松島町における散骨規制と供養の選択肢
「散骨」とは? 自然と共に眠る新しい供養のかたち
散骨とは、どのような供養方法?
「散骨」という言葉を聞いたことはありますか?
散骨とは、火葬された遺骨を細かく粉砕(粉骨)し、海や山などの自然の中に撒いて供養する方法です。自然への回帰という価値観に基づいた、近年注目されている新しい葬送のかたちです。
一般的な葬儀の流れは、
- 通夜
- 葬儀
- 火葬
- 遺骨をお墓に納めて供養
というものが多いですが、実は火葬後の遺骨の供養方法は遺族の判断で自由に選択できます。散骨もその一つであり、近年多くの方に選ばれています。
散骨の魅力と特徴
散骨は、海や山など自然豊かな場所で行われるのが一般的です。故人が愛した土地や、憧れていた場所に遺骨を撒くことで、その人の想いを自然に還すことができます。
思い出の地で、自然と一体になる。
それが散骨の魅力です。
ただし、散骨は従来の供養方法とは異なり、比較的新しい文化であるため、法制度やガイドラインもまだ整備段階にあります。そのため、トラブルを避けるためにも、正しい知識をもって行うことが重要です。
散骨は法律に触れないの?
「遺骨を撒く」という行為を聞くと、
「それって法律に違反しているのでは?」
と不安に思う方も多いでしょう。しかし結論から言えば、火葬された遺骨を適切に粉骨し、節度をもって行われる散骨は、法令に違反するものではありません。
刑法第190条には、
死体、遺骨、遺髪等を損壊・遺棄した者は3年以下の懲役に処す
とありますが、これはあくまで一般的な宗教的感情を保護するための法律であり、「葬送のために節度をもって行う散骨」はこの法律には該当しないという解釈が一般的です。
東京都保健医療局のQ&Aや、厚生労働省のガイドラインでも、節度を持った散骨は適法とされています。
どこでも散骨していいの?場所の選び方と注意点
山や陸地での散骨は?
山や私有地での散骨には多くの制約があります。ほとんどの山林は国有地や他人の私有地であるため、散骨を行うには所有者の同意が必要です。
また、自治体によっては条例で散骨が禁止されている場合もあります。
例:北海道長沼町「さわやか環境づくり条例」第11条https://www1.g-reiki.net/maoi.naganuma/reiki_honbun/a091RG00000348.html#e000000147
→ 墓地以外での焼骨の散布を禁止
そのため、個人で山に散骨するのは現実的には難しいといえます。どうしても山に散骨したい場合は、対応している事業者に依頼するのが安心です。
海での散骨は?
一方、海での散骨は法令上の制限が少なく、比較的行いやすいとされています。
とはいえ、
「節度を持って葬送の目的で行う」
という原則は海でも変わりません。例えば観光地の海岸で遺骨を撒くような行為は、マナー違反であり、周囲の人に不快感を与える恐れがあります。
伊東市では海洋散骨の指針として、陸地から離れた沖合での実施を推奨しています。https://www.city.ito.shizuoka.jp/material/files/group/10/271225kaiyousannkotusisinn.pdf
ボートを利用して沖に出るなど、周囲への配慮を忘れないことが重要です。
適切な場所で、心を込めた供養を
どの場所で散骨を行う場合でも、事前に自治体へ確認を取ることが大切です。自分で調査や申請を行うのが難しいと感じる場合は、信頼できる散骨業者に依頼するのも一つの選択肢です。
心からの供養のために、今できること
散骨は、まだ歴史の浅い供養の方法です。今後さらに法整備が進み、明確なルールが定まっていくでしょう。
しかし、だからこそ――
「大切な人のために、どのような形の供養がふさわしいのか」を真剣に考えることができるのです。
どんな形であれ、心を込めた供養は、きっとかけがえのないものになるはずです。
※本記事における法令調査は以下の体制で行っています
調査主体:合同会社KOKESHI Arts
調査協力:クロス・マーケティング



