2025年秋、金相場は「4,100ドル台」が新たな基準へ、 FRBの利下げ、ドル安、そして中央銀行の金買いが支える強固な構造

杉兼太朗

杉兼太朗

テーマ:金相場

2025年秋、金相場は「4,100ドル台」が新たな基準へ、
FRBの利下げ、ドル安、そして中央銀行の金買いが支える強固な構造


リファスタの杉です。
今回は、2025年11月時点の金相場の現状と背景について、じっくりと解説していきます。
やや長いですが、世界の金融構造が変わる転換点です。相場を見極める上で非常に重要な局面に差し掛かっています。

金相場は1トロイオンスあたり4,100ドル台を形成中


まず結論からお伝えします。
現在の金価格は、1トロイオンスあたり4,100ドル前後に「新しい土台」を作り始めています。
これは単なる反発ではなく、明確なベース形成です。

この水準を支えている主な要因は3つあります。

  • 米国政府の史上最長の閉鎖により、経済データが一時的に途絶し、市場の不確実性が急上昇していること
  • FRBが金融緩和へと転じ、ドル安方向に流れが変わっていること
  • 中央銀行による継続的な金の買い増しと、地政学リスクの長期化による安全資産需要の強まり


これらの「3つの柱」が、4,100ドルという価格帯をしっかりと支えています。

米政府閉鎖とデータ欠落が市場の不確実性を拡大


2025年11月15日時点で、金の国際価格は4,100ドル台前半で推移。
年初からの上昇率は56%に達し、10月には過去最高値4,380ドルを記録しました。
わずか2か月の間に「3,000ドル台」から「4,000ドル台」へと相場が一段上がったのです。

短期的な調整局面もありましたが、チャート上では明確な上昇トレンドが続いています。

その背景にあるのが「米国政府の史上最長の閉鎖」です。
10月1日から約6週間にわたり、政府機能の一部が完全に停止。
11月中旬にようやく再開されましたが、その影響は深刻です。

CPI(消費者物価指数)など主要統計の収集が止まり、10月分のデータが欠落。
雇用統計も一時解雇者のカウントによって歪みが生じ、失業率は一時的に4.8%へ上昇する見通しです。

つまり市場にとっては「データが見えない状態」。
その結果、投資家が不確実性リスクを回避するため、金を買い増す動きが強まりました。
この構造が、相場を4,100ドル近辺で安定させています。

FRBの利下げとドル安、そして中央銀行の買いが金価格を支える


FRB(米連邦準備制度)は2025年10月末、0.25%の利下げを実施しました。
政策転換を受け、当初は12月の追加利下げが確実視されましたが、11月時点で確率は約50%まで低下。
それでも金価格はびくともせず、4,100ドル台を維持しています。

なぜか。
もはやFRBの政策だけが金相場を支えているわけではないからです。

ドルインデックスは98.5前後まで下落。
100を超える勢いを失い、ドルの相対的な強さが明確に後退しています。
加えて、米景気指標も軟化。
消費者信頼感は2022年以来の低水準、民間雇用増加もわずか4万人台。
金利差が縮まり、ドルの投資妙味が薄れています。

そこに拍車をかけるのが、各国中央銀行による過去最大規模の金買いです。
2025年1~9月の買付実績は634トン、第3四半期だけで220トン。
過去5年平均を上回るペースで、ポーランド、ブラジル、カザフスタンなどが積極的に購入を続けています。

世界金評議会の調査では、中央銀行の95%が「今後12か月以内に金準備を増加」と回答。
減らすと答えた国はゼロです。

この背景には、ドル依存を減らし、制裁リスクを回避する「脱ドル化」の流れがあります。
現在、世界の中央銀行が保有する金は約3万6,000トン。
採掘された金全体の2割を占める規模です。

さらに地政学リスクが続くことで、金のリスクプレミアム(上乗せ価格)が5~7%程度維持されています。
これらすべてが、金を「4,100ドル台に定着させる要因」となっているのです。

今後のシナリオと投資家・売却検討者の判断軸


テクニカル面では、10月下旬以降の上昇率が約6.7%。
短期レジスタンスは4,125~4,193ドル、突破すれば4,252ドル、さらに4,350ドル台の高値圏を目指す展開も。
主要銀行も2026年に向けて4,500~4,700ドルを試すと見ています。

サポートラインは3,987~4,049ドル付近。
仮に調整が入っても3,900ドル台での下げ止まりが想定されます。
つまり、「4,000ドル割れは限定的」「4,100ドルが新しい基準」という見方が市場のコンセンサスです。

支えとなる構造は以下の3点です。

  • 各国中央銀行による金の積極買い
  • インフレ・通貨不安への備えとしての民間需要
  • 地政学リスクに対する保険資産としての価値再評価


専門機関の分析でも、「金が4,100ドルで安定していること自体が投資家の信頼の証」とされています。
唯一のリスクは、FRBの急な方針転換や地政学的リスクの沈静化、ドル高の再燃など。
しかしいずれも現時点では限定的です。

2025年、金は年初来で56%上昇。
データ欠落と政策不透明、地政学リスク、脱ドル化という三拍子の中で、金は引き続き「保険資産」として重要な役割を果たし続けます。

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今の相場で重要なのは、「なぜ金が4,100ドルにいるのか」を理解した上で行動すること。
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2025年11月時点での金相場まとめ


  • 金価格は4,100ドル台を維持し、年初来で56%上昇
  • 米政府閉鎖によるデータ欠落が市場の不確実性を増大
  • FRBは緩和方向へ転換、ドル安が進行
  • 中央銀行の買い増しと地政学リスクが金需要を支える
  • 4,100ドルが新サポート、4,500ドル台を試す展開も
  • 金は今後も「保険資産」としての価値を維持


冷静に、そして戦略的に。
相場の波を恐れるのではなく、その構造を理解して動くことが、2025年後半の資産防衛の鍵です。

リファスタの杉でした。
引き続き、現場の目線から最新の相場動向をお伝えしていきます。

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杉兼太朗
専門家

杉兼太朗(貴金属・宝石・ブランド品買取業)

ラウンジデザイナーズ株式会社 リファスタ

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