海外散骨事情~イギリス編~
散骨に対する誤解と本当の意味
「遺骨を自然に撒くなんて、不法投棄では?」という声に対して
私たちのもとには、時折こうした内容のメールが届くことがあります。
「散骨は自然界への不法投棄です。環境破壊をやめてください。」
近年では、お墓の継承者不足や管理の難しさから、自然に還る葬送方法として「散骨」を選ぶ人が増えてきました。
しかし一方で、散骨に対して十分な理解が広がっていないことで、
- 遺骨を捨てる行為ではないか
- 自然環境を汚してしまうのではないか
という誤解が生まれることがあります。
今回は、そのようなネガティブな印象を丁寧に解きほぐし、散骨に対する正しい理解を深めていただけるようお伝えします。
散骨は不法投棄になるのか?
まずお伝えしたいのは、散骨は法律上、違法ではありません。
厚生労働省が発表した「散骨に関するガイドライン(令和2年)」では、
「葬送のための行為であって、節度をもって行われる限りは問題ない」
と明記されています。
ただし、自治体によっては散骨場所を条例で制限している場合もあるため、地域のルールには注意が必要です。
関連記事:【散骨できない場所~条例規制やマナー~】https://sea-forest-ceremony.com/blog/gp__5_gwwk
「不法投棄」という誤解が生まれた背景
近年、「無縁遺骨」の増加が問題となっており、
- 故人と面識がない
- 経済的に納骨できない
- 遺骨を引き取ること自体を拒否される
といった理由から、駅のロッカーや公共トイレ、公園などに遺骨が遺棄され、逮捕される事件も報道されています。
こうした背景から、「遺骨を撒く=捨てる」というイメージが広がってしまったのかもしれません。
ですが、私たちが行う散骨は「捨てる」行為ではありません。
散骨は、故人を弔い、自然に還すという明確な葬送の目的を持って行われます。
私たちは「遺骨を処分してほしい」「捨ててきてほしい」といったご依頼は一切お受けしていません。
散骨は自然破壊・環境汚染につながるのか?
「六価クロムなどの有害物質が遺骨に含まれているのでは?」と不安に思われる方もいるかもしれません。
確かに、ごくまれに六価クロムが遺骨に付着することがありますが、それは火葬時に棺を載せるステンレスの架台との反応によって生じたもので、遺骨そのものが有害というわけではありません。
また、六価クロムが検出された場合には無害化処理を施すなど、環境保全に万全を期して散骨を実施しています。
- 事前に検査を実施
- 万が一検出された場合には処理を実施
- 自然に配慮した場所・方法で実施
環境への配慮は、日本国内はもちろん、私たちが散骨を行っている海外リゾートでも同様です。
散骨とは──自然に還る祈りのかたち
散骨は、故人の魂を自然に還す、祈りと敬意を込めた葬送の方法です。
捨てることでも、処分することでもありません。
私たちが大切にしているのは、故人への敬意と、自然への感謝です。
自然とともに生き、自然に還り、また新たな自然を育む──それが散骨の本質です。
これからも、故人の尊厳を大切に、そして自然との共生を意識しながら、節度と責任をもって散骨に取り組んでまいります。



