2025年11月1日時点の金相場・為替・金利・米中情勢から見る「宝飾品売却判断の5つの重要材料」

杉兼太朗

杉兼太朗

テーマ:金相場

金価格:一時的な調整も年初来+50%。ETFと中央銀行が強力に下支え。

2025年10月31日の金価格は1トロイオンスあたり3,997.10ドルでした。
一時は4,381.58ドルの史上最高値を記録し、年初からの上昇率は約+50%と、1970年代オイルショック以来の急騰ペースです。
10月22日には5〜6%の急落もありましたが、翌日には反発し、国内小売価格も1gあたり22,000円台に乗せました。
FRBの利下げ後退や米中リスクの緩和が一因で一時的に売られましたが、背景には根強い需要があります。

2025年第3四半期、中央銀行は前期比+28%増となる220トンを購入し、年間では900〜1,000トン規模が見込まれています。
特にカザフスタンとブラジルが主な買い手となり、新興国の外貨準備分散として金の保有を進めています。

さらに金ETFにも2025年は640億ドルが流入。9月単月では173億ドルが入り、過去最高を更新しました。
英HSBCは2026年前半に金価格が5,000ドルに到達する可能性を予想し、強気姿勢を強めています。

米金利と為替:FRB利下げ後退・円安で、円建て買取価格は高止まり。

米国の10年債利回りは10月末時点で4.08%で推移。
FRBは10月会合で0.25%の利下げを実施したものの、パウエル議長は「12月の追加利下げは前提ではない」と明言し、市場の利下げ期待は60%程度まで後退しました。
2年債とのスプレッドは+0.5〜0.6%で、イールドカーブはスティープ化。

12月からはQTも停止され、長期金利の再上昇とドル高継続が意識されています。
ドル高はそのまま金の円建て換算価格を押し上げる要因です。

一方、日本銀行は10月30日の会合で政策金利を0.5%で6会合連続据え置き。インフレ見通しに慎重姿勢を崩していません。
その結果、円は10月に対ドルで4.2%安、月末には1ドル=154円近辺まで下落し、8か月ぶりの円安水準となりました。

為替が大きく動いた10月は、リファスタへの査定依頼も2割増。特にプラチナやパラジウムを含む地金の持ち込みが増加しています。
円安進行は日本国内での地金買取価格にとって、直接的な追い風になります。

米中情勢と地政学的影響:希少鉱物の「休戦」で供給不安が一時後退。

2025年10月下旬、米中は希土類・リチウムなどの重要鉱物に関して、輸出規制・関税の1年間停止に合意しました。
これにより、鉱物資源の供給不安が後退し、金属市場全体のボラティリティはやや縮小。

特に、地政学的リスクが金価格を押し上げる「プレミアム要因」が薄まり、10月下旬の金下落にもつながりました。
ただし、供給が安定したからといって金の需要が減るわけではなく、中央銀行の買いは継続。
また、リスク後退のタイミングでも金ETFの流入は続いており、市場の長期的な強気ムードに変化は見られません。

日本においても、地政学的要因が落ち着いた局面は売却判断の好機となる傾向があります。
価格が高止まりしていて、かつ市場が平常化しているタイミングでは、「今売る」判断がしやすくなります。

まとめ:円建て金価格は「ドル建て相場 × 為替相場」で決まる。今は売却好機。

2025年11月1日時点で、金は年初来+50%の高騰を維持しながら一時的に調整。中央銀行とETFが需要を支えています。
米金利は高止まりし、12月FOMCでの追加利下げは確実視されておらず、ドル円は154円まで円安進行。
米中の鉱物休戦合意は供給不安を一時和らげましたが、長期の金需要には影響なし。

円建ての金・地金買取価格は、「ドル建て相場 × 為替相場」で決まります。
今は両方が高水準にあるため、日本国内での買取価格は非常に有利です。
売却を検討されている方は、このタイミングをひとつの目安としてご判断ください。

リファスタの杉でした。では!

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杉兼太朗
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杉兼太朗(貴金属・宝石・ブランド品買取業)

ラウンジデザイナーズ株式会社 リファスタ

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