墓じまいで起きる裁判とトラブル
終活を考えるということ
終活って、まだ先の話?
ある日、知人がふとこんなことを口にしました。
「そろそろ終活を始めようかと思って。最近、周囲でも話題に上がっていてね」
その言葉を聞いて、私はちょっと驚きました。
「終活…?」
言葉は知っていても、自分ごととして考えたことは正直ありません。
思いついたのは、「スマホの中身を完全に消去すること」くらい――
それが、今の私にとっての“終活”のイメージでした。
けれど、人は歳を重ねるごとに、自然と「死」への向き合い方が変わってくるのかもしれません。
「これからの人生を、どう生きたいか」
そんな視点で考えることも、終活の第一歩と言えるでしょう。
終活と散骨への想い
「終活」という言葉は、この10年ほどで広まりました。
人生の最期に向けて、悔いのない日々を送るための“前向きな準備”として定着しつつあります。
終活で行うことは多岐にわたります。
- 介護や医療に関する希望の明確化
- 葬儀やお墓に関する希望の伝達
- 遺産や財産の整理・分配の準備
- 生前整理や身の回りの片づけ
- 自分らしいエンディングの構想
最近では「エンディングノート」を活用して、
銀行口座や保険の情報、延命治療の希望、臓器提供の有無などを自由に記す人も増えています。
※なお、エンディングノートには法的な効力はありません。
資産分配や遺言に関する内容は「遺言書」での明記が必要です。
なかには、葬儀や散骨の予約を生前に済ませる方もいらっしゃいます。
実際に「散骨を希望したら家族に反対されて…」というご相談もありました。
その方はご自身でフィリピンでの散骨を仮予約され、その翌年にお亡くなりになりました。
後日、ご遺族から「ぜひフィリピンで散骨をしてほしい」とご連絡をいただきました。
エンディングノートには「散骨を強く望んでいたこと」「本人が予約を済ませていたこと」が記されており、ご家族もその意志を尊重されたのです。
※なお、生前に散骨を予約する場合は、原則として
- ご家族・親族の同意
- もしくは
- 死後事務委任契約
のどちらかが必要です。
この事例ではご家族の同意が得られていなかったため、仮予約として受付し、正式な契約手続きはご遺族と相談しながら進めさせていただきました。
関連記事:【自分の散骨代行は予約できる?終活から考える散骨の死後事務委任契約】https://sea-forest-ceremony.com/blog/61eeb_0gloc1
終活は「人生を前向きに生きる」ための時間
なぜ終活をしようと思うのでしょうか?
その理由のひとつは――
「安心して、これからの人生を大切に過ごすため」
ではないでしょうか。
老いへの不安や、「家族に迷惑をかけたくない」という思い。
死について考えるのは、つらくて重たいものかもしれません。
けれど、終活によってそうした気持ちを整理し、
「これからを、どう生きるか」を考えることで
むしろ自分らしい毎日へとつながっていくのです。
終活で、人生をもっと豊かに
終活は、単なる“終わり”の準備ではありません。
「自分を見つめ直し、未来の可能性を広げるための活動」でもあるのです。
「やってみたかったことに挑戦しよう」
「行ってみたい場所がある」
そんなふうに想像を膨らませるだけで、少し気持ちが明るくなりませんか?
終活をする“今の自分”の気分を大切にすることが、なにより重要です。
前を向いて、自分らしい日々を楽しみながら生きていく。
そんな毎日の中にこそ、終活の本質があるのかもしれません。



