ISOの内部監査チェックリスト作成のポイントとは?チェックリストに含めるべき項目も紹介
ISO認証取得を行っている、あるいは検討している企業は多いでしょう。これから取得の検討をしている場合には、ISO認証のメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。本記事では、ISO認証取得のメリット、デメリットについて詳しく具体的に解説します。
ISO認証とは?
本項では、まずISOとはどのようなものなのかを解説します。
ISOとは
ISO(国家標準化機構)とは、世界各国の国家標準団体で構成されたスイスに本部を構える非政府・非営利法人のことです。ISOは、さまざまな分野での標準を策定し、国際的な共通基準を提供しています。これにより、企業は品質、環境、情報セキュリティなどの面での信頼性を高められます。
代表的なISO規格
代表的なISO規格は、以下の3種類です。
- ISO 9001(品質マネジメントシステム):製品やサービスの品質を管理し、顧客満足を向上させるための規格です。
- ISO 14001(環境マネジメントシステム):環境への影響を管理し、持続可能なビジネス運営を目指すための規格です。
- ISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム):情報資産を適切に管理し、情報セキュリティを確保するための規格です。
ISOの特徴
ISO認証の大きな特徴は、PDCAサイクルを用いて継続的な改善をすることです。
このサイクルにより、組織全体の効率性や効果を向上させられます。
リスク及び機会や苦情からPDCAを回していきますが、ここでは分かりやすくするために製品を作る過程で具体例を紹介します。
Plan(計画):製品を作るのに、どのような順番やどのようなものを使って作るか計画
Do(実行):実際に製品を作成します。
Check(評価):完成した製品が要求通りにできているか確認や検査
Action(改善):完成した製品から出た問題点や、更に良くなる方法などを改善
このようにPDCAサイクルを機能させることで、継続的改善が可能となり、組織全体の生産性が向上します。
ISO認証を取得する5つのメリット
ISO認証取得のメリットについて、5つのポイントから解説します。
社会的信用の獲得に繋がる
ISO認証を取得することで、企業は国際的に認められた標準に準拠していることを証明できます。
これは取引先や顧客に対して高い信頼性を示す重要な要素となり、ビジネスチャンスの拡大に繋がります。特にISO 9001やISO 14001などは多くの企業が導入しており、認証の有無が取引条件となることもあります。
組織のマネジメントシステムを確立できる
ISO認証取得のプロセスでは、企業全体のマネジメントシステムを見直し、改善することが求められます。
これにより、組織全体の業務プロセスが標準化され、効率的な運用が実現。具体的には、業務の無駄が減り、社内のコミュニケーションが円滑になり組織全体のパフォーマンスが向上します。
業務効率の改善が期待できる
ISO認証取得に伴うプロセス改善は、業務効率の向上をもたらします。例えば、ISO 9001に基づく品質マネジメントシステムでは、業務プロセスの標準化と効率化が促進されます。
これにより、エラーやミスが減少し、品質向上が図られ、コスト削減や納期短縮といった効果も期待できます。
教育の効率化を図れる
ISO認証取得の一環として、社員教育やトレーニングが重要視されます。ISO規格に準拠した教育プログラムを導入することで、新入社員や既存社員のスキルアップが可能です。
これにより社員のモチベーションが向上し、組織全体の知識レベルが均一化されます。
責任や権限のリスク管理ができる
ISO認証のプロセスでは、各社員の責任や権限が明確化されます。これにより、リスク管理が徹底され、トラブルの発生が減少。また、役割と責任を明確にすることで、トラブルの際に意思決定をスムーズ進められます。
ISO認証を取得することで、組織内のマネジメントを改善するだけでなく、対外的な信用の獲得も期待できます。
ISO取得のデメリットとは?
ISO取得のデメリットについて解説します。
審査コストがかかる
ISO認証を取得するためには、外部審査機関による審査が必要です。この審査には費用がかかり、特に中小企業にとっては大きな負担となることがあります。初期費用だけでなく、認証を維持するための定期的な審査も必要でこれにもコストがかかります。
取得から効果が出るまでに時間がかかる
ISO認証を取得しても、すぐに効果が現れるわけではありません。組織では、認証取得に向けた準備やプロセス改善に時間がかかることが多いです。
具体的には、ISO 9001の取得は平均で半年から1年程度の時間が必要と言われています。
文書作成作業が増える
ISO認証取得のプロセスでは、構築の仕方次第では多くの文書が作成されます。例えば、品質マニュアルや手順書、記録の整備などがあります。これにより、管理部門や担当者の作業負担が増加します。特に、文書の正確さや一貫性を保つことが求められるため、細心の注意が必要です。
実業務に沿わせる形をとることで、文書量を削減し、負担を軽減することができます。
改善・改変に対応する必要がある
ISO認証を維持するためには、継続的な改善が求められます。継続的改善にはPDCAを回すことと、組織として改善する仕組みを構築する必要があります。これは企業にとってはプラスとなる反面、変化点を多くもたらすため、しっかりと検証して進めていくことが必要です。
ISO取得を検討する際は、メリットとデメリットを比較しつつ、組織にとって本当にISOが必要か見極める判断が重要となります。
ISO認証取得までの5つのステップを解説
メリットとデメリットについて明らかになったところで、ISO認証を実際に取得する際の流れを紹介します。
ステップ1:計画作成
まず初めに、ISO認証取得の計画を立てることが重要です。この計画には、プロジェクトチームの編成、スケジュールの作成があります。
なお、計画段階ではISOコンサルタントを活用することも検討すると良いでしょう。
その他にも、審査をする認証機関もこの時に選んでおくのが無難です。ISOの認証機関は多く、費用も認証機関によって違うため、リサーチしておきましょう。
ステップ2:規格に沿ったマネジメントシステムの構築
次に、ISO規格に基づいてマネジメントシステムを構築します。
例えば、ISO 9001であれば品質マネジメントシステムを、ISO 14001であれば環境マネジメントシステムを整備します。ここでは、業務プロセスの見直し、文書化、必要な手順書や記録類の作成が求められます。この段階では、内部だけでなく外部の専門家の支援も考慮してみましょう。
ステップ3:マネジメントシステムの運用
マネジメントシステムを構築したら、次は運用段階に移ります。少なくとも3ヶ月以上の運用期間を設け、システムが有効に機能しているかを確認します。この運用期間中に、内部監査を実施し、システムの改善点を洗い出すことが必要です。
また、社員教育やトレーニングも並行して行い、従業員がシステムを理解し、適切に運用できるようにしておくことがポイントになります。
ステップ4:認証取得の申請
マネジメントシステムの運用が安定してきたら、審査の申し込みを行います。
認証機関に申請書類を提出し、審査の日程を調整します。審査費用は規格、業種、従業員規模などで異なりますが、初回の審査費用は通常50万~150万円程度が一般的です。認証機関によって金額差があるので、計画段階で認証機関を決めましょう。
また、申請から審査までには、通常1~2ヶ月の期間が必要です。そのため、計画段階で事前に申し込みをして審査日程を決めておくことでスムーズに審査を受ける方法もあります。
ステップ5:審査
最後に、認証機関による審査が行われます。審査は通常、文書審査と現場審査の2段階で行われます。
文書審査では、提出されたマニュアルや記録が規格に適合しているかを確認します。現場審査では、実際の運用状況をチェックし、規格の要求事項が適切に実践されているかを評価します。
審査が無事に通過すれば、ISO認証書が発行されます。審査期間は通常2~3日間で、結果は1~2週間以内に通知されます。また、審査で改善事項が発生した場合は、改善を実施し、審査機関の承認が下りてからISO認証書が発行されます。
認証取得の可否については、事前の計画やマネジメントシステムの構築・運用が重要なポイントとなるため、綿密に各工程をクリアしていく必要があります。
まとめ
この記事では、ISO取得のメリット・デメリット、認証取得時の流れについて具体的に解説しました。ISO認証を取得することで、組織のマネジメントが改善するなど、さまざまなメリットが期待できます。一方で取得にあたって発生するコストや工数の問題もあるため、メリットとデメリットの比較検討が重要といえます。ISO取得のメリットやデメリットについて相談したいことがあれば、専門家に相談するのも一つの手です。