ISO9001とは簡単にいうとどんなもの?
ISO9001は品質マネジメントシステムの国際規格であり、多くの企業がこの認証を取得しています。ISO9001を取得することで、企業は信頼性を向上させ、業務の効率化を実現するだけでなく、顧客満足の向上も可能です。
本記事では、ISO9001の取得企業数や取得企業の業種・規模、取得の目的やメリットについて解説します。
ISO9001取得企業数はどれくらい?
ISO9001の取得企業数はどれくらいなのでしょうか。
ISO取得企業について紹介します。
国内外のISO9001取得企業数
ISO9001は、品質管理を強化するために世界中で導入されている国際規格です。ISO/CASCO(適合性評価委員会)のデータによると、2023年時点で世界では837,052社、日本では39,584社がISO9001の認証を取得しています。
参考:ISO/CASCO(マネジメントシステム規格の認証に関する ISO 調査 - 完)
ISO9001を取得することで、企業は業務の効率化や顧客満足度の向上を図ることが可能です。また、取得企業の規模は多岐にわたり、製造業だけでなく、サービス業や公共機関など、幅広い企業や組織が取得しています。
また、ISO9001は企業の取引の信頼度を高めるため、企業活動において重要な役割を果たしています。
ISO9001取得企業の業種・規模
ISO9001を取得している企業は、どのような業種や規模が多いのでしょうか。ISO9001の取得企業の業種や規模について紹介します。
製造業からサービス業まで
ISO9001は、製造業において特に多く取得されている品質マネジメントシステムの規格として知られています。これは、製品の品質を安定して提供するための管理が必要な業種であるためです。
その一方で、ISO9001の取得は製造業に限らず、サービス業や運輸業などにも広がっています。サービス業や運輸業においても、顧客満足度を向上させるためには、プロセスの標準化やサービス品質の管理が重要です。ISO9001を導入することで、顧客に高品質なサービスを提供できる仕組みが整います。
幅広い業種で、ISO9001の取得は進んでいます。
中小企業から大企業まで
ISO9001は、規模に関わらず、多くの企業が取得しています。大企業は、グローバルな信頼性を高めるために取得しているケースが多いですが、中小企業もISO9001の取得によるグローバル取引でのメリットを認識しているため、取得件数は増加傾向です。
ISO9001の導入はコストや運用負荷の問題があるものの、業務プロセスの標準化による効率化や信頼度の向上が期待できます。そのため、中小企業を含む多くの企業がISO導入をしています。
結果として、中小企業から大企業まで、ISO9001を取得している企業は多岐にわたっています。
ISO9001取得企業の目的
本項では、ISO9001を取得する企業の目的について紹介します。
業務プロセスの改善
ISO9001を取得する大きな目的の一つは、業務プロセスの改善です。ISO9001は、業務フローを体系的に見直し、効率的で無駄のない仕組みの確立を目的にしています。
これにより、製品やサービスの品質を安定させ、トラブルやエラーを減少させることが可能です。また、業務の改善は、コスト削減や時間の短縮に繋がります。
顧客満足の向上
ISO9001の取得により、品質管理が強化され、製品やサービスの一貫性が保たれるため、顧客からの信頼度向上も期待できます。また、ISO9001のプロセスでは、顧客のニーズや期待に応えることが重視されており、顧客の要望に迅速かつ的確に対応する体制を構築可能です。
結果として、顧客満足度が向上し、リピーターや新規顧客の獲得が期待でき、企業の持続的な成長につながります。
ISO9001取得のメリット
本項では、ISO9001を取得することで得られるメリットについて解説します。
信頼性の向上
ISO9001の取得は、企業の信頼性を飛躍的に向上させます。国際的に認められた品質管理システムを導入することで、顧客や取引先に対して高い品質管理能力を示すことができます。
顧客からの信頼度が向上することで、新規顧客の獲得が容易になり、既存顧客との関係も強化されるでしょう。また、品質保証の証明として機能するため、競争が激しい市場においても優位性を確保することが可能です。
また、信頼度の向上は企業のブランド価値を高め、企業全体の評判を向上させる結果にもつながります。
品質管理の強化
ISO9001は、企業の品質管理システムを体系的に強化するための基盤になります。
具体的には、プロセスの標準化や改善活動が推進されるため、製品やサービスの品質向上を見込むことが可能です。エラーや不良品の発生率が低減することにより、無駄なく製品が実現していきます。
その他にも、内部監査やマネジメントレビューの実施により、品質管理の持続的な改善が可能となります。
従業員の意識向上
ISO9001の取得を通じて、従業員の意識向上も効果として期待できます。
ISO9001を取得することで明確な品質目標が設定され、その達成に向けた取り組みが評価されるため、品質管理の重要性が全社的に共有されます。また、従業員一人ひとりが品質に対する責任を持つようになり、業務効率の向上や職場環境の改善が促進され、企業全体の生産性向上に繋がるでしょう。
ISO9001の取得のメリットについて解説しました。取得メリットが企業にとってどのような影響をもたらすのか、事前に理解しておくことは重要です。
ISO9001取得企業のデメリットや課題
ISO9001取得には多くのメリットがある一方で、デメリットや課題も存在します。
本項では、ISO9001の取得企業が抱えるデメリットについて解説します。
導入・維持コスト
ISO9001の取得には、初期導入コストや維持コストが発生します。
自社取得の場合は審査費用のみ必要ですが、初期導入でコンサルタントに依頼する場合、システムの構築や取得に向けたコンサルタント料が必要です。
また、取得後は年に1回の定期審査や3年に1回の更新審査で継続的にコストがかかります。
小規模企業にとってはこれらのコストが負担になることがある一方長期的に見れば品質向上によるコスト削減や顧客満足度の向上が見込めます。
業務負荷の増加
ISO9001を導入することで、業務負荷の増加が伴います。新しい品質管理システムの導入や手順の標準化、従業員のトレーニングなど、多くの準備が必要です。
上記の結果として、従業員の負担が一時的に増えることがあります。しかし、これらの取り組みは最終的には業務の効率化と品質向上に繋がるため、企業全体の成長に貢献します。導入初期の業務負荷を適切に管理し、役割を明確にすれば業務負担も軽減されるでしょう。
時間がかかる
ISO9001の取得には時間がかかります。システムの構築から取得までには、最低でも半年から1年程度の期間が必要です。また、取得後も定期的な審査や改善活動が必要です。
このため、短期間での成果を求める企業にとっては時間的なコストが課題となります。しかし、長期的な視点で見れば、品質の向上と持続的な成長が期待できるため、投資する価値はあるでしょう。
また、取得までのプロセスを通じて、企業内の業務プロセスが見直され、改善の機会が得られることも大きな利点です。
ISO9001の取得を検討する際は、メリットだけでなく、デメリットも踏まえて検討するのが無難でしょう。
まとめ
ISO9001取得企業数は年々増減していますが、今年度は増加傾向にあり、製造業に限らずさまざまな業種において取得されています。品質マネジメントシステムを通じて、顧客満足度の向上、業務効率化、信頼性の向上を実現しています。認証取得にはメリット多くありますが、デメリットも存在します。
ISO9001の取得企業と自社の状況を比較し、取得の必要性について詳しく知りたい場合は、専門家に相談するのも一つの手です。