猫のブラッシングがキリがない!やめどき3つのポイントや頻度から抜け毛対策まで徹底解説

猫さんにブラッシングをしようとすると、「ブラシを手にした瞬間に、逃げたり隠れたりするのでできない……」とお悩みの飼い主さんも多いです。
猫さんをブラッシング好きにさせるには、猫さんの気持ちに寄り添った工夫が欠かせません。
無理に行おうとすれば猫さんにストレスを与え、さらに嫌がるようになるという悪循環に陥りやすくなります。
この記事を読めば猫さんをブラッシング好きにさせるための具体的な5つのコツや、ブラッシング嫌いにさせないためのポイントが理解できますよ。
またブラシを見ただけで逃げる猫さんに向けて、ブラシに慣れさせるステップもご紹介しています。
元トリマーであり、ペットシッターとして数多くの猫さんと接してきた筆者が徹底的に解説します。
短時間から始める方法、ご褒美の効果的な使い方、最適なタイミングの見極め方など、今日から実践できるテクニックが満載です。
この記事を参考に、猫さんとのブラッシングタイムを楽しいコミュニケーションの時間に変えていきましょう。
猫をブラッシング好きにさせる5つのコツ

ブラッシングを嫌がる猫さんでも、正しいアプローチと工夫次第でブラッシング好きにさせることは可能です。
大切なのは猫さんの気持ちを第一に考え、判断していくことです。
今までのトリマー経験とシッター経験から実際に効果のあった、5つのコツをご紹介します。
- 無理強いしないこと
- 最初は短時間で終わらせる
- オヤツでポジティブ変換する
- 優しい声掛けとスキンシップを行う
- 行うタイミングを見極める
無理強いしないこと
ブラッシングに限らず猫さんとの信頼関係を築く上で、最も大切なことが「無理強いしない」ことです。
やめ時を見極めるには、以下の猫さんが嫌がっている小さなサインを見逃さないようにしましょう。
- ブラッシングしている場所を睨む
- 尻尾を大きく床に打ち付けるように振る
- 耳を横にふせる
「唸る」「猫パンチする」「逃げる」など、明らかに嫌がっているサインが出てからでは、やめるタイミングとしては遅いです。
「ブラッシング=嫌なこと」と猫さんの記憶に残ってしまうので、やめるタイミングの見極めは気をつけてくださいね。
嫌がるからといって、押さえつけて行うのは厳禁です。
「嫌がる」⇒「押さえつける」⇒「さらに嫌がって暴れる」という悪循環に陥り、猫さんとの信頼関係も崩れてしまうでしょう。
最初は短時間で終わらせる
ブラッシングを始めると完璧にやろうとして長時間行い、結果ブラッシング嫌いにさせてしまう傾向があります。
被毛のもつれを見つけると、つい取れるまでやってしまいたいと思ってしまいますよね。
その気持ちは一旦わきに置き、初めのうちはブラッシングに慣れさせることを優先して、短時間で終わらせましょう。
「無理強いしないこと」で解説しました小さなサインを、あなたの猫さんはどのくらいで示すのか時間を計っておくとよいです。
何度か行っていくうちに、「そろそろ嫌がるな」とタイミングがわかってきますよ。
猫さんが小さなサインを出す前にブラッシングをやめられるようになったら、ブラッシング好きにさせることにほぼ成功したと言えるでしょう。
「気持ちいい!もうちょっとやって」と、猫さんが思うタイミングで終わらせることで、ブラッシングに対して好印象を持ってくれるようになりますよ。
オヤツでポジティブ変換する
ブラッシングに対して好印象を持ってもらうために、オヤツとセットで行うこともおすすめします。
ポジティブな印象と結びつけることで、次第にブラシを見ると猫さんは「あの美味しいものがもらえる」と期待するようになります。
コツはブラッシング中にも数回に分けて、オヤツを与えることです。
例えば以下のタイミングであげるとよいでしょう。
- 頭をブラッシングを終えたとき
- 背中のブラッシングを終えたたとき
- 2~3回ブラシをかけたとき
段階的に報酬を与えることで、猫さんのモチベーションを維持できます。
特に警戒心が強い猫さんの場合、最初はブラシを見せるだけでオヤツを与え、次にブラシを猫さんに近づけたら与えるといった感じで、徐々にステップアップするとよいでしょう。
オヤツの選び方も重要なポイントです。
普段あまり与えない「ブラッシング専用の特別なオヤツ」を用意すると効果が高まります。
複数回あげることを想定して、オヤツは細かく分けられるものがよいですね。
例えば以下のようなオヤツをおすすめします。
- 千切って与えらえるジャーキー
- 一粒ずつ与えられる子袋に入っているオヤツ用のドライフード
与えすぎるとカロリーオーバーになり、別の問題が発生しますので気をつけてくださいね。
オヤツを活用することで、猫さんとの信頼関係を深めながら楽しくブラッシング習慣を定着させられますよ。
優しい声掛けとスキンシップを行う
ブラッシング中の声かけは、猫さんを安心させるのに非常に効果的です。
「いい子だね」「気持ちいいね」といった穏やかで優しいトーンで話しかけることで、猫さんは飼い主さんの愛情を感じ、リラックスした状態になりやすいです。
猫さんは、人間の言葉の意味は理解できません。
しかし声のトーンや雰囲気から感情を読み取る能力に優れているため、声掛けは落ち着いた声色で行うことが重要です。
ブラッシングの前後や最中に、猫さんが好む部位を手で優しく撫でてスキンシップの時間を設けましょう。
多くの猫さんは頬や顎の下、耳の後ろを撫でられることを好みます。
心地よいスキンシップが「ブラッシングは気持ちよいもの」と認識し、猫さんは警戒心を解きブラシを受け入れやすくなりますよ。
手の温もりとブラシの感触を同時に与えることで、ブラッシングを愛情表現の一部として認識してくれるでしょう。
行うタイミングを見極める
ブラッシング好きにさせる鍵は、猫さんがリラックスしているときを狙うことです。
最適なタイミングとしては、以下の状況のときがよいでしょう。
- 食後の満足している時
- 日向ぼっこ中
- 遊び疲れてゆったりしている時
特に猫さんが自分でグルーミングを始めたときは、「体を清潔にしたい」という気持ちになっているため、ブラッシングを受け入れやすいのでおすすめです。
逆に避けるべきは、以下の状態のときです。
- 空腹時
- 遊びたい欲求が強い時
- 眠りから覚めた直後
- 興奮状態の時(来客中や瞳孔が大きく開いている時)
- 警戒している時(耳がピンと立っている、ヒゲを前方に向けている)
猫さんの機嫌を見極めるには、しっぽの動きや耳の向き、鳴き声のトーンなどボディランゲージをよく観察することが大切です。
またブラッシングは、毎日同じ時間帯に行いましょう。
例えば夕食後の決まった時間にすると、猫も生活リズムの一部として受け入れやすくなりますよ。
ただし、その日の体調や気分に応じて柔軟に対応することも忘れないでくださいね。
場所を固定することも効果的です。
猫さんは縄張り意識が強く、決まった場所での行動に安心感を覚えます。
お気に入りの窓辺や飼い主さんのベッドの上など、猫さんがリラックスできる静かな環境を選びましょう。
人の出入りが多い場所や、爪切りなど嫌がるケアと同じ場所は避けてくださいね。
ブラッシング専用のマットを用意し、毎回それを敷いてから始めるのもおすすめです。
視覚的・触覚的な合図で「ブラッシングの時間だ」と理解し、猫さんは心の準備ができるようになります。
時間と場所を固定することで習慣化され、猫さん自らその場所に向かい、ねだるようになることもありますよ。
猫をブラッシング嫌いにさせない3つのポイント

猫さんと暮らす上で、欠かせないお手入れのひとつであるブラッシング。
最初のアプローチを間違えると、猫さんはブラッシングを「嫌なこと」と認識してしまいます。
そうなるとブラッシングをなかなか行わせてもらえなくなり、毛玉ができたり皮膚トラブルが起こったりするかもしれません。
猫がブラッシングを嫌がらず、「好き」と思ってもらうには3つのポイントがあります。
ポイントを押さえて、ブラッシング好きになってもらいましょう。
- 敏感な体の部位に注意する
- 痛みや恐怖を与えないこと
- 猫に合ったブラシを選ぶ
敏感な体の部位に注意する
まず知っておきたいことが、猫さんには「触れられたくない敏感な部位」があるということです。
注意が必要な部位は、尻尾の付け根やお尻周辺、足先、お腹などです。
ブラッシングをするときは、背中や首まわりなど、比較的触られることに慣れている部位から始め、徐々に慣らしていくとよいでしょう。
特に尻尾の付け根は神経が集中している部位で、触れられることを嫌がる猫さんと、逆に喜ぶ猫さんがいます。
あなたの猫さんはどちらなのか、見極めましょう。
尻尾の付け根に触れてみて、振り向いて触れた部位を睨んできたり、尻尾を大きくパタパタを振ったりする場合は、嫌がっているサインですので注意してくださいね。
痛みや恐怖を与えないこと
猫さんがブラッシング嫌いになる最大の原因のひとつが、「痛い思いをした体験」です。
初めてのブラッシングで、絡まった毛玉を無理にほどこうとして痛がらせてしまったり、押さえつけて怖がらせてしまったりすると、猫さんの脳に「ブラッシング=嫌なこと」と記憶に刻み込まれてしまいます。
特に気をつけたいのが、毛玉への対処です。
無理に引っ張ると皮膚が引っ張られて激しい痛みを伴います。
毛玉は手やハサミで、少しずつほぐしながら慎重に取り除きましょう。
また酷い毛玉の場合は、一回ですべてを取り除こうとはしないで、日をまたいで行う余裕を持ってくださいね。
「もう少しだけ」「もうちょっとで取れそうだから」という人間側の都合が、嫌な記憶として猫さんに植え付けてしまいます。
嫌がるそぶりを見せたら、すぐに解放してあげてください。無理に押さえつけて続けることは絶対に避けましょう。
猫に合ったブラシを選ぶ
どんなに優しくブラッシングしても、猫さんに合わないブラシを使っていると、痛みや不快感を感じブラッシング嫌いにさせてしまうことがあります。
ブラシは猫の毛質を考慮して選んでくださいね。
短毛の猫さんには柔らかいラバーブラシやグローブ型のブラシが適しており、長毛の猫さんには内部の被毛に届くようなスリッカーブラシやピンブラシがよいですね。
スリッカーブラシにはソフトタイプとハードタイプがあります。
ハードタイプはブラッシングに慣れていない飼い主さんだと、猫さんの皮膚を傷つける可能性があるのでソフトタイプをおすすめします。
またピンブラシやコームを使うときは、初めに毛先をブラッシングやコーミングしていき、徐々に被毛の付け根までしっかりととかしてくださいね。
最初から被毛の奥までブラシやコームを入れると、もつれがあったときに引っ掛かり、痛い思いをさせてしまいますので注意しましょう。
ブラシに慣れさせる方法

ブラシを見ただけで逃げられてしまうと、ブラッシングを行う以前の問題で途方に暮れてしまいますよね。
焦らず段階的にブラシに慣れてもらうことが大切です。
いきなりブラッシングを始めるのではなく、まずは「ブラシは怖くないもの」「痛いことではない」と認識してもらうことから始めましょう。
次の3つのステップを踏んで、ブラシに慣れさせてくださいね。
- ブラシを日常になじませる
- ブラシに対して警戒心を解く
- ブラシが体に触れることに慣れさせる
ブラシを日常になじませる
最初のステップとしては、ブラシを猫さんの生活空間に自然に置いておくことから始めます。
猫さんがよく通る場所や、お気に入りのクッションの近くなど、日常的に猫さんが目にする場所に数日間置いておきましょう。
このとき無理に近づけたり、追いかけたりしないでくださいね。
猫さんが自分のペースでブラシのニオイを嗅いだり、観察したりする時間を与えてあげましょう。
ブラシに対して警戒心を解く
次のステップではブラシを手に持ちながら、猫さんと遊んだりテレビを見たりして、さらにブラシに慣れてもらいます。
このときも、まだブラッシングは行いません。
ブラシを持っている手で猫さんを優しく撫でて、「ブラシを持っている=嫌なことをされない」という認識を持ってもらいます。
猫さんが近寄ってきたら、おやつを与えてブラシへの良いイメージを強化しましょう。
ブラシが体に触れることに慣れさせる
ブラシに対して警戒心が解けてきたら、ブラシの背(毛やピンがない面)で猫さんの体を軽く撫でてみましょう。
まだ実際にブラッシングするのではなく、ただブラシが体に触れることに慣れさせます。
猫さんが嫌がらなければ、ブラシ面を使って1〜2回だけ優しく被毛の表面を撫でてみてください。
このとき必ず猫が好む部位(頭や背中)から始め、数秒で終わらせることがポイントです。
猫さんがブラシを見ても逃げなくなり、むしろ近寄ってくるようになれば、慣らしは成功です。
この過程には数週間かかることもありますが、ブラシに対して猫さんが好印象を持てれば、その後のブラッシング習慣が楽になります。
毎回ご褒美を与え、決して無理強いせず、猫さんのペースを最優先にすることで、ブラシへの恐怖心は確実に消せますよ。
じっくりと時間をかけて猫をブラッシング好きにさせよう
猫さんをブラッシング好きにさせる最も大切なことは、「猫さんの気持ちに寄り添うこと」です。
無理にやろうとせず、猫さんが少しずつブラッシングを受け入れてくれるよう工夫を重ねていきましょう。
毎日少しずつでも行うことで、ブラッシングはただのケアから「楽しいふれあいの時間」へと変わっていきますよ。



