ISO教育訓練とは?教育訓練計画の作成方法や実施時の注意点を解説
ISO統合マネジメントシステム(IMS)は、一般的にあまり馴染みのない言葉かもしれません。しかしながら、ISOマネジメントシステムの複数取得・運用を目指すうえで、統合マネジメントシステムについて理解しておくことは重要です。
本記事では、通常のマネジメントシステムと統合マネジメントシステムの違いや、統合マネジメントシステムの概要などを解説します。
目次
統合マネジメントシステムとは?
本項では、ISOマネジメントシステム、そして統合マネジメントシステムについて解説します。
ISOマネジメントシステムとは
ISOマネジメントシステムは、国際標準化機構によって策定・規格化されたマネジメントシステムを指します。
代表的なものにISO 9001、ISO 14001があります。これらの規格では、組織がリスク管理を行い、組織活動におけるリスクを管理するための仕組みが規格化されています。ISOマネジメントシステムの導入により、業務の標準化、リスク管理、法令遵守など、多くのメリットを生み出すことが可能です。
統合マネジメントシステムとは
統合マネジメントシステム(IMS)は、複数のISO規格を一つのマネジメントシステムとして統合し、効率的に運用することです。
IMSの主な目的は、異なるマネジメントシステム間の重複作業を削減し、作業をスムーズにすることです。例えば、共通するプロセスや手順を一本化し、管理の一貫性を高められます。これにより、組織全体の効率が向上し、負荷が少なく持続可能な運用ができます。
また、複数のISO認証を新規で取得する場合、同時取得したうえで統合した方が効率的です。
また、既に個別で取得が完了している場合は検討が必要です。統合するまでに時間がかかってしまい負担増になってしまうリスクなど、状況を踏まえつつ、統合する必要があるか検討をしましょう。
ISOのマネジメントシステムに共通する要求事項とは?
ISOのマネジメントシステムには、規格を問わず共通する要求事項があるため、詳しく解説します。
第一に、組織の状況の理解です。これは、組織が内部および外部の課題や利害関係者のニーズを理解し、それに基づいて戦略を立てることを求めます。
第二に、リーダーシップの役割と責任です。目標を達成するためのリーダーシップを発揮する必要があるので、役割を明確にします。
第三に、リスクと機会です。組織は、リスクと機会を特定し、それらに対処するための計画を策定し、実行することが求められます。
これらの共通要求事項は、マネジメントシステム全体の一貫性と有効性を確保するための基盤です。また規格の章立てが同じになるので、文書化した情報も共通化できます。
これら共通の要求事項は統合マネジメントシステムの構築にあたって重要なポイントとなりますので、おさえておきましょう。
統合マネジメントシステムのメリット4選
ISO統合マネジメントシステムのメリットについて解説します。
重複作業を効率化できる
統合マネジメントシステム(IMS)を導入することで、異なるISO規格間の重複作業を効率化できます。
例えば、ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001のそれぞれの規格において必要な内部監査や管理レビューなどのプロセスを一本化できます。これにより、個別に行っていた作業が削減され、管理コストや時間の節約に繋がります。結果として、組織全体の業務効率向上が見込めます。
組織の目標管理に一貫性が生まれる
IMSは、目標管理などに一貫性をもたらします。
異なるマネジメントシステムを統合することで、全社的な目標設定やパフォーマンスの評価が一貫した基準で行えるようになるため、各部門が統一された戦略に基づいて活動することが可能となります。その他にも組織全体の協調性が高まり、各目標が統一されることで
従業員の理解と協力が促進され、継続的な改善が実現しやすくなります。
継続的な改善ができる
統合されたシステム(IMS)でも、PDCA(計画・実行・チェック・改善)サイクルを効果的に回すことが可能です。これにより、異なる分野の改善活動が相互に補完し合い、全体的なパフォーマンスが向上します。例えば、品質管理の改善が環境管理にも良い影響を与えることがあり、組織全体の成長にも繋がります。
審査工数を削減できる
IMSを導入することで、ISO認証の審査工数を削減できます。複数のISO規格を統合することで、統合審査を受けることが可能となり、個別の審査に比べて時間とコストを節約できます。
例えば、ISO 9001とISO 14001を統合した場合、統合審査では一度の審査で両規格の認証が確認できるため、重複する審査の手間を省けます。これにより、認証取得や維持にかかる負担が軽減されます。
統合マネジメントシステムを構築する際の注意点
ISO規格を統合する際、マネジメントシステムの構築には以下で紹介するいくつかの点に注意してプロセスを進めていく必要があります。
個別管理が必要な要求事項の判断をつける
統合マネジメントシステム(IMS)を構築する際には、個別管理が必要な要求事項の判断が重要です。
各ISO規格には独自の要求事項が含まれており、それらを統合する際に一部の要件は個別に管理する必要があります。個別で管理しなければいけない要求事項を見落とすと、認証取得や維持が難しくなる可能性があります。そのため、統合プロセスでは各規格の特異性をしっかりと理解し、適切な管理方法をすることが重要です。
マニュアルの見直しが必要になる
統合マネジメントシステム(IMS)を構築する際には、既存のマニュアルの見直しが必要になります。複数のISO規格を統合することで、各規格に基づく手順やプロセスを一本化する必要があり、これに伴って既存の文書やマニュアルを更新する作業が発生します。
例えば、品質管理と環境管理の手順が統合された場合、それぞれの規格に適合する形で新たにマニュアルを作成し直す必要があります。これには時間と労力がかかりますが、統合後のマニュアルは一貫性があり、従業員が理解しやすくなります。結果として、組織全体の効率性が向上し、統合マネジメントシステムの効果を引き出せます。
統合マネジメントシステムの審査はどうなる?
マネジメントシステムの統合審査とはどのようなものなのでしょうか。統合審査や複合審査との違いについて詳しく解説します。
統合審査とは
統合審査とは、複数のISO規格を一度に審査するプロセスです。これは、各規格の要求事項を統合したマネジメントシステムを対象に行われます。
例えば、ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001を統合したシステムを一度に審査することで、各規格に対する適合性を一回の審査で確認できます。これにより、審査の重複が避けられ、時間とコストの削減が可能です。
複合審査との違いは?
複合審査では、同じ期間内に各ISO規格の個別審査を実施します。
例えば、ISO 9001とISO 45001の認証を同時に取得する場合、それぞれの規格に対する個別の審査を行います。これにより、各規格の詳細な要求事項が個別に確認される一方で、審査期間が延びる可能性があり、コストも高くなります。
また、審査の準備も個別に行う必要があるため、手間も労力もかかります。このように、統合審査と複合審査にはそれぞれの特徴とメリットがあり、企業の状況や目的に応じて最適な方法を選択することが重要です。
統合マネジメントシステム(IMS)の導入を検討する際は、これらの審査方式の違いを理解し、戦略的に取り入れることで、企業の運用と効率的な管理が実現できます。
まとめ
この記事では、統合マネジメントシステムについて解説してきました。統合マネジメントシステムを構築することで、システム運用の効率化やコスト削減など、さまざまな効果が期待できます。また、統合マネジメントシステムの審査時には通常の審査と異なる統合審査が必要になるため、注意しましょう。もしISO統合マネジメントシステムにお困りのことがあれば、専門家に相談するのも一つの手です。