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ISOを返上する理由とは?返上した際のメリットやデメリットを解説

岡信一

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近年、ISOを返上する企業は少なくありません。
ISOの取得に大きなコストをかけたにも関わらず、なぜ返上をする企業が増えているのでしょうか。
この記事では、ISOを返上する理由や返上することによるメリット・デメリット、ISOの返上の方法まで解説します。

ISOを返上する理由


ISO認証を取得することは大きなメリットをもたらす一方で、返上する企業も多くなっています。
なぜ、ISOを返上してしまうのでしょうか。ここでは、取得した企業がISOを返上する理由を解説します。

審査費用がかかる

ISOは取得だけではなく、維持や更新のための審査が行われており、毎年約30~60万円程度の費用が掛かります。
企業はISO認証を維持するためにこれらの費用を支払います。しかし、経済的な理由や予算の制約により、費用負担を重く感じ、ISOの返上が検討されることがあります。

手間がかかる

ISOの取得や維持には多くの手続きや文書作成が必要です。
これには専門的な知識や時間が必要なため、企業のリソースを大幅に消費します。
特に、ISOの更新や監査に備えて資料を整備する作業に手間がかかるため、通常業務の効率に影響を与えることがあります。

保有する理由がなくなった

ISOを取得したが、その後の経営戦略や市場環境の変化により、ISOの保有が企業にとって不要になる場合があります。
例えば、顧客との取引条件としてISO認証を取得していることが提示されていたが、その条件が廃止された場合があげられます。
そのような状況下では、ISOの返上が経営判断として検討されることがあります。

ISOを返上することによるメリット



ISOを返上することで、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

審査費用の削減

ISOの返上による、審査費用の削減が可能です。
ISO認証を取得し、維持するためには、定期的な監査や更新手続きが必要であり、これには相応の費用がかかります。
企業はこれらの費用を支払うことでISO認証を維持しますが、経済的な理由や予算の制約により、費用負担が重くなる場合があります。
そこで、ISOを返上することにより、企業は審査費用にかかっていた分のコストを節約できます。

本業に自社リソースを充てられる

ISOの取得や維持には多くの作業や管理が必要です。
ISOを返上することで、本業にリソースを集中させることが可能となります。
これにより、生産性が向上し、効率が改善される場合もあります。

また、ISO関連の業務に割り当てていた従業員は、他の重要なプロジェクトや業務に取り組むことができるため、組織全体のパフォーマンスが向上する場合もあります。

ISOを返上することによるデメリット

ISOを返上した場合、メリットだけではなくデメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか解説します。

新規顧客、取引先への影響

ISOの返上による最も大きなデメリットの1つは、新規顧客や取引先への影響です。
新規顧客の場合は、顧客の方針にもよりますが、ISOを取得していないと「取引ができない」といった企業もあります。
また、現在取引をしている顧客からの信頼を失うこともあるかもしれません。
以上のことから、新規ビジネスの獲得や既存の取引の維持に影響を与える可能性があります。

ブランドイメージや信頼性への影響

ISO認証は企業のブランドイメージや信頼性に対する重要な指標となります。
顧客や取引先はISO認証を持つ企業に対して、品質や安全性についての保証を期待します。
したがって、ISO認証を返上することにより企業のブランドイメージや信頼性に影響を与える可能性が高いです。

顧客や取引先からの信頼喪失は、企業にとって長期的な損失をもたらすことになります。
このように、リスクも潜んでいるため、ISOの返上は慎重に決定する必要があります。

ISOの返上方法



ISOを返上する方法や、返上後にしなければならないことについて紹介します。

ISO返上方法

ISOを返上する手続きは、ISO認証機関や関連する規制機関に通知することから始まります。通常、企業は書面での申請が必要です。
この申請書には、企業の基本情報、ISO認証の詳細、返上の理由などを記載する枠があります。
申請が受理されると、ISO認証機関は返上手続きを開始し、企業に対して返上手続きの指示や要求を通知します。
手続きの詳細は認証機関によって異なりますが、これらの手順に従って手続きを行うことでISOを返上することが可能です。

認証書返上、認証マークの削除

ISOを返上する際には、企業はISO認証書(原本)を返上し、認証マークを削除する必要があります。
ISO認証書の返上の手続きは、通常、ISO認証機関に対して行われ、返上手続きが完了するとISO認証書は無効となります。
また、企業はISOの認証マークを製品や文書、ウェブサイトなどから削除しなければなりません。

ISOの返上後、企業はISO認証を再取得するかどうかを検討できますが、再取得したい場合は再度認証プロセスを行う必要があります。そのため、ISOの返上は慎重に検討することが大切です。

自己適合宣言でISOの返上デメリットを軽減できる

先述したように、ISOを返上することによって様々なデメリットがありますが、これを軽減する方法があります。その方法が「自己適合宣言」です。
では、自己適合宣言とは何でしょうか。その意味や自己適合宣言のやり方について解説します。

自己適合宣言とは

自己適合宣言は、認証機関による監査や認定を受けずに、ISOの要求事項に沿ったマネジメントシステムを導入・運用していることを宣言することです。
これにより、ISO認証を返上した企業でも、自社のプロセスや製品が国際基準に準拠していることを示すことができます。

自己適合宣言の手順

自己適合宣言の手順は以下の通りです。

  1. 企業はISO規格に関連する要件を確認し、自社のプロセスや製品がこれらの要件を満たしていることを評価する
  2. 企業は自己適合宣言書を作成し、その内容を従業員や関係者と共有する
  3. 自己適合宣言書に署名し、公表する
  4. 企業は必要に応じて、外部の利害関係者に自己適合宣言を提出し、必要な場合には追加のエビデンス資料や顧客からの要求の情報を提供する


>>関連記事:【ISOをやめたい企業必見】ISO返上と自己適合宣言(ISOプロのページ)

まとめ

この記事では、ISOの返上によるメリットやデメリット、自己適合宣言について解説をしました。
ISOを返上することによって、審査費用の削減や従業員の負担を減らせるといったメリットがありますが、信頼性が低下するといったデメリットもあります。
しかし、これらのデメリットは自己適合宣言によってある程度補うことができます。
そのため、もしISOを返上する場合には、自己適合宣言を実施することも視野に入れると良いでしょう。

もしISOの運用について困っていることがある、自己適合宣言について詳しく知りたいという方は専門家にご相談するのもお勧めです。

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岡信一(ISOコンサルタント)

NSSスマートコンサルティング株式会社

企業の実情に応じたISOの新規取得や運用改善をサポート。社外の〝ISO事務局〟として、本来の工数の2割程度に軽減し、最短6カ月でのスムーズな取得を導きます。幅広い業種で、1500件以上の導入実績。

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