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Mybestpro Interview

ソフトウェア開発に関わる人々の思いや悩みに寄り添い、プロジェクト成功へ導く

関係者の思いをくみソフト開発を導くプロジェクトマネージャー

久富徹

久富徹 ひさとみとおる

#chapter1

関係者同士の意思疎通を支え、安心して意見交換できるチームづくりを目指す

 WEBサービスやスマートフォンアプリ、業務システムなどのソフトウェア開発において、プロジェクトマネージャー(PM)として顧客の目標達成を支える「傾聴」の代表・久富徹さん。数々の案件を成功に導いた経験を基に、現場に携わる人々の思いを形にする調整力を発揮し、課題解決に貢献しています。

 「主なお客さまは開発を外部委託している中堅企業で、基本的に開発スタートから納品まで伴走します。一方で『見積もりの妥当性が分からない』『交渉が難しい』『チーム内の意思疎通が図れない』といった課題に対し、限定的に支援することもあります。受託側からも『顧客の意図が読み取れない』『要件整理が苦手』『担当者だけでは頓挫しそう』など、問題への対応を依頼されます。こうしたプロジェクトに関わる皆さんの立場を理解し、現実的な着地点を見いだすのが私の強みです」

 そのために重視しているのが、まさに「傾聴」。当事者の言葉を丁寧に受け止め、要望や悩みを言語化することを得意としています。さらに「意見を控えるようになった」「報告が粗雑になってきた」「表情が曇っている」など、現場のわずかな変化を感じ取り、トラブルを未然に防ぐよう働きかけています。

 「重大なリスクがあると判断した場合は、相手を尊重しながらも、やるべきことをきちんと伝えます。特にソフト開発におけるトラブルは、発注者と開発会社のすれ違いから生じやすく、『問題・課題を見つけたが言い出せないまま進行してしまった』というケースも少なくありません。だからこそ私はPMとして双方の隔たりを埋め、プロジェクトを前に進めることを信条としています」

#chapter2

小学4年でPCに触れプログラミングを学び、社会に出て認識共有の重要性を実感

 久富さんがコンピューターと出合ったのは小学4年生の時。祖母から贈られた入門機で見本のプログラムを書き写したり、絵を描いたりするうちに夢中になっていったと振り返ります。

 「両親も私のお年玉や入学祝いを貯金し、後にMacintoshを買ってくれました。 Macintosh標準付属の開発環境"HyperCard"があり、当時としては恵まれた環境で開発のいろはを学ぶことができたんです。大学でも経営情報学を専攻し、コンピューターへの理解を深めていきました」

 卒業後はシステム開発会社に入社し、債券価格を計算するシステムの開発に従事。転職後は有料音楽配信サービスの立ち上げにも携わります。

 「2008年からの9年間はIT企業でアプリやWEBサービスのプリセールスから納品後の保守運用まで担当しました。大手企業の案件を複数手掛ける中で、『プロジェクトに関わる人が増えるほど認識調整が難しくなる』と実感しました。それでも成果を出さなければならず、非常に鍛えられました」

 顧客の意向を理解し、関係者間の橋渡しをする現在のスタイルは、この頃の経験が土台になっています。そして2020年、親友の後押しを受けて「傾聴」を設立しました。

 「独立した今はPMの知見に経営者視点も加わり、お客さまの売り上げや利益、次の展開まで見据えられるようになりました。また、自分自身の裁量で動けるため、より納得感を持って仕事に向き合えています」

#chapter3

トラブル時こそ冷静さと誠実さが重要。人間とAIをつなぐ存在を目指す

 久富さんにとって仕事の醍醐味は、自身の存在意義を感じられること。顧客から「うちの従業員は大人しくて意見を言えない。そんな時に雰囲気を壊さず代弁してくれるので助かる」と言われると、役目を果たせたと実感できるといいます。

 「違和感を言葉にできなかったり、関係悪化を恐れて意見を控えたりするのはよくあることです。でも論点を整理し、相手が受け止めやすい形にすれば、何も言わないより良い結果につながる可能性があります。この流れに導けた時にやりがいを感じます」

 また、深刻な事態に陥った案件で「あなたにだけは話しておきたい」と、顧客の機密を扱う会議に呼ばれたことも。そこまでの信頼を得られたのは、日頃から事実を隠さず報告し、それぞれが置かれた状況を尊重し続けてきた結果だと話します。

 「トラブル時ほど、いかに冷静に判断できるか、どれだけ誠実でいられるかが重要だと思います。真剣に向き合う分、プロジェクトが成功した時は自分ごとのようにうれしいですね。当初は意見が合わなかったお客さまとも、最後には率直に話せる関係を築けるよう努めています」

 近年はAI(人工知能)の進化により、ソフトウェア開発の自動化が進む時代が近づいています。一方で、ユーザーが求めていない機能まで生み出してしまう可能性もあり、何を作るべきかをマネジメントする役割が今後さらに重要になると見ています。

 「ある海外の起業家によると、AIが扱いづらいのは直感や意思を伴った方向性、文化的背景、信頼関係、その場の空気だそうです。こうした部分に着目し、今後は人間とAIの橋渡し役を担っていきたいと考えています」

(取材年月:2026年5月)

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専門家プロフィール

久富徹

関係者の思いをくみソフト開発を導くプロジェクトマネージャー

久富徹プロ

プロジェクトマネージャー

合同会社傾聴

プロジェクトマネージャーとしてソフト開発に携わり、発注者と受注者の橋渡し役を担う。双方の認識のずれや言いづらさを整理し、言語化されていない要望や不安をくみ取り、現実的な着地点へ導きます。

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