墓じまい後の仏壇じまい~方法や注意点~
死亡後の手続き〜スマホやネット、サブスクの解約に関する基本知識
人が亡くなった後には、思っている以上に多くの手続きが必要となります。葬儀に関する準備と並行して、公的な手続きも進めなければなりません。
たとえば死亡届の提出、埋火葬許可の申請、生命保険の請求、そして公共料金やクレジットカード、生活に関わる契約の解約などです。これらの手続きを怠ると、余計な出費や不正利用によるトラブルにつながることもあります。
ここでは、スマートフォンやインターネット、サブスクリプション(サブスク)サービスの解約について解説します。
スマホ・ネット・サブスクの解約方法と注意点
スマートフォンの解約
携帯電話の解約は、契約していたキャリアやショップに連絡して行います。手続きには以下のものが必要です。
- 契約中のスマートフォン本体
- SIMカード
- 死亡を証明する公的書類(住民票の除票・戸籍謄本・埋葬許可証など)
- 解約手続きを行う家族や代理人の身分証明書
解約できるのは家族や法的代理人に限られます。キャリアごとに手続き方法が異なるため、事前の確認が必要です。
ただし、すぐに解約してしまうと、故人の人間関係からの連絡を受け取れなくなってしまう可能性があります。葬儀や事務的な連絡に支障が出ることもあるため、落ち着いてから手続きを進める方が安心です。
また、携帯番号は解約後に他人に再利用される可能性があります。番号を残したい場合は「承継」という手続きにより相続することもできます。ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアは対応していますが、MVNOは未対応のところもあるため注意しましょう。
端末に写真や大切なデータが残っている場合は、必ずバックアップを取ってから解約してください。
端末自体が見つからない場合には、契約書や請求書、通帳の記帳履歴などから、契約していたキャリアを調べることも可能です。
インターネット契約の解約
ネット回線の解約は、契約していたプロバイダまたは回線事業者に連絡して行います。必要書類はスマホと同様、故人の死亡を証明する書類が中心です。
メールアドレスやネット回線が使えなくなるため、解約時期には注意が必要です。特にそのメールアドレスが唯一の連絡手段だった相手がいる場合、早急な解約は避けるようにしましょう。
サブスクリプション(サブスク)の解約
サブスクとは、定額課金で継続利用するサービス全般を指します。動画配信、音楽配信、クラウドストレージなどさまざまな種類があります。
アカウントを通して契約していたサービスは、公式サイトやサポートに問い合わせて解約手続きを行います。登録情報が分からない場合は、クレジットカードの明細や銀行口座の引き落とし履歴などから該当のサービスを特定しましょう。
注意したいのは、契約者の死亡をサービス側が知る手段はないという点です。そのため解約しない限り自動更新され、利用料金も発生し続けます。
解約を忘れるとどうなるか
- 不要な会費が発生し続ける
- 延滞や遅延料金が請求される場合がある
- クレジットカードの不正利用の温床になる
- 親族間のトラブルにつながる可能性がある
解約手続きをせずにクレジットカードを停止した場合でも、サービス提供会社は契約者の死亡を把握できず、書面での請求が後から届くケースがあります。請求が来た時点で早急に連絡・解約しましょう。
また、すぐにカードや口座を凍結してしまうと、他の契約や資産状況の把握が難しくなる場合もあります。解約タイミングは冷静に判断する必要があります。
サブスク解約漏れと支払い義務
解約を忘れたまま放置した場合、基本的に発生した利用料は相続人が支払う義務を負うとされています。故人の債務も含めて原則として相続されるからです。
ただし、利用規約に「契約者が死亡した時点で契約終了」と明記されていれば、死亡日以降の料金を支払う必要はない場合もあります。このような場合には、まずサービス会社に相談することをおすすめします。
なお、故人に滞納があったり、遺産より債務が多かったりする場合には、相続放棄を検討するのも選択肢のひとつです。ただし、放棄する際は債務だけでなく債権(財産)も相続しないことになるため、十分に注意が必要です。
エンディングノートに情報をまとめておこう
エンディングノートは、自分自身の死後に備え、必要な情報を整理して記録しておく「終活」の手段のひとつです。
形式は自由で、市販のノートやアプリ、メモ帳などに記録しておくことができます。スマホやネット、サブスクなどの契約情報も記録しておくと、遺族の手続きがスムーズになります。
- 携帯電話:契約会社名、電話番号、契約者名、支払い口座、データ削除の希望など
- インターネット:契約プロバイダ名、IDやパスワード、メールアドレス
- サブスク:サービス名、会員番号、ID・パスワード、支払い情報、契約内容、連絡先、リスト一覧
サービス名とID・パスワードの一覧を残しておくと、遺族が調査する手間を減らせます。また、プライバシーの問題がある場合には、第三者にデータ削除を依頼するよう記載しておくことも大切です。
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エンディングノートは遺族への配慮の証
エンディングノートは、契約の解約情報を残すことで遺族の負担を減らすだけでなく、自分自身の生き方やこれまでの人生を振り返る機会にもなります。
すべてを生前に解約してしまう必要はありませんが、いざという時に「遺族が迷わず対応できる状況」を整えておくことが大切です。
情報の共有ができていれば、解約やデータ削除などもスムーズに進めることができ、トラブルの回避にもつながります。生活の中で利用しているサービスとどう向き合うか、エンディングノートを通して考えてみてはいかがでしょうか。



