霊園やお寺の経営危機~理由から改葬先まで~

村田光史

村田光史

テーマ:終活

霊園やお寺が危ない?~広がる経営破綻と倒産の実態~


近年、霊園や寺院墓地の経営破綻や倒産が相次いでいます。

「お寺も倒産するの?」と驚かれるかもしれませんが、実際にそのような事例は増えており、大きな社会問題となりつつあります。

本来、霊園や墓地を経営できるのは【地方自治体】【宗教法人】【公益法人】に限られており、法律で定められています。しかし、近年では宗教法人名義でありながら、実際の運営は民間企業が行っていたという「名義貸し」のケースも少なくありません。

墓地や霊園には「永続性」と「非営利性」が求められるため、本来は民間企業が経営することはできません。にもかかわらず、利益を優先した運営が破綻を招き、利用者に深刻な影響を与えているのです。

また、墓地の廃止には【墓地、埋葬等に関する法律】による都道府県知事の許可が必要です。この許可は原則として、すべての遺骨が改葬された後にしか認められません。つまり、簡単には墓地を閉鎖できない仕組みとなっています。

今回は、霊園やお寺の経営破綻の背景と、トラブルを避けるための対策について解説します。

霊園や寺院が経営破綻・倒産する理由


民営霊園の経営破綻


民営霊園とは、宗教法人や公益法人の名義を借りて、実際には民間企業が運営している霊園のことです。厚生労働省の【墓地経営・管理の指針等について】でも、「墓地経営主体は、地方公共団体が原則。やむを得ない場合も宗教法人または公益法人に限る」とされています。

民間企業が墓地経営を担うことに問題があるのは、営利目的である点です。墓地とは遺骨を納め、故人を偲び供養する場であるため、本来の性質と矛盾してしまいます。

また、お墓の需要が想定より伸びなかったことから、資金繰りが悪化して倒産するケースもあります。少子高齢化や墓じまいの増加も、利用者減少に拍車をかけています。

寺院墓地の経営破綻


お寺が所有する寺院墓地でも、経営破綻が起きています。檀家の減少により、お布施や寄付が減少し、寺院自体の経営が成り立たなくなるケースが増えています。

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さらに、経営難を見越した業者が住職に「墓地開発」の話を持ちかけ、資金を借り入れて造成事業に着手するも、予定通りの契約が得られず返済不能に陥るケースもあります。投資や金融商品の失敗によって倒産する例も一部に存在します。

経営破綻に巻き込まれないために確認すべきこと


霊園や墓地が経営破綻した場合、新たな経営主体が引き継いでくれれば、現状のままお墓を維持できます。しかし、その際に新たな契約を求められ、永代使用料の再徴収や管理費の値上げが発生することもあります。

もし引き継ぎ先が見つからない場合は、遺族が遺骨を引き取らなければなりません。対応が遅れると、納骨堂などでは遺骨の所在が不明になる恐れもあります。

このような事態を防ぐために、契約前に以下の点を確認しましょう。

  • 霊園や墓地の経営母体(法人格)
  • 設立年数や契約実績
  • 不自然に安価な永代供養料や管理費
  • 派手な建物や過剰な広告宣伝の有無


複数の施設を見学し、相場感や経営の健全性を比較することも重要です。

お墓の改葬という選択肢~永眠を妨げない供養を~


霊園や寺院墓地が倒産した場合、遺骨は【墓地、埋葬等に関する法律】によって守られており、勝手に掘り返すことは【刑法】第188条~191条に違反する「墳墓発掘罪」に該当します。

とはいえ、管理が不十分な霊園にお墓を残しておくのは心配です。倒産リスクを見越して、お墓の改葬を検討することも選択肢のひとつです。

近年注目されている供養のかたち


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散骨は自然に還る供養方法で、墓標を必要としません。業者が万が一倒産しても、物理的な墓が存在しないため影響を受けにくいという特徴があります。

手元供養は、遺骨を自宅など身近な場所で保管・供養する方法で、他者の経営に左右される心配がありません。

もちろん、別の霊園や寺院に改葬して新たなお墓を持つ選択もありますが、継承者不在の問題や将来的な無縁墓リスクも考慮する必要があります。

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後悔のない供養のために、経営状況にも目を向けよう


霊園やお寺の経営破綻は、故人の永眠を妨げ、遺族にとっても心苦しいものです。契約の前に経営母体や実態をよく確認し、リスクを把握したうえで、将来の継承まで見据えた供養の形を選ぶことが大切です。供養とは心のよりどころであると同時に、安心できる環境の選択でもあります。

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Mybestpro Members

村田光史
専門家

村田光史(散骨代行)

合同会社KOKESHI Arts 海外リゾート散骨 海と森のセレモニー

希望する外国への散骨が可能か調査し、骨の粉砕や法的手続きを代行。葬儀は動画に収め、散骨証明書と共に遺族へ送付する。シニアライフパートナーの資格を持ち、墓じまいなどシニアとその家族の悩みにも幅広く対応。

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