コラム4 エンジニアリング会社の必要性
我々が開発パートナーを探している移動式SE炭化炉CHPシステムについて説明します。このタイトルはシステムの内容を説明しています。
20フィートコンテナにシステムを収納して、移動できるスターリングエンジン(SE)と炭化炉を使用した熱電併給(Combined Heat & Power)システムということです。
このコラムでは、コラム1(廃棄物を燃料にしたスターリングエンジンの発電給湯システム)で提案したシステムを違う視点で説明します。
システムは何を目指すのか?
廃棄物の定義は、
法律上の定義では「「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固体または液状のもの(放射性物質及びこれに汚染された物を除く)をいう」
とあります。
目指す廃棄物は、ゴミです。しかしながら、ゴミを燃料にしてシステムを最適に制御するとなると、ゴミには多種の物が含まれているので、廃棄物投入量が定まりません。
そのため、廃棄物の熱量を同定する仕組みが必要となります。同定する仕組みを検討するためには、成分が安定している発酵鶏糞を使用して開発を行います。以降の説明では、目指す廃棄物であるゴミという言葉を使用します。
目指すコンセプトは『SDGsへの対応』です。それを実現するために4つの項目を掲げています。
1つ目はゴミから熱量(エネルギー)を引き出すために炭化炉を使用します。炭化炉は外熱式を用います。炭化するためには、有機物に熱を与えます。有機物の炭素成分を炭として固体化し、その際に乾留ガスと言って可燃性のガスが出ます。それに火をつけて燃やし、その熱を利用してスターリングエンジンで発電給湯をします。スターリングエンジンからの排熱を炭化する熱として炭化炉で再利用します。
炭化炉は、炭素成分を炭に固体化するため、焼却させた場合と比べて、二酸化炭素の排出量が減少します。
このように循環型社会への対応と脱炭素で環境にやさしいシステムを目指します。
2つ目はスターリングエンジンを使用することでシステムを小型化でき、コンテナに収納することができます。これにより、『自由に移動』、『自由に設置』ができます。
3つ目は災害に強いエネルギーインフラを目指します。災害が発生した時に問題になるのが『ゴミ問題』です。避難所で発生するゴミを燃料にして、発電と給湯が出来るシステムを提供します。
4つ目は分散する管理を集中で管理をします。小規模分散型システムのデメリットのひとつに維持管理の分散があります。遠隔操作を活用して中央で集中管理して、そのデメリットを解決します。維持管理で重要なのは、整備です。それについては、以前のコラム1(廃棄物を燃料にしたスターリングエンジンの発電給湯システム)でも記載したように整備計画というプログラムを作成して、中央で管理します。それにより、維持整備にかかるユーザー負担を軽減します
下図に今まで記載したことを纏めた『目指すシステムの特長』を提示します。
なぜ、炭化炉を使用するのか?
炭化炉の原理について、再度、繰返して記載します。
ゴミに含まれる有機物に高温ガスを与えて熱分解させます。その時、可燃性のガス(乾留ガス)を放出して、有機物内の炭素を炭として固定化します。乾留ガスを燃やした熱で再び炭化に使用します。炭化させる時の最初はどうするのかというと、軽油などを使用して熱を与えるか、電気式もありますが、何らかの方法で熱を与えます。
乾留ガスを燃焼させて、スターリングエンジンを使用した後の排熱に炭化できる熱量が十分にあれば、熱を循環できますが、不足している場合には、立上げ時に使用した方法で熱量を補う必要があります。
焼却した時と比べれば、エネルギー効率は格段に良いです。それに脱炭素という観点でも炭化炉は有効です。
下図に炭化炉の有効性を纏めました。
なぜ、スターリングエンジンを使用するのか?
ゴミの処理を炭化炉で行った場合、発電方式としてスターリングエンジンとガスエンジンが候補で上がるが、どちらを使用した方が有効であるかを記載します。
乾留ガスは400℃程度の高温状態で排出されます。スターリングエンジンの場合には、そのまま火をつけて燃焼させ使用することができます。
非常にシンプルです。また、乾留ガスに含まれるタール成分も燃やすことができます。
ガスエンジンを使用する場合には、高温のガスは使用できないので、冷却する必要があります。冷却すると、乾留ガスに含まれるタール成分も出てきます。そのタールを除去するなど、ガスを清浄する装置が必要となります。そのため定期的な整備が必要となり、複雑になった分、信頼性も低下します。
下図にスターリングエンジンを使用する理由を纏めました。
企画書はあるのか?
今まで読んできて、新規事業として取り組んでみたいと思った時、企画書が気になると思います。
結論から言うと、用意してありますので、相談してください。
開発計画と具体的な試験内容、解析等、予算書、ユーザーにとっての効果分析、開発後の戦略マップ(どのように展開していくか)、販売価格の検証など、企画書として必要な情報は包括していると思います。事業として中長期を見据えた企画書のため25ページ強のボリュームとなっています。
企画書の中に開発時のリスクと回避策もまとめてありますが、私の信条は、『やりきる気概』が一番大切な心構えと思っており、逆に一番のリスクは『ブレと諦め』です。
徹底したリスク分析は必要です。これが不十分だと大きな損失を被ることになります。
軽視をしてはいけませんが、リスクというまだ見ぬものに恐れをなして動けなく決断できないのが、一番のリスクです。そして一度、決断したらやりきることが大切だと思います。
被害が大きくなる前にやめる勇気が必要だという風潮(米国式ビジネス)がありますが、やめたら今までの努力が全て無くなるという日本的な考えも考慮しなくてはなりません。
これは米国式には理解されない、日本式の開発スピリットだと思います。
ここ数十年、日本初の新規事業がなくなっているのは、こういうところにあるのではないでしょうか?
皆さんに問いかけたいことがあります。
①開発が失敗したら責められるカルチャーがいつの間にか浸透していませんか?
②開発リスクは分かっているつもりだが、頭の中では100発100中の開発を期待していませんか?
③開発より誰かが開拓した市場に乗った方が良いと思っていませんか?
④ニーズを気にしすぎてはいませんか?
⑤市場やニーズは、自分で作り出すものだと考えたことはありますか?
⑥開拓魂は、ビジネスの世界でから死語になっていませんか?
⑦儲かるのかという質問の前に儲かる方法を考えてみませんか?
などなど。
これを読んで「ふざけるな!!」とご立腹した人は、頼もしいと思います。
今まで、再生可能エネルギーに関した知見が無くても、コンサルタントします。大事なのは一緒にやり遂げるやる気です。
是非、お声を掛けてください。議論しましょう。