ISOの内部監査チェックリスト作成のポイントとは?チェックリストに含めるべき項目も紹介
ISOを取得・維持している企業も多いなかで、検討中の企業もあるでしょう。そして、「そもそもISOの必要性はどこにあるのか」という疑問を持たれている方も多いはずです。 そこで本記事では、ISO認証取得が必要とされる背景や必要性、取得後の注意点について解説します。
ISOの概要とは?
本項ではまず、ISOの概要について解説します。
ISOの役割
ISOは、国際的な標準化団体であり、世界中の国や産業で利用される様々な規格を策定しています。これらの規格は、製品やサービスの品質、安全性、効率性の向上を図るための枠組みとして活用可能です。ISOの役割は、国際的な標準を策定し、組織や企業がこれに適合することで、相互運用性や競争力の向上を図ることにあります。
ISO規格の普及状況
ISO規格は、世界中で広く普及しています。代表例として、ISO 9001(品質マネジメントシステム)、ISO 14001(環境マネジメントシステム)、ISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)などが挙げられるでしょう。このように、ISOにはさまざまな分野における規格が存在し、多くの企業や組織がこれらの規格を採用しています。
ISO9001、ISO14001が一般的に普及していますが、昨今ではサイバーセキュリティ対策として、ISO27001も普及しつつあります。ISO規格の普及は、国際的な取引やビジネスの円滑化に一役買っているといえるでしょう。
取得・維持にかかる費用
ISO認証を取得し、維持するには一定の費用が必要です。ISO取得費用の内訳としては、取得にかかる費用、専門家のコンサルティング費用、外部研修などがあります。
また、取得後は3年に1回、更新審査と毎年の定期審査(サーベイランス)が必要です。そのため、維持継続には毎年費用がかかります。また、金額と時間(工数)は定期審査と更新審査で異なるため注意しましょう。
上記の点から、ISOの取得を検討している企業は費用対効果を事前に考えることが不可欠です。
ISOの必要性は、ISOの役割や取得・維持にかかるコストなど概要を踏まえたうえで考えることが必要といえます。
ISOが必要とされる背景とは?
内部状況による必要性
企業がISO認証を検討する背景には、経営や業務の改善、効率化を目指すという内的要因があります。
ISO規格の導入により、組織内のプロセスや手順を体系化し、品質や効率性の向上を図ることが可能です。これにより、組織全体の運営がスムーズになり、顧客満足度の向上にもつながります。
外部状況による必要性
外部からの要求や要件により、企業がISO認証を取得する要請がある場合もあります。
具体的には、親会社や、新規顧客や現行の取引先からISO認証を求められるケースなどが挙げられるでしょう。また、特定の業界や地域での規制要件を満たすためにISO認証が必要とされることもあります。
ISOの必要性を十分理解しておけば、取得企業は取引先や市場に対し、信頼性や競争力を高めることができるでしょう。
このように、 ISOの取得が必要とされる背景は、外的要因と内的要因に分けられます。
ISOの必要性を5つのポイントから解説
前項ではISOの取得が必要となる背景について解説しました。 では、実際ISOの必要性はどこにあるのでしょうか。本項では、ISOの必要性について解説します。
マネジメントシステムの構築に効果的
ISOの取得により、効率的でスムーズなマネジメントシステムを構築することができます。
マネジメントシステムは組織の活動を統合し、目標達成に向けた方針を明確にするためのものです。マネジメントシステムを構築することにより、企業内の意思統一も期待できます。
また、業務プロセスが明確化されることで、組織全体の意思決定や業務遂行の円滑化が可能です。上記の点から、マネジメントシステムを構築することで効率が向上し、企業は顧客満足度の向上につながり、競争力の向上に繋がるといえるでしょう。
合理的かつ効果的に枠組みを活用
企業独自のシステム構築を0からするよりも、世界標準化団体で考え抜かれた枠組みを利用することで、合理的で効果的なマネジメントシステムを作ることができます。
責任や権限の明確化
ISOの5.3項には「組織の役割・責任権限」という要求事項があります。
責任権限がなければ、トラブルがあった際に、誰が判断をするのかわからなくなり、解決までに時間がかかってしまうでしょう。このような混乱を未然に防ぐために、組織の役職者のなかで責任権限を明確にすることが必要です。これにより問題発生時に迅速な対応が可能となり、組織の運営がスムーズになります。
製品・サービスの品質向上
ISOの取得の必要性の一つは、製品やサービスの品質向上です。ISOはPDCAを回すことで、継続的改善を促す効果があります。このような取り組みによって、不適合を少なくしていく仕組みを構築することが可能です。安全性のある製品や質の高いサービスを目指していくことで、結果として顧客満足度の向上にもつながります。
信頼性と認識度の向上
ISO認証を取得することで、企業の信頼性を高めることができます。ISOは国際標準化機構となるため、規格、基準に沿って企業がマネジメントシステムを運用していることの証明です。ISO認証の取得は顧客に対し、安心感を与え信頼度が高める効果も期待できるでしょう。
また、ISO認証は国際的に認知されているので、企業の認知度アップにも繋がります。取得企業は信頼されるとともに、競争力を高めることができます。
ISOを取得することで、企業は業務を効率的に、スムーズに進行するマネジメントシステムを構築することができます。
ISO認証取得の3つの注意点
本項では、ISO認証取得で特に注意すべき3つのポイントを解説します。
取得後効果が出るまでに時間がかかる
ISO認証を取得してから効果が現れるまでには時間がかかる場合があります。組織全体の変革やプロセスの改善には時間が必要になるので、即効性を求めることは難しいかもしれません。定期審査、更新審査を繰り返していくことで、徐々に効果が出始めます。
改善・改変に対応する必要がある
ISO認証を取得した後も、内部・外部状況や組織、業務の変化に応じて、常に改善や改変に対応していく必要があります。こうした取り組みはISOの6.1項「リスク及び機会の取り組み」と呼ばれます。改善や改変が必要な際は、定期的な内部監査を実行し、マネジメントレビューを通じて、システムの継続的な改善をおこなうことが重要です。
現場社員とギャップが生まれてしまう
ISO認証の取得に伴い、マニュアルや手順書などの文書化が進むことで、現場社員とのギャップが生まれる場合に注意が必要です。改善を追い求めすぎると、実業務をこなす現場社員との間にギャップが生じ、場合によってはモチベーションダウンに繋がってしまいます。
上記のような事態を避けるうえでは現場とのコミュニケーションが必要です。ISOの説明や内部監査員トレーニングに現場社員を多く参加させることでギャップを埋める効果が期待できます。
また、ISOのために仕事をしているのではなく、実際に業務を行っていることが、結果としてISOに関連しているという認識にさせることで、ギャップが生まれにくくなります。ISOは経営層、管理層だけでなく、企業全体で進めるようにしていくことで効果が大きくなります。
マネジメントシステムを構築する必要性から、さまざまな企業が取得しているISO認証ですが、 取得後は本項で紹介したポイントに注意しつつ、有益に運用していく必要があります。
まとめ
この記事では、ISOの必要性について解説をしてきました。内部、外部の状況を把握することで、ISOの必要性が見えてきます。また、企業にとってISOを必要とする目的を明確にすることがもっとも重要といえるでしょう。そのため、本記事で紹介した内容をもとに、一度ISOの必要性を確認してみてはいかがでしょうか。 もしISOの必要性についてお困りのことがあれば、専門家に相談するのも一つの手です。