PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

日常点検の自動化サービス「リルズゲージ」で、現場業務の効率化をサポート

日常点検の自動化を支援する専門家

岡本英一郎

岡本英一郎 おかもとえいいちろう

#chapter1

アナログメータの前に設置したカメラでデータを読み取り、クラウドに保存

 「プラスチック、ゴム製品、医薬品などを製造する化学系や、石油・ガスを精製するエネルギー事業者、食品・飲料メーカー、製鉄所といったプラント(工場)業界における現場業務の効率化をサポートします」

 そう話すのは、「NBKマーケティング」代表の岡本英一郎さん。2020年から、販売代理店として力を入れているのが、「LiLz Gauge(リルズゲージ)」という日常点検の自動化サービスです。沖縄県の「LiLz」社が開発したもので、電気やガス機器のアナログメータの前に専用カメラを取り付け、読み取った画像をAI(人工知能)がデジタルデータに変換。作業員による目視と記録の手間が省け、データの管理や分析も容易になると言います。

 「見慣れている計器の文字盤を撮影しますので、針の位置が一目で分かり、視認性が高いのも特長です。測定値は、セキュリティー対策を施したインターネット上のクラウドに保存され、パソコンやスマートフォンなどの端末で確認できます」

 通信機器を内蔵しているので配線が不要であるうえ、電源は充電型でコードレス。電池は約3年持つので、頻繁に交換する必要もないと説明します。

 「大がかりな工事をしなくても、市販の金具を使って設置できるため、デジタル技術により利便性を図るDX(デジタルトランスフォーション)化も安価にできます」と岡本さん。ある病院では、医療用ガスのアナログメータ15台をスマートメータに変えた場合の見積もりが2000万円だったそうですが、リルズゲージでは10分の1以下となり、契約を即断してもらったそうです。

#chapter2

老舗部品メーカーの子会社として、海外の機械部品を輸入販売する会社を創業

 岡本さんは、鋳物業をルーツに、約460年の歴史を持つ部品メーカー「鍋屋バイテック」を営む家の長男として、1970年に岐阜県で生まれました。

 慶応義塾大学を卒業後、総合商社の「兼松」に入社。4年目を終える頃、父の太一さんに請われ実家へ舞い戻ります。かねてより後を継ぐ心づもりをしていましたが、自分がやりたいことと、当時、社長として手腕を振るっていた父が求めるものに、ずれを感じていたとか。

 「工場で同じ作業を繰り返す従業員の方を見て、工程を見直すなど、負担を減らすことはできないかと思っていました。加えて、若い自分がいきなり入社し、上に立ってよいのかという葛藤もあり父に打ち明けたところ、『そんなことは気にするな。言われたことをやればいいから』という答えが返ってきたのです。以来、父と衝突することが増えていきました」

 互いの間に生じた溝は埋まらず、2年半後に会社を去った岡本さん。その後、いろいろな会社に勤めますが、気持ちが落ち着かない日々を送ります。太一さんとの関係も、いったん距離を取ったことで自然と修復されていたことから、自身の中で膨らんだ「家業に携わりたい」との思いを伝えます。

 「折しも、海外のビジネスパートナーが日本へ進出するとのことで、父から『やってみるか』と打診され、チャレンジすることにしました。2003年に鍋屋バイテックの子会社として、機械部品を輸入販売するNBKマーケティングを立ち上げ、社長に就任しました」

#chapter3

リルズゲージの米国販売も開始し、防爆エリア用の製品や赤外線カメラも展開へ

 岡本さんがリルズゲージを取り扱い始めたきっかけは、コロナ禍です。機械部品の需要が激減し、空いた時間で知人の手伝いをしている最中に、開発者である「LiLz」社の大西敬吾さんと出会いました。「専門知識を要さず、使い方も簡単である点などに可能性を見いだし、すぐに代理店契約を申し込みました。導入してもらえるよう、1カ月間で約3000社へアプローチしました」

 地道な努力のかいもあって、順調に顧客を獲得。2022年には、数ある代理店の中で販売台数がトップになったそうです。

 今後は、日本のみならず国外にも展開していく方針。2023年7月には米国向けに初出荷を果たしました。「アメリカでは労働力がひっ迫し、人件費もどんどん上がっていますから、単純作業を代替するリルズゲージが役立つはずです」

 また、2023年秋には新製品2種類をリリース。一つは、爆発や火災が発生する恐れのある防爆エリア用です。一定以上の温度上昇を防ぐ部品を使用し、外気の浸入を抑える気密性も備えることから、多くの引き合いがあるとのこと。

 もう一つは赤外線カメラ。温度分布を色の違いによって表し、異常発熱している箇所を視認できます。いずれも電源不要で、容易な設置工事で済みます。

 「プラントの老朽化も進み監視は必須ですが、日本も人手が不足しています。リルズゲージはこうした社会課題の解決にも一役買う商品です。事業を通じて世の中に貢献ができるわけですから、今は本当に仕事が楽しくて仕方ありません」

(取材年月:2023年7月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

岡本英一郎

日常点検の自動化を支援する専門家

岡本英一郎プロ

現場のデジタル化の支援、IoT機器の導入支援

NBKマーケティング株式会社

アナログ計器の前にカメラを取りつけ、撮影した計器の画像をAIで自動読取しデータ化するLiLz Gauge(リルズゲージ)を中心に、現場のDX化を分かりやすくサポートし、日々の点検業務を軽減します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ東京に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO