記録的な高騰と急落を繰り返す「2026年最新の金相場」
日本国内金価格 週次包括分析と世界情勢レポート:2026年3月9日〜3月13日
エグゼクティブサマリー
今週の国内金価格(田中貴金属 店頭小売価格・税込)は、週初28,469円/gから水曜日に週内最高値29,342円/gをつけた後、週末にかけて反落し28,880円/gで引けました。前週比では+1.12パーセントの小幅上昇となりました。
2026年3月第2週は、米国・イスラエルによるイランへの大規模軍事作戦の継続と、ホルムズ海峡の実質的封鎖が全市場を支配した週となりました。原油価格は2022年以来の高水準に迫り、米ドルと国債利回りが急騰。金は2週連続の下落(ドル建て)となる一方、国内価格は円安により下支えされました。ダイヤモンド市場は2カラット以上の大粒が堅調な一方、中東混乱による流通障害が小粒・中粒に重くのしかかっています。
1. 国内金小売価格の週次推移
今週の日別価格(田中貴金属 店頭小売価格・税込)
| 日付 | 小売価格(円/g) | 前日比 | 買取価格(円/g) |
|---|---|---|---|
| 3/9(月) | 28,469 | -90 | 28,112 |
| 3/10(火) | 28,792 | +323 | 28,435 |
| 3/11(水) | 29,342 | +550 | 28,985 |
| 3/12(木) | 29,231 | -111 | 28,874 |
| 3/13(金) | 28,880 | -351 | 28,523 |
変化率の分析
| 比較基準 | 変化率 | 解説 |
|---|---|---|
| 前週比(3/6から3/13) | +1.12パーセント | 小幅反発。中東リスクが下支え |
| 前月同週比 | +5.01パーセント | 約1,400円の上昇。地政学リスクプレミアム |
| 52週前比(2025年3月) | +93.7パーセント | 約14,000円の上昇。歴史的高騰 |
| 52週移動平均との乖離 | +46.5パーセント | 移動平均線を大幅に上回る過熱水準 |
2. 国際市場と地政学リスクの動向
地政学:ホルムズ海峡危機の深化
2月28日に米国とイスラエルが共同でイランへの大規模空爆(オペレーション・エピック・フューリー)を開始し、アリー・ハメネイ師が死亡。これを受けてイラン革命防衛隊(IRGC)はホルムズ海峡の通行を禁止し、3月2日には公式に「海峡閉鎖」を宣言しました。イランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師は3月12日、「ホルムズ海峡を封鎖し続ける」と初の公式声明で宣言。週を通じて商船攻撃が相次ぎ、米軍はイラン掃海艇16隻を撃破したと発表しています。
原油価格:2022年以来の高水準
WTI原油は2026年初の約76ドル超まで約32.9パーセント上昇し、ブレント原油は100ドル超に急騰しました。ゴールドマン・サックスは2026年第2四半期のブレント見通しを$76に修正。イラン側は「1バレル200ドルに達する可能性がある」と警告しています。
国際金価格(XAU/USD)と米金利
| 日付 | 金スポット価格(ドル/オンス) | 前日比 |
|---|---|---|
| 3月9日(月) | $5,092 | 変動なし |
| 3月10日(火) | 約$5,236 | 上昇 |
| 3月11日(水) | $5,196 | +1.06パーセント |
| 3月12日(木) | $5,182 | -0.67パーセント |
| 3月13日(金) | $5,119 | -0.13パーセント |
金下落の最大要因は米ドル高と国債利回りの急騰です。米10年国債利回りは今週4.27パーセントと4週間ぶりの高水準に達しました。地政学リスクが通常の「金買い」ではなく「ドル・現金買い」を促したのが今週の特徴です。
為替:日本円は2024年7月以来の安値圏
| 日付 | USD/JPY(終値) |
|---|---|
| 3/9(月) | 157.67 |
| 3/10(火) | 158.05 |
| 3/11(水) | 158.95 |
| 3/12(木) | 159.35 |
| 3/13(金) | 159.23 |
米ドル高と原油高による輸入インフレが円安を加速させています。片山さつき財務大臣は口頭介入を強化し、植田和男日銀総裁は政策正常化の加速を示唆しました。
3. ダイヤモンド相場:3月12日週次レポート
市場概況
市場の二極化が継続し、2カラット以上の大粒は安定する一方、中小粒は軟調です。中東での戦争がセンチメントと輸出に打撃を与え、ドバイ・イスラエルの出入り便は依然として制限されています。
ファンシーシェイプ動向
- マーキーズ:最も高単価のファンシーシェイプ。高品質品は品薄
- ロングクッション:スクエアクッションより20から25パーセントプレミアムで取引
- オーバル:米国市場で高品質品に安定需要。インドでは中小粒が軟化
- プリンセスカット:弱含みで需要低迷
天然ダイヤ vs ラボグロウン:価格乖離の拡大
ラボグロウン(合成)1カラットの卸売価格は200ドル/カラット以下まで下落しています。消費者の「5,000ドルの予算で1カラット天然か、4カラットのラボグロウンか」という選択が市場構造を大きく変えています。
4. テクニカル分析と翌週の価格予測
| 指標 | 数値 | シグナル |
|---|---|---|
| RSI(14日) | 50.54 | 中立からやや強気 |
| MACD | 買いシグナル | 日足・週足・月足すべて買い |
| SMA 200日 | 約3,966ドル | 強い上昇トレンド |
翌週(3/16から20)の価格予測
| シナリオ | 確率 | 予測レンジ(国内・円/g) |
|---|---|---|
| メインシナリオ(レンジ推移) | 55パーセント | 28,200から29,500円 |
| 上振れシナリオ(リスク激化) | 25パーセント | 29,500から30,500円 |
| 下振れシナリオ(利益確定売り) | 20パーセント | 27,000から28,200円 |
5. 保有・売却判断のポイント
売却を検討してもよい状況
- 購入価格の2倍以上の利益が出ている場合
- まとまった資金が必要なタイミングがある場合
- 52週移動平均から大幅に乖離し過熱感が強いと感じる場合
保持を続けてもよい状況
- MACD等の指標が中長期的な上昇トレンドを維持している
- 中東リスクが金価格の下支えとして継続すると見る場合
- JPモルガンの年末6,300ドル予測を重視する場合
免責事項
本レポートは情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。金価格や宝石相場は地政学リスク、為替、金利動向など多数の要因によって変動します。投資判断はご自身の責任において行ってください。
データソース:田中貴金属工業、三菱マテリアル、ゴールドプラザ、Trading Economics、CNBC、Reuters、Rapaport、Wiseほか
作成日:2026年3月14日



