伝えたいベテランと聞きたい若手を結ぶ経験談活用の専門家今村充裕

伝えたいベテランと聞きたい若手を結ぶ経験談活用の専門家

今村充裕

誰から教わるかを最重要視した人材育成サービスが人気

　株式会社NOWVILLAGEの代表今村充裕さん。今年設立10周年を迎えたこちらの会社は『あらゆる世代の活躍を支援する』をモットーに掲げ、企業向けの人材育成サービスを展開し、多くの会社から支持されています。

「大学卒業後IT系の会社に就職したのですが、学生時代に家庭教師として大勢の生徒を教えていた経験を買われ、IT教育の部署に配属されました。その部署が会社化されることになり、営業から新しい教育サービスの体系づくりまで任され、奮闘し、4年連続社内トップクラスの営業成績を挙げることができました」
持ち前の頑張りと時代を見据えた斬新なアイデアで激務を切り抜けた今村さん。その後、人材育成の分野で自分にしかできない人材育成サービスを展開したいと決心し独立、現在の会社を立ち上げます。

「新人研修からITスキル習得術など、さまざまな分野の『学び』に応じられるよう、講師陣に特に力を入れています。『何を教わるか』はもちろんですが、『誰から教わるか』もとても大切です。ぞれぞれの会社に合った講師を紹介することで、学ぶ側も内容をより深く習得することができると思っています」
　会社と講師のマッチングを重要視したことで、人材育成サービスは、会社設立当初から右肩上がりに人気を博しています。

経験談を若手社員に伝えるシステムで、会社の難局も全世代一丸となり立ち向かえる。

　また、今村さんの会社で現在最も力を入れて、展開しているサービスが『キャリアレバレッジシステム』です。
「会社に勤めていた頃（もしくは、サラリーマンだった頃）、主な営業先は大企業が多かったのですが、その頃、よく接していた人材育成の部署にいる人の中には、貴重な経験を持ち、会社のことを考えて仕事をしているにもかかわらず、リストラの対象になってしまった人がいました。どんな人でも、会社で長年勤めてきたという『経験』を持っています。その経験値を、何らかの形で会社に生かすことはできないのだろうかと、問題意識を持っていました」
　今村さんは超高齢化社会を迎える日本で、企業内で増え続けるベテラン社員の経験値こそが、会社が立ち向かう難局を切り抜けるカギになり、また会社を発展させる人材育成の要となるのではないのかと考え、ベテラン社員の『経験』を生かせる新しいシステムを構築しようと模索します。そんな中、運命的な出会いを自ら引き寄せます。

「キャリアコンサルタントの資格を習得する中で、アメリカのスタンフォード大学教授でキャリア理論家のジョン・D・クルンボルツ博士の『計画された偶然』という理論に共感しました。『あなたの理論を活用し、日本の高齢者の経験を伝える仕組みを構築したい』と彼に直接メールをしたところ、実際に会うことができました」
　クルンボルツ博士に直接会えたことで、今村さんはたくさんのアイデアを得ました。
「クルンボルツ博士が提唱する理論は、偶然が必然に変化する時には5つのスキル、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、リスクテイク（冒険心）が必要だというものです。ベテラン社員は、長年働く中で、必ず偶然が必然に変化した経験を持っています。それを若手社員に伝えることは、その会社で働く姿勢や意義を伝承することにつながると確信しました」

各年代が他の世代に影響を与え、それぞれの自己実現で働く意義を見出す。

　会社内でも昔は機能していた「オレの背中を見て学べ」式の働き方の伝承が、変化が激しい昨今では「自ら学ぶこと」が必要な時代となってきたと、今村さんは指摘します。また、情報が氾濫し、インターネットで瞬時に得られる環境が当たり前になり、新入社員の多くは、情報の収集はできても真に吸収することはできていないと感じています。
「ベテラン社員が長年働いてきた経験は会社にとってとても貴重なもので、会社を去る人にはそれを伝える義務があると思います。若手社員に吸収させるには、若手社員が最も関心を持っている自己成長に関連づけることも重要で、そのツールとして、このシステムが役に立つと自信を持っています」
　キャリアレバレッジシステムでは動画を活用し、理想論で終わるキャリア論ではなく、魅力溢れる社内の先輩が歩んできた道を若手社員が素直に学べるよう、さまざまな工夫をしています。
「長年勤めてきた人たちをお払い箱にし、まだ働けるのにやる気を失わせているのは、社会的にも大きな問題です。若手社員に仕事で培った経験を伝えることで、ベテラン社員も働く意義を再度見出し、若手社員も成長できるのです」

　各年代が他の世代に影響を与え、自己実現を通じて、活発に行動できる社会を支援する仕組みづくりに積極的に取り組みたいと、今村さんの挑戦は続きます。
「経験談を活用し、会社内の世代間ギャップを埋めるお手伝いをしたい。そしていずれは、この仕組みを全国的にも広めていきたいです。経験談は話す方も楽しく、また聞く方も働く姿勢に生かすことができます。これからも世代間の交流をより促進していける人材育成サービスを展開していきたいです」

（取材年月：2019年6月）

あらゆる世代が輝き活躍する仕組みづくりで、人を大切にする会社を全力で支援する

誰から教わるかを最重要視した人材育成サービスが人気

経験談を若手社員に伝えるシステムで、会社の難局も全世代一丸となり立ち向かえる。

各年代が他の世代に影響を与え、それぞれの自己実現で働く意義を見出す。

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