猫のブラッシングに適したおすすめブラシは?長毛・短毛別に選び方やコツを解説

「猫のブラッシングをしていると、いつまで経っても毛が取れ続けて終わりが見えない…。」と思うときがありますよね。
特に換毛期ではブラッシングしてもキリがなく、お部屋中に抜け毛が舞い散って掃除も大変です。
私はトリマーとして10年ほど携わり、現在はペットシッターとして数多くの猫さんのお世話をしてきました。
その経験と今我が家にいるノルウェージャンフォレストキャットとの生活をもとに、ブラッシングのやめどきや換毛期におすすめのブラシ、抜け毛対策などプロの視点から徹底解説します。
猫さんも飼い主さんもストレスなく、快適に過ごせる方法をお伝えします。ぜひ最後までお読みください。
猫のブラッシングのやめどき3つのポイント

スリッカーブラシなどで猫さんにブラッシングをすると、何度やってもブラシにごっそりと付く抜け毛を見て「いつまでやったらいいの?」と疑問に思う方も多いことでしょう。
ブラッシングのやめどきを判断するには、以下の3つのポイントをおさえるとよいですよ。
- 時間を決める
- 抜け毛の量で判断する
- 猫の様子から判断する
いずれか1つでも当てはまったら、ブラッシングをやめましょう。
猫さんのブラッシングへのストレスも減らせますよ。
ブラッシング時間を決める
ブラッシングがキリがないと感じるときは、大まかにブラッシング時間を決めてしまいましょう。
長時間行うことで、猫さんをブラッシング嫌いにしてしまうかもしれませんし、飼い主さんの時間や精神的な負担になりかねません。
特に換毛期はキリがないほど、ブラッシングを繰り返し行っても抜けるものです。
「抜け毛を短期間で完璧に取ろうとしない」という考えも必要です。
毎日少しずつブラッシングすることで、お部屋に舞う抜け毛やベッドなどに付く抜け毛の量を減らせます。
焦らず適度なところで切り上げる勇気を持ちましょう。
ブラッシング時間と頻度の目安
| 通常 | 換毛期 | |
|---|---|---|
| 短毛種 | 週に2~3回、3~4分ほど | 毎日、3~4分ほど |
| 長毛種 | 毎日、5~6分ほど | 毎日、8~10分ほど |
これらはあくまでも目安です。
実際の抜け毛の量や猫さんの体調、生活環境(室温など)によっても変わってきますので、猫さんの様子を見ながら調整してください。
またブラッシング好きな猫さんだと、「もっとやって」とねだってきて、やめられないということもあるかと思います。
そんなときも時間を決めて、時間になったらブラッシングを終えるとよいでしょう。
猫さんも理解してくれやすく、次のブラッシング時間を楽しみにしてくれますよ。
猫の様子から判断する
ブラッシングのやめどきを判断する上で、猫さんの様子を見ることも重要です。
嫌がっているのを無視して行い続ければ、ブラッシングを「嫌なこと」と理解してしまいます。
さらに猫さんとの信頼関係が崩れるかもしれません。
嫌がっているサインには、以下のようなものがあります。
- 尾を床に打ちつけるように振る
- ブラッシングしている箇所を睨む
- 耳を後ろに倒す
これらのサインが見られたら、たとえ抜け毛が取れる状況でも即座にブラッシングをやめてください。
また決めたブラッシング時間になる前に猫さんが嫌がるサインを見せたときは、時間よりも猫さんの気持ちを優先してあげましょう。
抜け毛の量で判断する
猫さんがブラッシングが大好きで、いつまでもブラッシングさせてくれるような子の場合、ブラシに付く抜け毛の量で判断するとよいでしょう。
ある程度ブラッシングをしていけば、だんだんとブラシに付く抜け毛の量は減ってくるものです。
被毛にブラシをとおし、ブラシに付く抜け毛の量が「このぐらいになったらやめよう」と決めてしまうことをおすすめします。
特に換毛期以外の時期は、ある程度抜け毛が取れなくなったら切り上げるのが賢明ですよ。
抜け毛が酷いときの効果的なブラッシングのコツ

換毛期になると、どれだけブラッシングしても次々と被毛が抜けて、本当にキリがないと感じますよね。
ブラッシングのコツを知っておくことで、ブラッシングの効率は大きく変わります。
トリマーが実践している方法は、実はとてもシンプルです。
ここでは換毛期の大量の抜け毛を効率よく除去し、猫さんへのストレスも最小限に抑えられる実践的なブラッシングのコツをご紹介します。
ブラシを使い分ける
換毛期のブラッシングで最も重要なのが、ブラシの使い分けです。
トリマーは段階によってブラシを使い分けています。
一つのブラシだけで全てを行おうとすると、時間がかかり猫さんにストレスを与えるだけでなく、抜け毛の取り残しも多くなってしまいます。
次の手順でブラッシングを行うとよいですよ。
| 使用するブラシ | 目的 | |
|---|---|---|
| 手順1 | スリッカーブラシ・アンダーコート除去ブラシ | アンダーコート(下毛)を取り除く |
| 手順2 | コーム・ピンブラシ(長毛種) | 取り切れなかったアンダーコートを取りつつ整える |
まず初めにスリッカーブラシやアンダーコート除去ブラシを使って、しっかりとアンダーコートを取り除きましょう。
これらのブラシはアンダーコート(下毛)を効率的に取り除ける構造になっています。
ただし注意点として、決して力を入れすぎないようにしてくださいね。
「しっかり取ろう」とするあまり力を入れすぎると、猫さんが痛がったり、皮膚を傷めたりするので気をつけましょう。
被毛の流れに沿って、軽く表面を撫でるようにブラシを滑らせるイメージで行います。
首元から背中、脇腹、お尻へと、頭からお尻に向かって順番に進めましょう。
ある程度抜け毛が取れたら、コームを使って仕上げていきます。
被毛全体を整えながら丁寧にブラッシングすることで、毛並みが美しく揃いツヤも出てきます。
コームでとかしたときに、スムーズに通ればブラッシング完了のサインです。
長毛種の場合コームの後にピンブラシを使うと、さらにふわっとした仕上がりになりますよ。
ご紹介した2つの手順を踏めば換毛期でも効率よくケアができて、お部屋に散らばる被毛も大幅に減らせるでしょう。
静電気対策
乾燥する時期は、静電気が厄介ですよね。
静電気が発生することで抜け毛が衣類などに付きやすく、煩わしく感じるのではないでしょうか。
また静電気の「パチッ」という感覚を猫さんが不快に感じ、ブラッシング嫌いにしてしまうこともあります。
静電気を防ぐには、お部屋の湿度を保つことが基本です。
加湿器を使って、湿度を50~60%に維持するとよいでしょう。
またブラッシングスプレーを活用するのもおすすめです。
被毛に軽く吹きかけることで、静電気を防止しながら被毛の滑りもよくしてくれます。
スプレーを猫さんに直接かける場合は、体から20㎝ほど離して、全身にかかるように吹きかけます。
片方の手を猫さんの顔に当てて、顔や鼻にかからないようにしてあげてくださいね。
猫さんは濡れることを嫌がる傾向があるので、スプレーを嫌がる場合もあるでしょう。
嫌がるときは手にスプレーを吹きかけて猫さんを撫でて付けたり、ラバーブラシにスプレーしてブラッシングをはじめに行ったりすると、スプレーによる抵抗を減らせます。
スリッカーブラシやコームにブラッシングスプレーをかけると、錆びるのでおすすめしません。
掃除を楽にする部屋の抜け毛対策と便利グッズ

猫さんの抜け毛はブラッシングを頑張っていても、気づけば床やソファ、洋服にふわっと付いてしまうものです。
特に換毛期は舞う被毛が増え、掃除の頻度も自然と上がりますよね。
しかし、部屋の環境を整えたり、便利なグッズを活用することで、掃除の負担を大幅に減らせます。
部屋全体の毛を減らすには空気清浄機を使うことで、空気中に浮遊している細かい被毛を取り除いてくれます。
乾燥する季節では加湿器で湿度を50〜60%に保つと、被毛の飛散を減らせますし、抜け毛が舞いにくく掃除もしやすくなります。
ソファーやカーペットに付いた抜け毛は、ゴム手袋やペット用抜け毛掃除ブラシ、エチケットブラシを使うとよいでしょう。
ゴム手袋やブラシで表面を軽くこすると、毛がまとまり取り除きやすくなります。
粘着テープも便利ですが、一度転がしただけで被毛がびっしりと付き、何度もはがして使う必要があり経済的におすすめしません。
初めから粘着テープは使わずに、最後の仕上げに使うとよいでしょう。
キリがない猫の抜け毛も対策を工夫し前向きに生活を楽しもう
換毛期はどうしても抜け毛が増え、「さっき掃除したのに抜け毛が落ちてる」「ブラッシングがキリがない」と悩んでしまうものです。
しかし抜け毛の悩みは、猫さんがいるからこそ起こることですよね。
大切なのは猫さんにも飼い主さんにも負担の少ない方法で、日々のお手入れを無理なく続けていくことです。
ブラシを使い分けたり、静電気対策を取り入れたり、短時間のこまめなブラッシングに切り替えることで、抜け毛の量は確実に減っていきます。
また、便利グッズを活用することで掃除の手間も軽減できて、「抜け毛=ストレス」ではなく「上手に付き合うもの」へと印象が変わっていきますよ。
シッティングにお伺いすると抜け毛を丸めてボールにして、おもちゃにされているお宅もいらっしゃいます。
「今回はこんなにボールができた!」と、一緒にいられる今を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ブラッシングは猫さんとの大切なコミュニケーション時間でもあります。
優しく撫でながら行えば、猫さんは安心感を得られ、飼い主さんとの絆も自然と深まっていくでしょう。



