ISO認証取得のメリットとデメリットとは?取得時の流れも解説
ISO審査には、事前に準備しておくことがあります。しかしながら、ISOの認証取得の経験がない企業では、何を準備すればいいかわからないといった声も多くあるでしょう。また、登録審査の流れを理解しておくことで、審査当日のスムーズな進行に役立ちます。
そこで本記事では、ISO審査の種類や事前に準備するもの、登録審査当日の流れなどを解説していきます。
ISOの審査の種類と各審査の大まかな流れ
本項では、ISOにおける各審査の概要や、大まかな流れなどを解説します。
認証前:登録審査
ISOの登録審査は、ステージ1審査とステージ2審査に分かれています。
ステージ1審査では、企業が運用するマネジメントシステムの構築状況、各種文書やPDCAサイクルの計画の確認が主です。ここで不備があれば、改善が必要となります。
ステージ2審査では、実際の業務プロセスが規定どおりに運用されているか、現場で確認を行います。これにより、マネジメントシステムの有効性が評価され、問題がなければ、無事ISOの認証取得となります。
認証後:サーベイランス審査
ISOの認証を取得後、サーベイランス審査が年に1回実施されます。
サーベイランス審査では、企業・組織が構築・運用しているマネジメントシステムが適切に運用されているか、維持可能な状態かといった調査が行われます。
また、過去の審査で指摘された改善事項の対応状況についても確認項目に含まれます。
サーベイランス審査に合格することで、企業組織におけるISO認証の有効性が確認され、引き続きISO認証の維持が可能となります。
なお、拠点数が多い場合など状況によっては、サーベイランス審査を年2回実施することもあります。
サーベイランス審査についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、併せてチェックしてみてください。
関連記事:ISOにおけるサーベイランス審査(定期審査)とは (ISOプロのページへ)
認証後:更新審査
ISO認証は通常、3年ごとに更新審査が行われます。
更新審査では、3年経過した段階での運用状況や改善の成果が検討されます。新たな問題や課題が発見された場合には、改善を実施し、次の審査時に再確認が必要です。
更新審査をクリアすることで、ISO認証がさらに3年間有効となり、企業の信頼性が継続的に保証されます。
このように、各審査の意味合いを理解することで、審査のスムーズな進行に役立ちます。
ISO登録審査当日の流れとは?
各審査の概要だけでなく、審査当日の流れについても知っておきたいという方も多いはずです。そこで本項では、ISO登録審査の当日の流れを紹介します。
オープニングミーティング
ISO登録審査の当日は、まずオープニングミーティングから始まります。オープニングミーティングでは、審査の目的や進行方法、スケジュールが審査員から説明され、審査を受ける企業側も、審査に必要となる情報を共有します。
オープニングミーティングには企業の経営層や役職者、事務局が参加しますが、審査の範囲や重点項目について、共通の理解を持つことが目的です。この場で確認された事項は、当日の審査全体の円滑な進行に影響し、企業側にとっても安心して審査に臨むための重要なミーティングとなります。
トップインタビュー
オープニングミーティングに続いて、企業の経営層を対象としたトップインタビューが行われます。トップインタビューでは、経営層のリーダーシップやマネジメントシステムの全体方針に対する理解と関与を確認します。
また、審査員は、経営層がISOの要求事項にどのように対応しているか、また組織全体にその方針をどのように伝達しているかを確認します。
トップインタビューは、組織のマネジメントシステムが経営戦略と一致しているかどうかを判断する重要なプロセスです。
サイトツアー
トップインタビューの後、審査員はサイトツアーを行います。これは、企業の現場を直接視察し、マネジメントシステムが実際にどのように運用されているかを確認するためのプロセスです。
審査員はオフィスや倉庫、事業所などを巡り、規定どおりに業務が行われているかをチェックします。
現場の状況を実際に視察することで、書類上の記録と実際の運用が一致しているかを評価します。
各部署インタビュー
サイトツアーの後、審査員は各部署の責任者や担当者にインタビューを行います。このインタビューでは、各部署の業務がISOの要求事項にどのように対応しているか確認されます。
具体的には、業務手順や記録の管理方法、改善活動の実施状況などが問われ、審査員は担当者の理解度や実践度を評価します。
各部署インタビューは、組織全体でのマネジメントシステムの浸透度を確認する重要な機会となるため、審査の結果に大きく影響します。
クロージングミーティング
ISO登録審査の最後に待っているのはクロージングミーティングです。クロージングミーティングでは、審査員が当日の審査結果を総括し、指摘事項や改善点についてフィードバックを行います。
審査結果が良好であれば、ISO認証取得への最終ステップが近づきますが、指摘事項が多い場合は改善が求められることもあります。
クロージングミーティングは、企業にとって審査結果を理解し、次のアクションを計画するための重要な場となります。
このように、本項ではISOの登録審査当日の流れを紹介しました。この流れを把握しておくことで、審査をスムーズに進めることができます。
ISO審査に必要な準備
本項では、前項で解説した各審査段階で必要とされる準備について解説します。
登録審査に必要な準備
ISOの登録審査に向けて必要な準備は以下のとおりです。
- 文書化した情報
- 内部監査の実施・記録
- マネジメントレビューの実施・記録
- 従業員の教育・訓練
取得予定のISO規格に基づいた方針・規定や手順などは、必ず作成者、作成日、承認者、改訂履歴などを明記の上、文書の形で文書に残すよう注意しましょう。
また、実施した内部監査やマネジメントレビューの実施記録についても、登録審査に向けて準備しておく必要があります。
その他、現場審査において審査員から従業員へ質問される場合に備え、従業員の教育・訓練についても抜かりなく進めておくようにしましょう。
サーベイランス審査・更新審査に必要な準備
ISOのサーベイランス審査や更新審査に備えるためには、マネジメントシステムが適切に運用されている証拠となる記録や内部監査の記録が重要です。
これらの記録は、日常業務が規格の要求事項に従って実施されていることを審査機関に向けて証明するものです。
また、改善活動の成果や従業員の教育記録なども細かに整理しておくと、審査時にスムーズな対応が可能です。これらの準備がしっかりと行うことで、審査において高評価を得やすくなります。
ISOの審査日数はどれくらい?
本項では、ISO審査にかかる日数について解説します。
ISOの審査にかかる日数は、企業の規模や事業内容、拠点の数などによって大きく異なります。小規模な企業や単一の拠点での審査であれば、1日で完了する場合もありますが、複数の拠点を持つ大企業や事業内容が複雑な企業では、数日かかることもあります。
審査日数は、審査員が企業のマネジメントシステムを十分に評価するために必要な時間として決定されます。そのため、事前に審査機関と相談し、日数の見積もりを確認しておくことが重要です。
なお、審査日数について事前に知りたい場合は、認証機関へ問い合わせてみましょう。
ISOの審査費用はどのくらいかかる?
ISOの審査費用は、企業の規模や審査の内容によって異なりますが、おおよその相場を把握しておくことが重要です。
たとえば、従業員が30名規模の企業の場合、審査費用は約40万円前後が一般的です。従業員50名規模では、約60万円から80万円、そして100名規模の企業では、約70万円から120万円が相場となります。
これらの費用は、審査員の日数や審査の複雑さ、審査機関の料金体系によっても変動するため、事前に複数社から見積もりを取り、適切な予算を計画することが推奨されます。
なお、ISOの認証取得に必要な費用についてはこちらの記事でも解説していますので、チェックしてみてください。
関連記事:ISO認証取得に必要な3つの費用を徹底解説
まとめ
本記事では、ISO審査の種類や登録審査の流れ、各審査で必要となる準備などについて解説しました。ISOの審査の流れを把握しておくことで審査のスムーズな進行に役立ちます。ISO認証取得により、組織のマネジメントが改善するなど、さまざまなメリットを得ることが可能です。認証取得に向けて審査がスムーズに進行できるよう、事前の準備は入念に行いましょう。
なお、ISO審査の流れについて詳しく知りたい場合は、専門家に相談するのも一つの手です。