猫にブラッシングしないとどうなる?5つのリスクと基本的な方法❘嫌がる場合の対処法も解説

中澤光恵

中澤光恵

テーマ:ペットのお手入れ

猫ブラッシングしないとどうなる



猫さんはとても清潔好きなので、毎日入念に毛づくろいをしています。しかし、だからといって飼い主さんによるブラッシングが不要というわけではありません。

特に長毛種や高齢猫、換毛期には猫さん自身の力だけでは抜け毛の処理が追いつかず、健康トラブルや生活環境の弊害など様々な問題が起こることもあります。

この記事では、猫にブラッシングをしないことで起こりうる5つの主なリスクをわかりやすく解説します。また基本的なブラッシングの手順や頻度の目安、嫌がる猫さんへの対処法まで丁寧にご紹介します。

猫さんの健康と快適な暮らしを守るために、今日から始められるお手入れ習慣を一緒に見直してみましょう。




猫にブラッシングをしないことで起こる5つのリスク


猫拡声器で警告

「忙しくてつい後回しにしてしまう」「嫌がるのでやらないまま」などの理由からブラッシングをしないでいると、猫さんの健康や飼い主さんとの関係にさまざまな悪影響を及ぼすリスクがあります。

ここでは見逃しがちな5つのリスクについて、具体的に解説します。


リスク1. 毛球症(ヘアボール)による健康被害

猫さんは毛づくろいの際に舐めとった被毛を飲み込みます。少量でしたら便とともに排出されたりしますが、ブラッシングをしないことで抜け毛の量が多くなると、体内に毛が溜まり「毛球症(ヘアボール)」を引き起こします

症状としては嘔吐や食欲不振、便秘などがあり、重症化すると開腹手術が必要になるケースもあります。

特に長毛種や換毛期の猫さんは毛球症のリスクが高いですが、定期的なブラッシングを行い抜け毛の除去を手伝うことで予防が可能です。


リスク2. 皮膚トラブルと病気の発見遅れ

毛玉ができると皮膚が引きつれてしまい、痛みを感じたり炎症の原因になったりします。

また、被毛のもつれがノミやダニの温床となり、ノミやダニによって皮膚炎やアレルギー反応を引き起こしやすくなります。猫さんが激しく掻きむしることで、皮膚炎を悪化させるリスクも高まるでしょう。

さらにブラッシングは、猫さんの体を観察する機会でもあります。普段から触れることで、しこりや傷など、わずかな皮膚や体の変化にもいち早く気づいてあげられますよ。


リスク3. 夏場の熱中症のリスク増加

猫さんは汗腺が少なく、人間のように汗をかいて体温を下げることができないため体温調節が苦手です。換毛期に抜けるはずだったアンダーコートが夏場になっても残ったままだと、通気性が悪くなり体内に熱がこもることで熱中症を引き起こすリスクが高まります。

特に長毛種やブリティッシュショートヘアやスコティッシュフォールドなど、ダブルコート(被毛が二重構造)の短毛種の猫さんは要注意です。こまめなブラッシングにより、余分な被毛を取り除くことで通気性を確保し、体温の調整を助けることができます。

また高齢の猫さんは関節炎によって、全身の毛づくろいが自分自身でできない可能性があります。ブラッシングをしないことでフェルト状の毛玉が全身を覆い、熱中症になりやすくなるでしょう。

さらにエアコンの使用により室温の管理が行き届くことで、換毛期のサイクルが狂うことがあります。そのため夏前にはしっかりとブラッシングを行い、不要なアンダーコートを取り除く手伝いをしてあげる必要があります。猫さんを熱中症からブラッシングで守ってあげましょう。


リスク4. 抜け毛の散乱

猫さんは年間を通じて、被毛が抜け替わっています。特に春と秋の換毛期には、驚くほど大量の抜け毛が発生します。

これらの抜け毛がブラッシングで取り除かれないと、部屋中のあらゆる場所に散乱します。ソファやベッド、カーペットはもちろん衣類にも付着し、掃除の手間が増えることになります。

さらに猫さんの被毛は、アレルギーの原因にもなりやすいです。家族にアレルギー体質の人がいる場合には、健康への影響も無視できません。

ブラッシングによって抜け毛を事前に取り除くことで、部屋の清潔さを保ちやすくなり掃除の負担も軽減できるでしょう。


リスク5. 信頼関係の構築チャンスの喪失

ブラッシングは猫さんとの大切なスキンシップの時間でもあります。猫さんにとって心地よいブラッシングは、母猫に毛づくろいをしてもらっているような安心感を与え、飼い主さんへの愛着と信頼を深められます

逆にブラッシングの機会がないとスキンシップの時間が減り、猫さんとの関係性が希薄になってしまう可能性があるでしょう。体を触られることに慣れていない猫さんは、動物病院での診察時に適切な診察ができないケースもあります。

さらに将来的に、高齢になって介護が必要になった際にも問題が生じます。投薬や傷の手当て、体を拭くなどのケアが必要になっても、体を触られることに慣れていない猫さんは抵抗し、適切なケアが困難になりやすいです。飼い主さんも猫さんも双方にストレスがかかってしまいます。

ブラッシングを習慣化することは、猫さんの健康を守るだけでなく、絆を育むためにも重要です。


基本的なブラッシングの仕方


猫頭をブラッシング

猫さんのためにもブラッシングをしようと思い立ったものの、どのように行ったらいいのか迷う方もいるのではないでしょうか。

ここでは基本的なブラッシングの手順と、時間の目安について解説します。


基本的なブラッシング手順

いきなりブラッシングを行おうとすると、猫さんが警戒することがあります。例えば毛玉があるところをブラッシングしてしまい、引っ張って痛い思いをさせる可能性もあります。ブラッシング嫌いの原因になるので、手順にそって優しく行ってくださいね。


①手で猫の全身を軽く撫でて、被毛のもつれや皮膚の異常がないか、猫の機嫌はよいか確認する
被毛のもつれを発見すると、すぐにブラッシングをして取ってしまいたくなりますよね。しかし、もつれを前触れなく取ろうとすると、痛い思いをしてブラッシングに対して嫌な印象を与えてしまいます。ブラッシング嫌いの原因になりますので、まずは確認することだけにとどめてください。

また皮膚に異常があったときには自己判断しないで、動物病院で診てもらいましょう。ブラッシングを行うことで悪化させる可能性があります。

猫さんの機嫌を見極めることも重要です。イライラしているときに行えば、ブラッシング嫌いになりかねませんし、猫パンチをされてあなたがケガをする可能性もあります。

食後のまったりしている時間や遊んだ後の落ち着いた時間など、猫さんが十分にリラックスしているときや、猫さんが何かしてほしくて傍にきたときが最適です。機嫌が悪いときは無理してブラッシングは行わずに、時間をおいて行いましょう。


②猫が喜ぶ部分からブラッシングを行う
大抵の猫さんは首周りや頬など、自分では毛づくろいできない箇所をブラッシングすると喜びます。猫さんが気持ちよさそうにしていたら、徐々にブラッシングする範囲を広げましょう。


猫が喜ぶ部位



ブラッシングは被毛の流れに沿って行うのが基本です。首周りから両肩や背中、そして腰や尻尾へと進めていきます。

尻尾やお尻周辺、お腹、足先は猫さんが嫌がる傾向があります。
少しでも嫌がるそぶりを見せたら中断してください。無理に続けるとブラッシングを嫌がるようになってしまいます。嫌がる部分は時間をかけて慣れさせましょう。


さらに詳しくブラッシングの手順について知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
猫をブラッシング好きにさせる5つのコツ


ブラッシング時間の目安

猫さんのブラッシングは、1回あたり短毛種で3〜4分程度、長毛種で5〜6分程度が理想です。あまり長時間行うと猫さんが飽きたりストレスを感じたりする原因になります。

特にブラッシングに慣れていない猫さんや過去に嫌な経験をした猫さんは、初めは1〜2分程度の短時間で切り上げ、徐々に時間を伸ばしていくとよいでしょう。

短時間でも毎日継続する方が、長時間を週1回行うよりも効果的です。毎日の習慣にすることで猫さんもブラッシングの時間を予測できるようになり、リラックスして受け入れられるようになりますよ。


猫がブラッシングを嫌がる場合の対処法


猫嫌がる

健康のために猫さんにブラッシングをしようとしても、逃げ回ったり、噛んだり引っ掻いたりして抵抗されると、飼い主さんも猫さんもストレスになってしまいます。

猫さんがブラッシングを嫌がる理由は必ずあり、その原因を理解して適切に対処すれば多くの場合は改善できます

ここでは猫がブラッシングを嫌がる主な原因と、段階的に慣れさせる方法について紹介します。


ブラッシングを嫌がる原因

猫さんがブラッシングを嫌がる理由はさまざまですが、以下に挙げたものが主な原因として考えられます。

  • 過去のトラウマ
  • ブラシが合っていない
  • 力加減が強すぎる
  • 静電気による不快感


以前に痛い思いをした経験や無理やり押さえつけられた経験などがある場合、ブラシを見ただけで逃げ出すことがあります。トラウマの解消は猫さんのペースに合わせて、ゆっくり慣れさせることが重要です。

使用しているブラシが、猫さんに合っていないときも嫌がる原因となります。硬すぎるブラシや目が細かすぎるブラシは、猫さんの皮膚を刺激して痛みや不快感を与えることがあります。


どのブラシを使っていいのか迷う方は、以下のコラムをご覧ください。
猫のブラッシングに適したおすすめブラシは?長毛・短毛別に選び


また飼い主さんが無意識に力を入れすぎて行うことで、猫さんにとっては「痛い経験」として記憶に残ってしまいます。次回以降のブラッシングを拒否する原因となるので、ブラッシングをする際は撫でるように優しく行ってください。

さらに乾燥する季節やカーペットの上でのブラッシングでは、静電気が発生しやすく不快となって嫌がることもあります。ブラッシングスプレーなどを併用するとよいですね。


ブラッシングに慣れさせる方法

子猫のうちからブラッシングに慣れさせるのが一番よいのですが、成猫でも焦らず段階を踏めば改善できます。

慣れさせる手順は、以下のとおりです。

  1. ブラシ自体に慣れさせる
  2. ブラシのピンや毛が植えていない側を猫の体に当てて、さらに慣れさせる
  3. 実際にブラシのピンや毛が植えている側を猫の体に当てて、ブラッシングに慣れさせる


まずは猫さんにブラシそのものに慣れさせることから始めましょう。ブラシを床に置き、自由に嗅いだり触れたりさせて、ブラシへの警戒心を解いていきます。ブラシを見せながら大好きなオヤツをあげて、ブラシに対して好印象を持たせることも効果的です。

ブラシに抵抗感が薄れてきたら、ブラシのピンや毛が植えていない側を猫さんが好きな部位(首回りや顎の下など)に当てて優しく撫でるように動かします。ブラシが体に当たることに慣れたら、背中などブラシを当てる範囲を広げていき、ブラッシングへの不快感を取り除いてあげましょう。

ブラシが体に触れることに猫さんが慣れてきたら、実際にブラッシングをしていきます
顎の下や頬、頭の後ろなど、普段撫でて喜ぶ部位を優しくブラッシングしていきましょう。最初は本当に軽く、1〜2回撫でる程度で十分です。

ポイントは猫さんが嫌がる素振りを見せる前にやめることです。気持ちいいと感じている時にやめることで、ブラッシングに対して嫌悪感を拭えますよ。

ご褒美を与えることも非常に有効です。ブラッシング後にお気に入りのおやつをあげたり、たっぷり褒めたりすることで、猫さんは「ブラッシング=良いことが起こる」と学習してくれます。

ブラッシングの時間は、短時間から始めることも忘れないでください。最初は10秒程度でも構いません。徐々に時間を延ばしていき、最終的に3〜4分のブラッシングができるようになることを目指しましょう。


愛猫の健康のために定期的なブラッシングを行おう

猫さんにとってブラッシングは、単に見た目を整えることだけではなく、健康を守るための大切なケアです。

ブラッシングを怠ることで毛球症や皮膚トラブル、熱中症など、命に関わる深刻なリスクが潜んでいます。また、抜け毛の散乱や飼い主さんとのスキンシップ機会の減少など、生活の質にも影響を及ぼすことにもなるでしょう。

一方で正しくブラッシングを行えば、猫さんの健康チェックや病気の早期発見、信頼関係の構築、部屋の清潔維持など、多くのメリットがあります。ブラッシングは猫さんとの暮らしをより良くするための“習慣”として、ぜひ取り入れたいケアのひとつです。

ブラッシングを猫さんが嫌がる場合、「猫さんに合ったやり方」で「無理なく続ける」ことです。1回の時間は短くても構いません。猫さんの機嫌が良いときに、嫌がらない部位から少しずつ始めるだけでも十分です。慣れるまではおやつなどのご褒美を活用し、楽しみながら少しずつステップアップしていきましょう。

やめるタイミングは重要ですので気をつけてくださいね。気持ちよさそうだからと、つい猫さんが嫌がるまでブラッシングをしてしまいがちです。嫌がるそぶりを見せてからやめるのでは、せっかくブラッシングに対してよい印象を持ち始めたのに、嫌悪感を持つようになってしまいます。猫さんが「もうちょっとやって!」と好印象をもっているときにやめるのが、やめ時ですよ。

ゆっくり猫さんのペースで行い、ブラッシングの時間を猫さんとの楽しい交流の時間にしてくださいね。


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専門家

中澤光恵(ペットシッター)

ペットシッタージニー

30年の知識と経験をもとに、食生活や爪切りやブラッシングなどのケア、環境づくりなど、ペットの健康寿命プラス5歳を目指す講座やアドバイスを実施。飼い主に代わって世話をするペットシッターも行っています。

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