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受託者を社団法人とする場合及び停止条件付信託にする場合のメリット・デメリット

伊藤紘一

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テーマ:家族信託

Q 高齢者の方に家族信託のことをお話しする機会が増えました。
  高齢者の方の中で認知症の割合が増えていること、認知症になってからでは後見人を選任して貰うが後見人の費用が結構高いこと、又、財産を処分するのに
  裁判所の許可が必要で、高額な施設の入所金や孫への小遣が認められない例が多いので、認知症になる前に信託契約を締結して、認知症になってからの前後を問
  わず、ある程度融通の利く処理をして貰えるメリット等を証明するのですが、「俺は当分認知症になんてならないから必要ない。」と言う人が殆んどなのです
  が。
A はい、85才以前の場合、未だ息子や娘に任せるわけにはいかないと思うのが一般であることは理解できます。
  そのような場合、元気なうちは自分で意思決定して、本当に認知症になった場合のみ、効力が発生する手段として、①受託者を社団法人にして、当初の理事長を
  委託者本人にし、息子や娘を社団の理事にして、委託者が認知症になったとき理事長が変わる方法、もう一つは、②契約の効力を医師から認知症の診断を受けた
  ときに効力が発生するようにする停止条件付信託契約があります。
Q それぞれのメリット・デメリットを教えて頂けますでしょうか。
A まず、停止条件付信託契約ですが、メリットとして意思能力低下を停止条件とすれば、登録免許税(土地0.3%、建物0.4%)が繰り延べされ、契約当初にはか
  かりません。
  しかし、条件成就が客観的に証明可能になっていなければならず(具体的に医師の診断書)、条件成就のときに信託開始手続をとれるよう任意後見契約も同時に締結
  しなければならず、任意後見契約では受任者(任意後見人)に信託開始手続(登記や着手移動)を行う権限があることが明確になっていなければならず、又、任意後見
  人が手続開始するには裁判所の手続も必要である等手続が繁雑です。
Q 社団法人にする場合はどうでしょう。
A 社団法人の設立登記をする必要がありますが、先ず、定款を作って社員権を誰が持つか決めなければなりませんが、社員権は相続の対象にならず設立のときの準
  備費用は当面の手続費用位で安くて済みます。
  代表理事は、当面は委託者がなるので、委託者が受託者の業務に主体的に関与できます。
  定款で代表者につき医師の認知症の診断が下りたときは、他の複数の理事で次の代表者を決められるようにしておけば、いざという場合対応できます。
  委託者が受託者に財産を預けるのを躊躇する場合や事業承継対策として家族信託をする場合有効です。
  停止条件付の場合の如く裁判所の関与は必要でなく、こちらの方が好まれています。
  但し、登録免許税については当初信託契約をする場合社団法人に信託の登記をするので停止条件の如く繰り延べは出来ません。

                                   弁護士 伊 藤 紘 一

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伊藤紘一(弁護士)

伊藤紘一法律事務所

超高齢化時代に必要なのは元気なうちからの相続対策。半世紀にわたるキャリアを持つ経験豊富な弁護士が遺言作成と家族信託をサポートし、スムーズな財産管理、笑顔の相続を実現します。

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