経験談は、KSAのAの伝承だ
誰にでもあるPlanned Happenstance Theory
あなたが今、行っている仕事は“やりたかった”仕事ですか。それとも“やらされた”仕事ですか。と聞かれると、どちらでもないと答える人も少なくない。ただ、仕事をして、その仕事から知識を身につけ、スキルも向上している。数年間、仕事をしてきて、今、考えてみると、この仕事を行うことは必然の出来事だったのではないだろうか。
なんてことを考えることもあるだろう。
ジョン・F・クランボルツ博士は、「プランドハプンスセオリー」で偶然な出来事に5つのスキルが働けば、必然な出来事に変わると説いている。
「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「リスクテイク」である。
私たちの仕事に当てはめるとどういったことが起こっているのだろうか。
就職や転職をして、私たちは今の仕事についている。どんな仕事をしていくのかワクワクしたり、仕事だからと割り切って仕事をしたり、どこにも行くところなかったから仕方なく仕事をしたりして。それぞれの考え方で、目の前に現れた仕事に就くことになっただろう。
いざ、仕事を始めると、いろんなことに出会うことになる。
上司や同僚の人間性に触れたり、会社の方向性や社長の想いだったり、訳わからず最初にやらされる仕事そのものに出会ったり、目の前に現れる内容は多種多様である。
その仕事にさほど興味を持っていなくても、一緒に仕事しているメンバーに興味をもつこともある。一方で、メンバーにさほど興味を持てなくても、仕事で成果を上げることに興味をもつこともある。 仕事で得られるスキルに興味を持つことだってある。
興味を持つことによって、人に聞いたり、教えてもらったり、Webで調べたり、本を読んだりすることだろう。単純にメンバーに興味を持って、そのメンバーを知ることだって、一つの学びと捉えれば、自ら学ぶ姿勢はここでつくことになる。
気づけば、1年過ぎ、2年過ぎ、このメンバーで一緒に仕事をしていることに気が付くこともあるだろう。このメンバーだから続けられている。そんな人も少なくはないだろう。
または、最初は上司から言われるがまま行う仕事だったものが、数年たった今では、自分に技術力がついて、後輩や協力会社から助けを求められることもあるようになることもあるだろう。
「なんでそんな簡単にできるのですか?」という問いに「もう数年やっているから」と応えることもあるだろう。気づかぬうちに続けていることだけでも、他の人と比べて、経験から学んでいることがわかる。特別な研修やeラーニング等で学んでなくとも、現場での経験から自ら学んでいることを、他の方から気づかされるだろう。
仕事を続けていくと、メンバーから無茶な要望があったりする。人間関係的にも技術的にも仕事を始めたころでは考えられないようなことを平気で言ってくることもある。
“そんなのムリだよ”と思っていても、「君だから」「君しか」といったフレーズに、ちょっとしたムチャブリでも対応してみようかなと思い、やってみることだろう。
なんだか自尊心をくすぐられるようなところでもあり、責任感を感じる場面でもある。
責任感ある仕事の経験は、自らを成長させる学びにつながることだろう。
こうして様々な仕事を行っていくと、時には先の見えない仕事もやってくることがある。
失敗したら、大きな負債を抱えてしまうかもしれない。信用を失ってしまうかもしれない。
どうしよう、この仕事を受けていいものだろうか。そんな経験がやってくるときがある。
そんなときは、自分の感覚を信じてみることも必要だろう。
“先の見えない仕事でもなんとなくうまくいきそうな気がする”といった感覚がでることもある。そういう自分の感覚を信じてみよう。
きっと、その感覚は、何事にも代えがたい自分だけの学びとなっていくだろう。
仕事のスキルがついてくると、この仕事でいいのだろうか、他の仕事も向いているのではないだろうか。と、隣の芝生は青く見えたりして、私たちの前にはいくつもの選択肢が現れたりする。どういった選択をするのが正しいのだろうか。
仕事を続けるのも冒険、仕事を変えるのも冒険、どちらの冒険をとるのか。
常にどちらに行くのか選択をすることになるだろう。
その選択には覚悟が伴うこととなる。人は覚悟を持って行動すると、姿勢・態度が確立されていく。その姿勢・態度に対する学びことが自ら成長させるきっかけとなるだろう。