ISO9001とISO27001の違いとは?取得メリットや認証取得におけるプロセスも比較
こんにちは。ISOプロの岡です。
ISO9001を取得するにあたって理解しておくべきことに是正処置があります。
ISOの審査で不適合が発覚した場合、再発を防止するため、その原因を突き止めて是正処置をしなければなりません。
この記事では、是正処置の意味や不適合が発生する理由、是正処置の流れを解説します。
ISO9001の是正処置とは何か?その意味を解説
是正処置とは何か、その定義や是正処置が必要な理由について解説します。
ISO9001の是正処置とは
ISO9001の是正処置とは、ISO規格が定める要求事項に不適合が生じた際に、その原因を究明し、再発を防止するために対策を行うことをいいます。
ISO9001では是正処置を以下のように定義しています。
検出された不適合又はその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置。
>>関連記事:マネジメントシステム認証における是正処置と予防処...(ISOプロのページ)
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不適合とは
不適合とは、ISO規格の要求事項を満たせていない、もしくはマネジメントシステムの有効性を保てていないと判断されたことをいいます。
不適合には「重大な不適合」「軽微な不適合」の2種類が存在します。
・重大な不適合:マネジメントシステムに大きな欠陥があると判断された状態
・軽微な不適合:ISOの要求事項の一部を満たしていないと判断された状態
重大な不適合と判断された場合は、マネジメントシステムを再構築して再審査を受ける必要があります。
一方で、軽微な不適合の場合は、条件を満たしていない部分のみを是正すればよく、マネジメントシステムを根本から改善する必要はありません。
>>関連記事:ISO審査で不適合と指摘!不適合の定義について知ろう(ISOプロのページ)
なぜ是正処置が必要なのか
是正処置が必要になる理由は、不適合をそのままにしていると、品質が低下し、顧客の信頼を失う可能性があるためです。
また、ISO9001の認証を維持するには、不適合の解決や再発防止策の実施、継続的改善を要求事項によって求められているため、是正処置が必要になります。
是正処置を通じて問題の根本原因を特定すれば、不適合の再発を防止できます。
ISO9001の不適合が発生する理由
不適合が発生する理由は主に2つあります。それぞれの内容について解説します。
要求事項を満たせていない
ISO規格では要求事項を満たすことが求められており、要求事項を満たせていない場合に不適合が発生します。
例えば、要求事項で求められている、必要な文書の作成や記録作成などを怠っているといったことです。
マネジメントシステムが有効に機能していない
要求事項を満たせていないこと以外にも、マネジメントシステムが有効に機能していない場合にも不適合が発生します。
マネジメントシステムが十分に機能していない場合とは、プロジェクトの進捗管理が不十分でプロセスが機能していない状態が該当します。
その他にも、品質において顧客クレームが多発している場合や、法令や規制など理解が不十分で遵守ができていないことも挙げられます。
是正処置の流れ
先述したように、不適合が発生した場合には是正処置を実施しなければなりません。
ここでは、是正処置の流れについて詳しく解説します。
責任権限においてどの部門が対応するのか
是正処置を実施することになった場合、まずはどこの部門が対応するのかを決める必要があります。
そこで、担当部門を決める際に必要なのが、ISO規格4章の要求事項の「責任権限」です。
責任権限とは、それぞれの組織で経営者、部長、課長といった役職者を中心に「何の役割があって、どこまでの権限が任されているか」を明確にするものです。
この明確化された情報を基に、担当部門を決定します。
ただし、是正処置によっては、部門を横断して是正することが必要になる場合もあります。
そのため、担当部門だけに任せることはせず、担当部門以外とも、不適合の原因や是正処置の状況などの情報共有が必要です。
原因追及
原因追及は、是正処置の第一ステップです。
問題に対して、起こってしまった事を作業者などからヒヤリングして情報を集めます。
情報を集めたら、次は分析を実施します。
分析をする際には、起こってしまった原因を表面だけ見るのではなく、根本的な原因から突き止める事が重要です。
原因を根本的なところから突き止める方法として「なぜなぜ分析」がよく使われています。
「なぜこの事象が起こったのか」を分析しながら、なぜを4回~5回繰り返すことで原因追究(真意追及)が可能です。
これにより、ただ単に原因を特定するだけでなく、再発防止につながる原因追及ができます。
その他の手法として、フィッシュボーン(特定要因図)で原因追及をする方法もあります。
フィッシュボーンとは「人」「プロセス」「材料」「設備」「方法」「環境」を書き出しそれぞれの所から細かく枝分かれして原因を探っていく図です。
>>関連記事:なぜなぜ分析とは?やり方や成功させるポイントを解説(ISOプロのページ)
>>関連記事:特性要因図(ISOプロのページ)
暫定処置
暫定処置は、不適合に対して原因追及が完了していない場合や、恒久処置まで時間が掛かってしまう場合などに一時的に行う処置になります。
発生した不適合の被害を広げることなく最小限に抑える目的で実施されます。
問題解決のプロセスから切り離すものではなく、常に是正処置の全体の流れの一部として位置付けて行う必要があります。
恒久処置
恒久処置では、問題の根本原因を解決し、再発を防止するための永続的な解決策を打つことが重要になります。
恒久処置は、組織全体に影響を与える可能性があるため、慎重な計画と適切なタイミングで実施する必要があります。
恒久処置の実施後は、その効果を適切に監視し、評価することが不可欠です。
定期的な監視と評価を通じて、恒久処置が品質マネジメントシステムに効果的な改善をもたらしているかどうかを確認します。
必要に応じて、追加の調査や調整を行い、恒久処置の効果を確認していくことも大切です。
有効性の確認
有効性の確認とは、実施された恒久処置が問題を解決したかどうかを確認することです。
ここでは、問題の発生源や影響が完全に解消されたかどうかを評価することになります。
また、問題の再発の可能性や、新たなリスクがないかを一定期間確認し、適切に評価する必要があります。
社内であれば担当組織以外からフィードバックや意見をもらうことも大事です。
また、恒久処置を行った場合は、社内ルール、標準書、手順、記録などに変化があるため
処置の実施以外に文書の確認も必要になります。
文書が変更されているのであれば、変更箇所や改訂の版数、場合によっては教育訓練を実施する必要があります。
水平展開の確認
水平展開の確認は、是正処置の最終段階であり、組織内の他の部門やプロセスに同様の問題が発生しないようにするためのものです。
不適合と同じような事象が起きそうな場合や恒久対策を実施したことで、効率や生産性が上がり、他のプロセスでも有効性がありそうな場合にも実施します。
水平展開でも、恒久対策や有効性の確認を行うため、一定期間の監視やレビューが必要になります。
また、恒久処置と同じく報告書や記録は確実に残す必要があります。
将来の問題解決や品質改善のための教訓やベストプラクティスを共有し、組織全体の品質管理の向上や、顧客満足度向上の観点から行うことが重要です。
有効性、水平展開を確認できたら、マネジメントレビューを実施して文書に記録します。
まとめ
この記事では、是正処置の意味や不適合が発生する理由、是正処置の流れまで解説をしました。
先述した通り、ISOの審査で不適合が発生した際には、その原因を突き止めて是正処置を行わなければなりません。
原因を分析する際には、「なぜなぜ分析」や「フィッシュボーン」などのフレームワークを使って根本的な原因を突き止めて、再発を防止することが大切です。
不適合が発生してしまった場合にはこの記事で紹介した是正処置の流れを参考にしてみてください。
もし是正処置について何かお困りのことがあれば、専門家に相談するのも一つの手です。