ISOの内部監査とは?意味や目的、質問例を紹介
ISOの内部監査を実施する上で、どのようなポイントを確認すればよいかわからないという人も多いのではないでしょうか。そのような場合、チェックリストを作成することでスムーズに内部監査を行うことが可能です。本記事では、ISOの内部監査をおこなううえで必要となるチェックリストについて解説します。
ISO内部監査の目的とは?
本項では、ISOの内部監査を行う目的について解説します。
顧客満足度向上
ISO内部監査は、組織内で運用されているプロセスや手順が適切に機能しているかを確認するために実施されます。内部監査を実施して組織の改善を繰り返しおこなうことで、製品やサービス向上に繋げることが可能です。そのため、内部監査をおこなう最終的な目的には、顧客満足度向上があるといえます。
製品の品質やサービス以外に、組織として正しい仕組みが構築されているかどうかという点もまた、顧客からの評価に影響します。そのため、しっかりと内部監査を実施し、都度改善をおこなうことは重要です。
マネジメントシステムの運用状況把握
ISO内部監査の目的の一つは、組織のマネジメントシステムの運用状況把握です。適切な手順や基準に従って業務が実施され、マネジメントシステムが効果的に機能しているかどうかを確認します。
なお、運用状況の把握は、客観的証拠(エビデンス)などを確認することで運用状況が正しく把握可能です。
マネジメントシステムの有効性評価
ISO内部監査の目的の一つとして、マネジメントシステムの有効性の評価が挙げられます。有効性の評価とは、マネジメントシステムが組織にとって役に立っているかの確認です。
データなどの材料をもとに、目標達成のための継続的改善をしているかを評価します。また、有効性の評価をおこない、改善の余地があると判断できた場合には、適切な対策を講じることも欠かせません。
このように、ISO内部監査は組織内で用いられているマネジメントシステムが、事業目標に対して適切に運用されているかどうかチェックするために実施されます。 その内部監査を効率的かつ適切に実施するうえで役立つのが、チェックリストです。
ISO内部監査のチェックリストを作成するメリットとは?
ISO内部監査のチェックリストを作成するメリットはどこにあるのでしょうか。 本項では、内部監査のチェックリスト作成によって得られるメリットを解説します。
内部監査の効率向上
チェックリストを使用することで、内部監査の効率が上がり、有効な内部監査ができます。チェックリストにもとづき、各項目を確認しながら進行することで、漏れやミスの予防が可能です。
内部監査の効率化によって監査員の業務負担も軽減できるため、チェックリストの果たす役割は大きいといえるでしょう。
内部監査の標準化
チェックリストを活用することにより、内部監査の手順や評価基準を統一することができます。たとえば異なる内部監査員が実施したとしても、チェックリストによって内部監査が標準化されているため、同じ基準の監査が可能です。
また、標準化された監査手法により、組織全体の統一性向上も期待できるでしょう。
内部監査実施の記録
チェックリストを使用することで、内部監査の実施内容や結果を記録できます。内部監査の実施状況や発見された問題点を記録することで、次回の内部監査に向けた改善活動の参考資料として活用することができます。
また、実施記録を残すことで、内部監査の透明性や信頼性を高められるのは利点です。
内部監査でチェックリストを活用することにより、確認事項の漏れを予防することができます。 効率的な内部監査を実施するうえで、チェックリストの作成は不可欠です。
ISO内部監査のチェックリストに含めるべき4つの項目とは
本項では、ISO内部監査のチェックリストに含めるべき項目を紹介します。
要求事項の番号
チェックリストにはISO規格で要求されている事項や項目の番号を記載しておくことが必要です。要求事項の番号をチェックリスト内に明記しておくことで、内部監査員は要求事項を正確に把握し、適切な内部監査をおこなうことができます。
なお、監査員はチェックリスト作成時に要求事項の番号も一緒に覚えることができるため、力量向上にも繋がるでしょう。
内部監査での質問内容
チェックリストには内部監査で確認すべき質問内容を明確にしておくことが必要です。
例えば、「6.2の目標についてですが、目標計画と実施状況を確認させてください」、
「規格の7.2章の力量判定ですが、どのように実施していますか?また、スキルマップを見せてください」など、番号と質問を合わせていくことで、明確な質問をすることができます。
内部監査の確認状況
チェックリストには各項目の確認状況を記録しましょう。これにより、内部監査の進行状況や未対応項目を把握し、内部監査の効率を向上させることができます。
その他のポイントとして、優先順位が高い質問には、「印」をつけてわかるようにしておきましょう。これにより、確認漏れなどを防ぐことができます。
実施後の評価
チェックリストには、内部監査の結果や評価を記録しましょう。これにより、内部監査の成果や改善点を明確に把握し、プロセス改善に活かすことができます。また、質問に対しての評価を明確にしておくよう注意が必要です。
評価例としては以下のとおりです。
- 適合:実施して客観的証拠があった
- 不適合:実施していなかった
- 改善:実施していたが、客観的証拠の一部に不十分な箇所があった
- グッドポイント:実施して客観的証拠があり、他部署でも展開したほうがよい
上記のように、評価基準を明記しておきましょう。
なお、内部監査では改善だけでなく、良いところ(グッドポイント)を挙げることで、良いところを他部署と共有ができます。組織のレベルを底上げするうえで役立ちますので、積極的に共有していきましょう。
このように、上記の内容をチェックリストの項目に含めることで、効果的かつ適切な内部監査の実施が可能になります。
ISO内部監査で使用したチェックリストの改善とは?
ISO内部監査で使用したチェックリストは、次回に向けて改善することが可能です。 本項では、ISO内部監査で使用したチェックリストの改善について解説します。
ステップ1:内部監査実施後の振り返り
内部監査実施後に、チェックリストの使用感や問題点を振り返ります。これにより、改善のための方針や課題を明確にし、次回の監査に活かすための準備が可能です。
その他指摘事項や、改善の余地があった場合には、次回の内部監査で確認する必要があるため、振り返りは必ず実施するようにしましょう。
ステップ2:振り返り内容をもとにチェックリストを改善する
振り返りの結果をもとに、チェックリストを改善しましょう。具体的には、不足していた項目の追加や不要な項目の削除などをおこなうことで、チェックリストの精度や使いやすさの向上が可能です。
例えば、確認した質問事項に対して、適合であった場合の項目は、既にできているため不要にして削除するなどの改善が挙げられます。
また、内部監査時、回答に疑問が残った部分については、さらに踏み込んだ内容にするとよいでしょう。内容を深堀することで、被監査部門の強い部分、弱い部分を明確にできます。
ステップ3:改善したチェックリストを次回内部監査で使用する
改善したチェックリストを次回の内部監査で活用します。前回の課題を改善し、より効果的なチェックリストを作成することで、中身の濃い内部監査が実現可能です。なお、チェックリストの改善は必ず、PDCAの観点から進めるようにしましょう。
使用したチェックリストの使いやすさや、内部監査を実施して感じた「やりづらさ」などをもとに チェックリストを見直すことで、次回に向けたブラッシュアップをおこなうことができます。
まとめ
この記事では、ISO内部監査チェックリスト作成のメリットや作成時のポイントについて解説しました。ISO内部監査チェックリストを使用することで、効率的かつポイントを押さえた内部監査を実施することができます。また、ISO内部監査ではチェックリストの作成から、内部監査員の力量アップまで繋いでいくことが重要です。企業、組織にとって有効性のある内部監査にする事がもっとも重要になるため、この記事で紹介した内部監査チェックリスト使用して内部監査を実施しましょう。 もしISO内部監査チェックリストについてお困りのことがあれば、専門家に相談するのも一つの手です。