ISOの内部監査チェックリスト作成のポイントとは?チェックリストに含めるべき項目も紹介
ISO内部監査を実施するためには内部監査員を任命し、監査手順に沿って行わなければいけません。
しかし、内部監査員をどのように任命し、どのように監査を進めていけばいいのか分からないという方もいるでしょう。
この記事では内部監査を実施することによるメリットや監査の手順、監査する際の注意点について解説します。
内部監査とは?
まずは、内部監査とは何か?その意味や外部監査、監査役監査との違いを解説します。
内部監査とは
内部監査は、マネジメントシステムの適合性や有効性を確認するために行い、組織の内部監査部門や内部監査員もしくは外部のコンサルタントが監査を実施します。
内部監査は、リスク管理、コンプライアンス、プロセス改善などの目的で実施され、組織内部の問題を特定し、解決策を提案するのに役立ちます。
外部監査との違い
外部監査は、その名の通り内部の監査ではなく外部組織によって行われる監査になります。
外部監査には「第二者監査」と「第三者監査」の2種類があります。
第二者監査:顧客などの外部の利害関係者が、自社に対して行う監査です。顧客監査とも言われます。
第三者監査:ISO認証機関などの外部の独立した組織によって行われる監査です。初めてISOを取得する場合や更新する際に利用されます。
外部監査を行うことで、組織内では見つけられなかった改善点や問題点を発見することが可能です。
また、外部組織による公正な評価が得られるため、信頼性が向上します。
監査役監査との違い
監査役監査は、株主総会で選任された監査役が行う監査です。
主に経営者の業務の適正性や財務情報の信頼性、内部統制の有効性などをチェックします。
また、組織の内部監査機能を補完し、組織のガバナンスを強化するために行われます。
内部監査は一般的に組織内で継続的に実施される一方で、監査役監査は特定の期間に実施されるのが一般的です。
>>関連記事:ISO内部監査の基本を抑えよう!概要まとめ(ISOプロのページ)
内部監査のメリット
内部監査を実施することで、どのようなメリットがあるのか?解説します。
リスクを抑える
内部監査は、組織内のリスクを特定し、管理するのに役立ちます。
問題や不備を早期に発見することで、それらに対処するための是正措置をすることが可能です。
これにより、組織は未然にリスクを抑え、予期せぬ損失やトラブルを回避することができます。
また、他部門の業務内容を知ることができるので、良い箇所を自部門に展開でき、社内の活性化にも繋がります。
業務の効率化
内部監査を実施することで、組織内の業務プロセスや手順を評価し、改善の機会を特定するのに役立ちます。
効率的なプロセスや手順を改善することで、ムリ、ムダを改善でき、業務の最適化や生産性の向上が可能です。
経営目標の達成
内部監査は、組織の経営目標を達成するための戦略的な手段にもなります。
監査結果を分析し、改善の機会を特定することで、組織は自らの目標達成に向けた方針や戦略を検討することができます。
内部監査によって、組織はより効果的な意思決定を行い、持続的な改善を行うことで、企業の成長と競争力の強化を実現することが可能です。
このように内部監査を実施することによって、不祥事の防止や経営目標を達成するために必要なことや問題点の洗い出しができるといったメリットがあります。
ISO内部監査員の任命方法
ここでは、ISO内部監査員の任命基準や任命方法を解説していきます。
内部監査員の任命基準
内部監査員には十分な力量が求められます。
そのため、ISO規格や品質管理システムに関して深く理解し、組織内の異なる部門やプロセスに精通している必要があります。
また、分析力や問題解決能力を持っていることも必要になります。
監査員は情報やデータを分析し、問題を特定し、それに対する適切な解決策を提案する能力が求められます。コミュニケーションスキルも重要になります。
特に、独立性と客観的な目線で監査を実施することができないと、良い内部監査を実施することはできません。よって、組織の利益や関係性に左右されず、客観的な立場から監査を実施することが求められます
内部監査員の任命方法
次に、内部監査員のトレーニングや認定を受けることが必要になります。このトレーニングは、ISO規格や監査手法に関する理論的な知識だけでなく、実践的なスキルや技能を身に付けるためのものです。
外部セミナーを受講すれば、内部監査員としてのスキルは身に付きますが、社内でISOに関する経験や知識がある人がトレーニングを実施するのも良いでしょう。
そして、経営者、管理責任、事務局が内部監査員を任命し、監査活動を実施する権限を与えます。
任命された監査員は、監査計画やスケジュールに基づいて監査を実施し、結果を報告します。
>>関連記事:ISOの内部監査員とは(ISOプロのページ)
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ISO内部監査の流れ
ISO内部監査はどのような流れで実施するのか?解説します。
内部監査員の任命
経営者、ISO管理責任者、ISO事務局により内部監査員を任命します。
任命された従業員は、内部監査の実施に必要な専門知識や技術を持っていることが前提となります。
内部監査員に任命されたら、監査員は内部監査計画に基づき、確認事項や、実施、結果の評価まで行いましょう。
内部監査計画
内部監査計画に基づき監査部門、監査の範囲、目的、日程を確認します。
計画書には、監査のスケジュールや役割分担なども含まれます。
監査時に確認する項目をピックアップして「監査メモ」などに質問を書いて決めておきましょう。
また、監査リーダーを決めておくとこでスムーズな監査が実施できます。
内部監査実施
内部監査の実施は、計画に基づいて行われます。
監査員は、マネジメントシステムを評価し、「ISO規格に適合しているか」「有効に機能しているか」確認します。
監査の実施では、文書のレビューやインタビュー、現場確認などを行うことで手順と実作業のギャップを確認することができます。
初めて内部監査を行い、ISO規格に対して理解が低い人は、監査部門の業務内容を確認しながら、疑問に思ったことを聞いてみるのも良いでしょう。
いずれにせよ、内部監査員は、客観的かつ公正な視点から評価することが大切です。
内部監査結果
監査の終了後に、内部監査員は監査結果を文書化し、報告書を作成します。
報告書には、監査の結果や発見された問題点、改善のための提案なども記載しましょう。
報告書は、ISO事務局などに提出します。
内部監査の結果を共有し、是正措置の実施を行うように推進します。
内部監査のフォロー
監査後はフォローアップが行われます。
これは、報告書で提案された改善措置が適切に実施されたかどうかを確認するプロセスです。
内部監査員が、報告書で記載した、指摘事項や改善の機会を確認します。
適切な処置が実施されていることが確認でき、有効性が確認できたら報告書に内容を記載します。
ここまで完了したら、次回の内部監査で有効性が維持できているか確認を行いましょう。
注意点は報告書を作成するだけではなく、必ず有効性の確認まで実施することです。
また、対策に時間がかかる場合は、期限を設けて、未完了のままにならないように気を付けましょう。
>>関連記事:【ISO内部監査員が解説】内部監査のやり方やポイント...(ISOプロのページ)
ISO内部監査の注意点
ISO内部監査を実施していく上での注意点について解説します。
公平性を保つ
内部監査の際に最も重要なのは、公平性を持つことです。
監査員は、個人的な意見や関係性に左右されずに、客観的な視点で監査を実施する必要があります。
公正で公平な監査は、組織内の信頼性を高め、監査の成果をより有益なものにします。
人ではなく仕組みで考える
内部監査では、個々の従業員や部門に問題点の原因があると考えるのではなく、組織の仕組みやプロセスから原因を発見することが最も重要です。
問題が発生した場合、その原因を特定し、ルールや手順の改善に焦点を当てることで、問題を防ぐことができます。
仕組みやプロセスにフォーカスすることで、持続的な品質向上を実現できます。
過去の改善を風化させない
過去に行われた改善活動や是正措置を忘れてしまわないように注意する必要があります。
内部監査では、過去の改善が効果的に実施され、継続しているかどうかを確認しましょう。過去の問題や不具合が再発しないように、改善の効果を定期的に確認し、必要に応じて修正や追加の措置を講じることが必要です。
過去の改善を風化させず、組織全体の持続的な改善に努めることが重要です。
内部監査を改善の機会と捉える
内部監査は、組織の改善と成長の機会と捉えることが大切です。
問題や不具合が発見された場合は、それを負担として捉えたくなるものですが、改善のための機会としましょう。
内部監査を通じて得られた情報を活用し、組織全体のパフォーマンス向上につなげることが目標になります。
改善の機会を見逃さず、組織をより強固なものにしていくための努力を継続していきましょう。
>>関連記事:【入門】ISO内部監査とは?目的や進め方、評価方法...(ISOプロのページ)
上記の注意点を押さえておくことで、適切に内部監査を実施することができます。
まとめ
この記事では、外部監査と監査役監査との違いや、内部監査を実施することによるメリット、監査の手順や注意点を解説しました。
内部監査を実施するためには、内部監査の流れを理解しておくだけではなく、内部監査員の任命も重要になります。
また、効果的に内部監査をするためにはいくつか注意点があるので、この記事で紹介したことを念頭において監査を実施しましょう。
もし内部監査についてお困りのことがあれば、専門家に相談するのも一つの手です。