値観や家族のあり方が多様化する中、「自分らしい供養」を選ぶ人が増えています。
- 少人数で行う「家族葬」
- 通夜を省略した「一日葬」
- 火葬のみの「直葬」
- 継承者が不要な「永代供養墓」
- 自然と一体となる「散骨」「樹木葬」
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【散骨に関する調査】によると、散骨の一般認知度は87％。今後さらに増加すると予想されています。
供養の簡素化や無形化によって、お寺の役割も見直される時代になっています。しかし、中には地域に密着し、檀徒との良好な関係を築いたり、オンライン法要やSNSを活用した新しい取り組みを行う寺院も増えています。
つながりの再構築へ
弊社では、海外リゾートでの「代理散骨」など、新しい供養のかたちを提案する事業を展開しています。
またXやInstagram、LINEを通じて、お客様と気軽に繋がれる環境を整えています。
人と人とのつながりは、供養だけでなく、人生そのものにおいても大切なことです。
変化の時代だからこそ、思いに寄り添い、より良い供養のかたちを共に見つけていきたいと思います。
