結婚を決めるタイミングと選択のジレンマ:留保水準の理論から導き出す3.7人目で最適なパートナーを見つける戦略

桑山裕史

桑山裕史

テーマ:婚活 心理学 結婚相談所


カレー実験から学ぶ、ベストパートナー選びの科学


2035年の生涯未婚率に関する推計は、現代社会における結婚観の変化を示唆しています。
男性の約3人に1人、女性の約5人に1人が生涯独身であるというデータは、私たちが結婚に対してどのような価値観を持っているか、そしてそれがどのように変わってきたかを考えさせられます。

経済学の観点から見ると、出会いの機会が増えるほど結婚が難しくなるというのは、一見すると矛盾しているように感じられるかもしれません。
しかし、これは「選択のパラドックス」とも呼ばれる現象で、選択肢が多いほど最適な選択をすることが難しくなるという心理学の理論に基づいています。

過去にテレビ番組で放送されたカレーの実験は、この理論を体験的に示すものでした。

【10種類のカレーを順番に味見して、ベストのカレーを選ぶ実験】

◆実験ルール1
選択したカレーしか一生食べられないという想定

◆実験ルール2
食べた直後のみに選択する

※全て食べてから決めることはできない。遡ってこのカレーが良かったはNG。

後戻りできない状況になると、人はここ一番の決断が難しくなってしまうのです。
途中で美味しいカレーに出会っても、人はもっと美味しいカレーがあるのではと、つい意思決定を延ばしてしまいます。


10種類のカレーから最良のものを選ぶというシンプルなタスクですが、その選択には重大な意味がありました。
一度選んだカレーしか一生食べられないというルールは、結婚という一生のパートナーを選ぶ状況を模倣しています。
そして、食べた直後にのみ選択できるというルールは、過去に戻って選択を変えることができない現実を反映しています。

この実験は、意思決定の難しさを浮き彫りにしました。
美味しいカレーに出会っても、もっと良いものがあるかもしれないという期待から、決断を先延ばしにしてしまう人が多くいました。
結果として、最後まで待ってしまい、好みではないカレーを選ばざるを得なくなる人も出てきました。

この実験から得られる教訓は、選択肢が多いほど、人は次があるかもしれないと期待し、その水準を高く設定します。
そして、数が多いほど、妥協せずに追い求める傾向があり、相手に求める基準が高くなります。

これを経済学では「留保水準」と呼びます。
留保水準は、取引を行う際に設定する「OKライン」であり、このラインが高いほど、意思決定が難しくなります。


3.7人目の法則:最適なパートナーを見つける戦略


それでは、どのようにしてベストなパートナーを見つけることができるのでしょうか?
経済学には、「3.7人目までは見送る」という法則があります。
これは、10人の中から最適なパートナーを選ぶ場合、最初の3.7人は見送り、4人目以降で過去の交際相手よりも良い人が現れたら、その人を選ぶという戦略です。
この法則は、意思決定のタイミングを最適化するためのものであり、グラフで表すと、3.7人目でピークに達し、その後は選択肢の質が下がるとされています。

何人を見送れば最適な人を選べるのか?10人だと4人目。100人交際できるお相手がいる方だと、37人は自動的にパス、37人の中で最高と思える人を超える人に最初に出会った時、結婚相手を決めるのがベストとなります。

しかし、この法則は、あくまで理論上のものであり、実際の人間関係や結婚においては、さまざまな要因が絡み合います。
人間関係は、計算式で測れるものではなく、感情や価値観、タイミングなど、計り知れない要素が影響を及ぼします。
したがって、この法則を盲目的に適用するのではなく、自分自身の価値観や幸せを考え、柔軟に対応することが重要です。



多くの選択肢の中で見つける、一生の伴侶


結婚を遅らせる要因は、留保水準の高さだけではありません。
社会的、経済的な要因も大きく影響しています。
例えば、経済的な不安定さやキャリアの追求、個人の自由や独立性への価値観の変化など、現代社会における多様なライフスタイルが結婚観に影響を与えています。

最終的に、結婚は個人の選択であり、社会的な圧力や期待に左右されるものではないということを忘れてはなりません。
結婚するかどうか、いつするか、誰とするかは、それぞれの人が自分の価値観や状況に基づいて決めるべきことです。
そして、結婚が幸せの唯一の形ではないことを認識し、多様な生き方を尊重することが、より豊かな社会を築くための鍵となるでしょう。

結婚に関する意思決定は、単なる数学的な最適化問題ではなく、人生の中で最も重要な選択の一つです。
その選択をする際には、自分自身の内面に耳を傾け、本当に心から望むものが何かを見極めることが大切です。
そして、その選択が自分にとって最良のものであるように、心から願うことができるのです。
結婚は、ゴールではなく、新たな人生の始まりであり、二人で築く幸せの旅路です。
その旅路を共に歩むパートナーを見つけることは、計算以上に、心の声に耳を傾けることから始まるのです。

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桑山裕史
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桑山裕史(婚活コンサルタント)

株式会社ナウい

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桑山裕史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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