猫のダイエットはカロリー計算から❘成功の秘訣と管理方法を解説

中澤光恵

中澤光恵

テーマ:ペットのダイエット

寛ぐふくよかな猫

猫のダイエットをしようと思い立ったけど、「猫のカロリーって、どうやって計算するの?」「いちいちカロリー計算するのが面倒……」と思われる飼い主さんも多いかもしれませんね。

猫さんのダイエットを成功させるためには、しっかりとカロリー計算をして、それを元に食事量を決めて与えることが重要です。

「そうはいっても計算が苦手だし……」という飼い主さんも、安心してください。今は数字を入れるだけでカロリー計算をしてくれるアプリもあります。

この記事では猫の適正カロリーの計算方法から、実際のフード量への換算方法、さらにはダイエットのコツやカロリー計算してくれるアプリの紹介まで、無理なくダイエットを継続させるための情報をお伝えしています。
一緒に猫さんの健康的なダイエットを成功させましょう!


ダイエット中の猫のカロリーと食事量の計算方法

計算
猫のダイエットを成功させるには食事の量をしっかり管理することが、とても重要です。
しかし猫さんに適正なカロリーと与える食事量の計算方法がわかっていないと、ダイエットのスタートラインにも立てませんよね。

計算は一見複雑に思えるかもしれませんが、手順さえ覚えてしまえば誰でも簡単に適正カロリーと食事量を導き出すことができますよ。

猫の適正カロリーと食事量の計算の手順は、以下になります。

  1. 休息時エネルギー要求量(RER)を計算する
  2. RERを元に、1日あたりのエネルギー要求量(DER)を計算する
  3. DERを元に、1日の食事量を計算する


手順ごとに解説しますね。


休息時エネルギー要求量(RER)を計算する

まずは休息時エネルギー要求量(RER)を割り出します。

計算式は次のとおりです。
RER=70×体重⁰·⁷⁵

「0.75乗って、どうやって計算すればいいの?」と思われるのではないでしょうか。
計算機があれば、簡単に計算できます。
例を参考に、あなたの猫さんに当てはめて計算してみてくださいね。


計算機を使用してのRERの計算方法

①体重を3乗する
例)5㎏の猫さんの場合、5×5×5=125

②1で出た数値に「√(ルート)」を2回押す
例)125に√(ルート)を2回押すと、3.343…

③2で出た数値に70をかける
例)3.343×70=234.01



③の例で割り出した「234」が、5kgの猫さんの休息時のエネルギー要求量(RER)になります。


1日あたりのエネルギー要求量(DER)を計算する

次に割り出したRERを元に、1日あたりの猫さんのエネルギー要求量を計算します。


ダイエット中のDERの計算方法

猫の状態によって決められた係数があり、状態にあった係数に割り出したRERをかけるだけです。
減量時の係数は「0.8」ですので、RERが「234」ならDERは例のとおりになります。
例)234×0.8=187.2


5㎏の猫さんがダイエット時に必要な1日あたりのエネルギー要求量(DER)が「187」ということになります。


1日の食事量を計算する

最後に算出したDERを元に、1日の食事量を割り出します。

手順は次のようになります。

①100gあたりの食事に含まれるカロリーを調べる
②計算式に当てはめて割り出す


市販フードの計算方法の解説はもちろん、手作り食のカロリーを調べられるサイトも紹介いていますので、計算してみてくださいね。

100gあたりの食事に含まれるカロリーの調べ方

市販のフードを与える場合、ほとんどのパッケージに「100gあたり○○kcal」などと表記されていると思いますので確認してみてください。

ウエットフードは表記されていないものもあります。
似ているもので、カロリーが明記されているものを参考にするとよいでしょう。

手作り食の場合は以下のサイトで、食材や量を入力するとカロリーを算出できます。
100gあたりのカロリーを割り出してみてくださいね。

参考サイト
簡単カロリー計算|ぱくぱく献立くん
https://www.kondatekun.com/recipe/calorie.php
Eatreat(イートリート)栄養価計算・栄養計算・カロリー計算の無料ソフト
https://eat-treat.jp/calculation


1日の食事量を割り出す

調べたカロリーを元に、1日の食事量を計算します。

以下の計算式に当てはめて計算するだけです。

1日あたりの食事量=DER÷100gあたりのカロリー×100


5kgの猫さんに、100g中368キロカロリーのフードを与える場合、1日の食事量は次の通りです。
例)187÷368×100=50.81g


1日2回の食事のときは、1回の食事量が25gとなります。


簡単に猫のカロリー計算ができるサイトやアプリ

アプリ&サイト
カロリー計算がダイエットをする上で必要だとわかっているけれど、計算するのが面倒という飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこでここでは、数字を入れるだけでカロリーや食事量を計算してくれるサイトやアプリをご紹介します。

ただし、いずれのサイトやアプリも、食事量の計算は1種類のフードを与えている場合に限ります。
例えばドライフードとウエットフードの両方を同時に与えている場合は、ご自身で食事量を計算する必要がありますのでご注意ください。


◎にゃんかる
https://nyancal.vercel.app/
サイト内で「ねこの体重」「ねこの体型」を入力するだけで、1日に必要なエネルギー量を自動で割り出してくれます。
ダイエット時だけではなく、さまざまなライフステージによるカロリー計算もしてくれますよ。

また「食事の回数」と「フードに含まれる100gあたりのカロリー」の入力で、1回あたりの食事量も自動で計算してくれます。


◎チボリ動物医療センター 食事量計算シート
https://www.jyuui.co.jp/kcalkeisan/
こちらもサイト上で必要な数値を入力することで、1日あたりのエネルギー要求量(DER)と1日に猫さんに与える食事量を割り出してくれます。

サイトの使い方は、以下の手順になります。
①「体重」と「係数」を入力する
②与えているフードの100gあたりのカロリー数を入力

係数とは
去勢や避妊をしている猫、高齢猫、妊娠中の猫など、ライフステージによって割り当てられた数値
サイト内に係数の表がありますので、表を確認して入力してくださいね。



◎ペットフード量計算 犬・猫のフード量計算アプリ
こちらはインストールして使用するアプリです。

次の4つの手順で、1日のエネルギー要求量と食事量を計算してくれます。
①猫さんのライフステージを選択
②猫さんの体重を入力
③現在の猫さんのボディ・コンディション・スコア(BCS)を選択
④与えているフードの代謝エネルギー量を入力

また食事の回数別(2回または3回)による、1回分の食事量も計算してくれますよ。


猫のダイエット成功のポイント

横たわるふくよかな猫
健康的に猫さんのダイエットを成功させるには、ただ食事を減らすだけでは不十分です。
知らないうちに過剰にカロリーを摂取していたり、消費カロリーと摂取カロリーのバランスを見落としていたりなど、ダイエット失敗にはさまざまな要因があるからです。

猫さんのダイエット成功のポイントとして、以下の4つが挙げられます。

  • 猫が太った原因を探る
  • 食事量を微調整する
  • 運動の工夫をする
  • 変動などを記録する


それぞれを詳しく解説しますね。


猫が太った原因を探る

猫さんのダイエットを始める前に、まずは「なぜ太ってしまったのか」を振り返ってみることが成功の第一歩です。
あなたの猫さんが太った原因を把握することで、改善策が見えてくるからです。

例えばオヤツを食事とは別に考えていたのなら、カロリーオーバーになるのは必然です。1日に与える食事量とオヤツの量を見直す必要があるでしょう。
またほかのご家族とお住いの場合、誰かがコッソリとオヤツを与えていて、知らないうちにカロリーオーバーになっていたということもあります。

まずは猫さんの普段の生活を振り返り、どのくらい運動できているか、食事やおやつの内容・量に問題がないかを確認
しましょう。


食事量を微調整する

食事量は最初に計算した量を与え続けていませんか?
猫さんの体重や体型の変化に応じて、こまめに微調整することがダイエット成功の鍵になります。

チェックポイントは、次の2つです。

  • 週に1回の体重測定
  • ボディチェック


定期的に体重を測り、数値で体重の変化を確認しましょう。
体重に変化がなかったり増えたりする場合は、食事量が多いということで減らす必要があります。

体重の減り方にも注意が必要です。
急激に痩せると重要な筋肉量が落ちてしまい、健康的なダイエットになりません。

猫の場合、0.5〜1%ずつの体重減少が理想的です。
前回の体重測定よりも1%以上の体重が減っていたなら、食事量を増やす必要があるでしょう。

さらに背中や脇腹に触れて「背骨や肋骨が触れられるか」「お腹にくびれがあるか」など、体型もチェックしてくださいね。

体重の増減と見た目のチェックを定期的に行い、その都度食事量は見直しましょう。

初めに計算した数値は、あくまでも目安と捉えてくださいね。


運動の工夫をする

食事制限だけでは、猫さんの健康的なダイエットは難しいでしょう。

運動を組み合わせることで消費カロリーを増やし、筋肉量を維持しながら体重を落とせます
特に室内飼いの猫さんは運動不足になりやすいため、飼い主さんが積極的に遊びを取り入れることが大切ですよ。

そうは言っても、お店に行けばさまざまなおもちゃがあり、選ぶのに悩みますよね。

そこでシッティングでお伺いしたときによく見かけるもので、よく猫さんが遊ぶおもちゃをご紹介しますね。

◎ペッツルート「シャカシャカブンブン」
おもちゃ(シャカシャカブンブン)
動かすとシャカシャカと羽音のような音が出て、猫さんは興味をそそられるようです。

◎CattyMan「猫の遊び草」
おもちゃ(猫じゃらし)
棒の部分が針金でできているので、よくしなり、他の猫じゃらしより猫さんの食いつきがよい傾向があります。

◎猫の家「ヨロコブラ」
おもちゃ(ヨロコブラ)
先がゴム製でうねうねと動く姿が猫さんには、たまらないようです。

あとは羽のおもちゃやボールで遊ぶ猫さんも多いです。
好みはそれぞれですので、あなたの猫さんが好むオモチャを見つけてあげてください。

中には忙しくて遊ぶ時間が作れない、という飼い主さんもいるかもしれませんね。
そのようなときは室内の家具などの配置を工夫して、猫さんが自発的に体を動かせるようにしてあげましょう

例えば猫さんが無理のない範囲の高い場所にご飯を置いたり、ご飯の場所を数カ所に分けたりするとよいですよ。

またノーズワークといって、さまざまな場所にフードを隠して探させることでも十分運動になります。

特にノーズワークは「探す」というアクションも加わるので、狩猟本能も刺激できてストレス解消にも繋がるのでおすすめです。

猫さんが動きたくなるように、ご自宅にあった工夫をしてあげてくださいね。


記録する

猫のダイエットを進めるうえで忘れてはならないのが、定期的な健康チェックと記録です。

体重だけを見て一喜一憂するのではなく、猫さんの状態を全体的に把握することが健康的にダイエットするには必要です。

具体的に以下のことを記録しましょう。

  • 毎日の食事量
  • 体重
  • 体型の変化
  • 活動量(遊びの時間)
  • ほか工夫したこと


おやつは毎日の食事量とは別と考える方がいます。
しかし計算して割り出した1日の食事量の中に、おやつも含めないとカロリーオーバーになってしまいます。
おやつの量は1日の食事量の10%程度に抑えましょう。

またご家族と暮らしている場合は、誰がいつ何をどれくらい与えたのかも記録してください。知らないうちにカロリーオーバーになっていたということになりかねません。

体重を測定するときの注意点として、毎回同じ時間帯に計るようにしてくださいね。
体重は一日の中でも変動しますので、時間帯がバラバラだと正確な変化がわかりません。

猫さんのボディチェックをしたときに感じたことや毎日の遊びの時間、ほかに工夫したことなども記録しておきましょう。

体重が減らなかったり、体型の変化が見られなかったりしたときに、記録を見返すことで「遊びの時間を増やした方がいいかも」「食事を見直そう」など、やるべきことが見えてきますよ。


猫のダイエットは無理なく続けることが成功の鍵

健康的な猫のダイエットを成功させるために大切なのは、「急がず、無理をさせず、継続すること」です。

太ってしまった原因を見直し、適正なカロリー計算を基準にした食事管理を行いながら、体調や体重の変化に応じて食事量や猫さんの環境を柔軟に調整していきましょう。

調整する際に役立つのが記録です。
面倒くさがらずに記録し見直していくことで、確実なダイエットを進められますよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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中澤光恵
専門家

中澤光恵(ペットシッター)

ペットシッタージニー

30年の知識と経験をもとに、食生活や爪切りやブラッシングなどのケア、環境づくりなど、ペットの健康寿命プラス5歳を目指す講座やアドバイスを実施。飼い主に代わって世話をするペットシッターも行っています。

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