猫がお腹のブラッシングを嫌がる理由とは?対処法も元トリマーがケース別に解説

中澤光恵

中澤光恵

テーマ:猫のブラッシング

猫お腹ブラッシング嫌がる

猫さんにブラッシングをしようとお腹にブラシを近づけた瞬間、逃げられたり噛みつかれたりした経験はありませんか。
背中や頭は気持ちよさそうにブラッシングさせてくれるのに、お腹のときだけ嫌がるというケースはよくあります。

大切なのは「嫌がる理由を知り、そのときの猫さんの気持ちを察しながら徐々に慣れさせる」ことです。

この記事では、猫さんがお腹のブラッシングを嫌がる理由から、猫さんが受け入れやすいブラッシング方法、嫌がる猫さんの段階的な慣らし方まで、元トリマーの経験をもとに詳しく解説します。

「どうしてもお腹だけ触らせてくれない」と悩んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。
猫さんの気持ちに寄り添ったアプローチで、少しずつ前進できますよ。




猫がお腹のブラッシングを嫌がるのはなぜ?


威嚇する猫
猫さんがお腹のブラッシングを嫌がるのには、きちんとした理由があります。

まず猫さんに限らず動物全般に言えることですが、お腹は「急所」なので守ろうとします
お腹を負傷すれば、致命傷となる可能性が高いからです。

そのためよく言われるヘソ天(仰向けになって寛ぐ姿)は、安心できる場所や人などの前でしか行いません。
防衛本能として、お腹に触れられることを嫌がる傾向があり、警戒心が強い猫さんは特に嫌がりやすいです。

更に嫌な経験や痛みがあると、ますますお腹に触れられることを嫌がるようになります。

以前に無理やり仰向けにしてブラッシングをしようとしたり、毛玉を強引に取ろうとして痛い思いをさせたりすると、トラウマとなり嫌がる原因になります。

毛玉があることで突っ張って痛みを感じ嫌がる、という場合もあるでしょう。

ただ単にブラッシングをされる気分ではないときに行うのも嫌がるので、行うタイミングを見極めることも重要です。

また最近になって突然嫌がるようになったという場合は、体のどこかに異常があるのかもしれません。
一度動物病院で診てもらうとよいでしょう。


お腹のブラッシング方法


仰向けでブラッシングする猫

実際に猫さんのお腹をブラッシングするとき、気をつけるポイントがいくつかあります。

次の3点に気をつけて、ブラッシングに慣れてもらいましょう

・タイミング
・適したブラシ
・適した手順



ブラッシングを行うタイミング

猫さんのお腹のブラッシングを成功させるためには、タイミング選びがとても重要です。

いきなりこちらの都合だけで、ブラッシングを行わないでくださいね。
嫌がる原因になります。

適切なタイミングとして、次の4つがあります

  • 食後
  • リラックスしているとき
  • そばに来たとき
  • 日常のルーティンに入れる


4つ全てを取り入れる必要はありません。
ひとつでもできる範囲で取り入れてみてください。


タイミング1【食後】


食後の猫さんは毛繕いタイムに入ることが多く、ブラッシングを受け入れてもらいやすくなります

猫さんはブラシを当てている箇所を自分で毛繕いしていると勘違いし、ブラッシングに対しての抵抗感が低くなるようです。


タイミング2【リラックスしているとき】

遊んだ後など、リラックスしているときもタイミングとしてよいでしょう。

満足して疲れているので、抵抗されにくいです。


タイミング3【猫がそばに来たとき】

猫さんが何かして欲しくて、あなたのそばに来たときも絶好のタイミングです。

して欲しいことをご褒美にすれば、ブラッシングに対して好印象を持ってもらいやすいです。


タイミング4【日常のルーティンに入れる】

日常のルーティンにブラッシングタイムを組み込むのも効果的です。

たとえば「就寝前の寛いているとき」など生活の流れの一環として組み込めば、猫さんも「いつものブラッシングをするのね」とブラッシングを受け入れやすくなります

飼い主さんの生活リズムも考えながら、無理ない範囲で組み込んでみるとよいでしょう。


お腹のブラッシングにおすすめのブラシ

ブラシもいろいろあって迷いますよね。
猫さんがお腹のブラッシングを嫌がるなら、初めのうちは特にできるだけ柔らかい素材のものを選ぶとよいでしょう。
ピンが硬いタイプや先端が鋭いブラシは、敏感なお腹には刺激が強すぎることがあります。

おすすめはラバータイプやシリコン素材などのブラシです。
力を入れなくても抜け毛を絡め取ることができ、皮膚への負担も少なくなります。

また手袋タイプのブラシもおすすめです。
撫でる感覚に近いため、ブラッシングが苦手な猫さんでも受け入れやすい傾向があります。

まずは安心して触らせてくれる道具を選ぶことが、長く続けるためのポイントです。

ブラッシングに猫さんがある程度慣れてきたら、スリッカーブラシなど被毛のもつれがより取りやすいブラシに変えるとよいでしょう。


お腹のブラッシング手順

お腹のブラッシングの方法として、猫さんの前足を持って2本立ちにさせる方法が効果的です。

この体勢はお腹が自然に伸びて毛並みが見やすくなり、ブラシを当てやすくなります。
また前足を持ち上げられることで自分から逃げにくくなるため、作業がしやすくなるというメリットもあります。

手順は以下の通りです。

  1. 猫さんの後ろ側から利き手の反対側の手で猫さんの両前足を優しく持つ
  2. ゆっくりと上に持ち上げて2本立体勢が安定したら、利き手でブラシをお腹の被毛の流れに沿って上から下へ優しく当てるちの体勢にする


初めのうちは欲張らず、常に猫さんの表情や体の緊張を確認しながら、短時間で終えてください。
できたらすぐに褒めたりオヤツをあげたりなどご褒美を与え好印象を持った状態で終了すれば、ブラッシングに対しての嫌悪感を解消できます。

立たせる際は無理に立たせようとせず、猫さんが嫌がったらすぐに解放しましょう。
前足に触れるのを嫌がる場合、次の「嫌がるときの対策」に慣れさせる手順を解説していますので、参考にしてください。


お腹のブラッシングを嫌がるときの対策

お腹のブラッシング
お腹のブラッシング方法を理解しても、そもそも猫さんが嫌がって手順通りに進められないこともあるでしょう。

ここではお腹のブラッシングをする際に、嫌がるときの慣れさせ方とポイントを解説します。


猫の前足を持てない場合の慣れさせ方

猫さんを2本立ちさせようとしても、前足を触らせてもらえなくてできない、ということもあると思います。
前足に触られることを嫌がる猫さんは多いです。

焦らず少しずつ行えば慣れてくれますので、手順に沿ってやってみてください。

【手順】

①:首回りなど猫さんが喜ぶ箇所を撫でてから、手を足先の方へ滑らせる
②:嫌がる素振りを見せたら、すぐに足から手を離す


まずは①②を繰り返して行い、足先に手が触れることに慣れさせます。
初めのうちは、肘のあたりで嫌がるかもしれません。
少しずつ段階を踏んで、足先の方へ手を近づけられるようにしましょう

足先に手が触れたままでも嫌がらなくなったら、次の手順に進んでください。

③:足先を軽く包むようにして握り、すぐ離す
④:握る時間を少しずつ延ばす


さらに③④を繰り返して行い、ある程度の時間猫さんの足先を握れるようになったら次の手順に進みましょう。

⑤:握られることに抵抗感がなくなったら、足先を持ち上げる


このとき「決めた言葉」を言いながら行うと効果的です。
私は我が家の猫の足先を触れるときは、「握手」と言いながら触れています。
決めた言葉を言うことで、猫さんが「次は足先に触るんだな」と予測が立つので、行動に対しての不安を和らげられますよ。

ポイントとして次のことに注意しながら行いましょう。

・いきなり猫さんの足先に触れようとしない
・嫌がる前に猫さんの足から手を離す
・触れているときは、「いいこだね」など優しい声掛けをする
・足先に触れるときに「決めた言葉」を言いながら行う


毎日少しずつ続けることで、前足を持たれることへの抵抗は軽減していきますよ。


猫が横になっているときの慣れさせ方

猫さんを2本立ちさせて行う方法は、大きな毛玉があったときなど場合によっては片手が塞がっているのでブラッシングがしにくいときがあります。

そのため横になっている状態でもブラッシングができるようにしておくと、さらにブラッシングがしやすくなるのでおすすめです。

そうはいっても横になっているときにブラッシングをしようとすると、逃げるからできないということもありますよね。

猫さんが横になっているときにブラッシングを嫌がるのは、いきなりお腹に触れることが原因です。
初めにもお話ししましたが、お腹は急所です。
どんなに大好きな飼い主さんでも、たいていの猫さんは突然急所のお腹を触られたら驚きます。

次の手順で、まずはお腹を触られることに慣れてもらいましょう。

①:横になっているときに背中や首周りなど喜ぶ場所を撫でる
②:①をしつつ、ときどきお腹に触れる


お腹に触れるときは、初めは一瞬だけにします。少しずつ触れる時間を延ばしていき、嫌がらずにお腹を撫でられるようになったらブラシを使います。

③ブラシの背(突起や歯がついていない方)でお腹を撫でるように当てる
④:③が問題なくできるようになったらブラッシングを短時間から行う


通常のブラシではなく手袋タイプの物でしたら、③の手順を省けて撫でつつブラッシングもできるのでおすすめです。

お腹はデリケートな部分です。
どんなに慣れさせても、いきなりお腹に触れることは控えてあげましょう


押さえつけない・追いかけない

嫌がる猫さんを押さえつけたり、逃げたあとに追いかけたりするのは避けましょう。

ご自身がされて嫌なことは、猫さんにもしないことです。
なぜブラッシングをする必要があるのか、猫さんは理解できません。
訳もわからず押さえつけられれば、恐怖体験となり「ブラッシング=怖い時間」と記憶してしまいます。

前足を持ってお腹のブラッシングをするときも、猫さんの前足を強く握らないように気をつけてください。

また強引に仰向けにしてお腹のブラッシングを行うことも控えましょう
猫さんと信頼関係が築けていれば問題ないですが、築けていない場合、暴れてトラウマになりかねません。

信頼関係を壊さないことを最優先に対応を考えましょう。
1回のケアで完璧な状態にするよりも、猫さんが安心して飼い主さんのそばに寄ってくる関係を守ることの方がはるかに重要です。
結果的にブラッシング好きにさせる近道になりますよ。


猫の気持ちに配慮しながら優しく行おう

お腹のブラッシングを嫌がるのは、本能・過去の経験・身体的な違和感など、猫さんなりのはっきりとした理由があります。
「なぜ嫌がるのか」を理解したうえでアプローチを変えることが、お互いにとってストレスの少ないケアへの第一歩となります。

ブラッシングに限らず、猫さんのケアは「きっちりきれいに」よりも「安心させながら少しずつ」が基本です。
ブラッシングは単なるお手入れではなく、大切なコミュニケーションの時間でもあります。
猫さんの表情や反応をよく見ながら、優しく向き合っていきましょう。


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中澤光恵
専門家

中澤光恵(ペットシッター)

ペットシッタージニー

30年の知識と経験をもとに、食生活や爪切りやブラッシングなどのケア、環境づくりなど、ペットの健康寿命プラス5歳を目指す講座やアドバイスを実施。飼い主に代わって世話をするペットシッターも行っています。

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